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〔大前研一「ニュースの視点」〕KON497「防衛計画・税制改正・公的年金運用~類似した組織に目を向ける」

2013年12月20日


 防衛計画大綱 中期防衛力整備計画固め

 税制改正 2014年度税制改正大綱を決定

 公的年金運用 海外インフラ投資を開始


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 ▼ あれだけ反対していたオスプレイを自衛隊に。

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 政府は13日、中長期の安全保障政策の指針となる防衛計画の大綱と

 中期防衛力整備計画での自衛隊の装備目標を固めました。


 2014年度から5年間の目標を示す中期防では、

 米軍が開発した垂直離着陸輸送機オスプレイを17機、

 水陸両用車を52両購入する方針を明記。


 軍事力を高める中国を念頭に離島防衛や機動力を重視した

 装備を整えるとのことです。


 米国としては、嬉しくてしょうがない状況でしょう。


 中国と日本がもめることで、日本が米国から武器を購入する

 流れになっています。


 グローバルホークなどの無人機に加え、かつて米軍が

 日本国内で使用するのを反対していたオスプレイまで、

 自衛隊で保有することになりそうです。


 日本は戦闘機が離発着できる空母を保有していないので、

 ヘリコプターとして離発着できるオスプレイは非常に

 使い勝手が良いと思います。


 尖閣領域から石垣島までカバーすることができるでしょう。


 あれだけ米軍のオスプレイに国中で大騒ぎをしていたのに、

 自衛隊が保有するという手のひら返しには少々呆れてしまいます。


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 ▼ 交際費を拒否する英国の潔癖性とカナダの年金運用ノウハウ

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 自民、公明両党は12日、2014年度税制改正大綱を決めました。


 生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率については

 「消費税率10%時に導入する」とし、一方、自動車の購入時にかかる

 取得税の引き下げなど、来年4月の消費増税をにらみ景気に配慮した

 措置も盛り込むとのことです。


 細かい項目を見ていくと、例えば交際費を50%まで

 非課税にするというものがあります。


 私はいまだにこのような項目を追加しようとすることが、

 残念でなりません。


 交際費が認められるから、飲みに行くというのは筋が違うでしょう。


 またそもそも最近では、飲み会や会食の数も減り、2次会・3次会と

 遅くまで飲み歩く人はかなり減ったと思います。


 ゆえに、交際費を非課税にできます、と言われても

 どれほど効果があるのかは疑問です。


 以前、英国の労働党の議員の大阪での接待に

 同席したことがあります。


 食事を終え、会計のときになって、彼らは金額を確認させてくれ、

 と言いました。


 日本側の役人は渋りましたが、結局金額を確認した彼らは、

 こんな高額の食事をご馳走になったら賄賂になるので

 自分たちの分は自分で支払うと言いました。


 英国の議員が自腹で払っているので、自分たちも支払わざるを

 得なくなり、日本の役人は非常に困っていました。


 今、日本でも飲み会や会食が減り、

 社会が英国化しつつあるのかも知れません。


 英国人が持つ潔癖性を日本人も身につけてほしいと思います。


 交際費が認められるから飲みに行くという、

 みっともない行為はやめてほしいと思います。


 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は

 カナダで最大規模の公的年金基金・オンタリオ州公務員年金基金(OMERS)

 と組み、海外のインフラ投資を始めます。


 これは非常に良いことだと思います。

 日本のGPIFには経験がありませんから、学べることは多いはずです。

 

 オンタリオ州公務員年金基金は運用もスマートですし、

 結果も出しています。


 さらに日本にとって有益だと思うのは、米国のそれと違って

 「普通のサラリーマン」が世界のことをよく勉強し、公共投資を行って、

 リターンを得る仕組みを作り上げていることです。


 米国の場合、一部のスーパースター的な存在の人が、

 日本のサラリーマンでは考えられない報酬を得ていることもありますが、

 カナダの場合にはそういうことがありません。


 日本に近い環境だと思います。


 カナダに目を向けたことも良いですし、その中でも

 オンタリオ州公務員年金基金を選んだのも慧眼だと言えるでしょう。


 ぜひ、多くのことを学んでほしいと思います。


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