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KON985「G7首脳会議 広島サミット2023全日程を終え閉幕/ウクライナ支援」

2023年6月5日 G7首脳会議 ウクライナ支援 広島平和記念資料館

本文の内容
  • G7首脳会議 広島サミット2023全日程を終え閉幕
  • 広島平和記念資料館 「強烈な印象を受けた」
  • ウクライナ支援 100台規模の自衛隊車両提供

・G7首脳会議 広島サミット2023全日程を終え閉幕
・広島平和記念資料館 「強烈な印象を受けた」
「有意義な会議の一方、核廃絶の本気度には疑問符」

先進7か国(G7)首脳会議に参加していた米国のバイデン大統領は先月21日、広島市内で記者会見し、「平和記念公園原爆資料館を訪れて強烈な印象を受けた」と語り、「核兵器の脅威のない世界を作らなければならない」との考えを示しました。フランスのマクロン大統領も「衝撃的だった。原爆資料館を訪問して被爆者の話を聞くことができ、核兵器が作り出す被害の大きさを思い知った」と語りました。

全日程を終えた今回のG7首脳会議の成功要因は、広島で行ったことが大きいと考えます。参加した首脳達が原爆資料館を訪れたことが大きな意義を持っていました。私も外国人ゲストを原爆資料館にガイドしたことがありますが、誰もがショックを受け、訪問後数時間は人が変わったようになります。岸田首相は外相時の伊勢志摩サミットでも、米国のオバマ大統領の原爆資料館の訪問を組み込んでいましたので、その時の経験と広島出身という強みを活かしての外交でした。

しかし、「広島ビジョン」と称して核軍縮の共同文書を出し、核兵器の脅威が無い世界を望むと表明したにも関わらず、日本は核兵器禁止条約にサインしていないという事実は無視できません。広島ビジョンの内容は核兵器禁止条約と基本的に変わらない以上、米国の圧力を振り切って核兵器禁止条約に署名しないと、口先だけだという批判は免れないと考えます。

また、ウクライナに対する支援姿勢は、G7首脳会議で一致しました。一方で、ウクライナはクチマ大統領の頃から汚職が多いという問題を抱えており、その体質を改めなければ、欧州連合(EU)への加盟は難しいという大きな課題が残っています。


・ウクライナ支援 100台規模の自衛隊車両提供
「できる限りのウクライナ支援」

岸田首相はウクライナのゼレンスキー大統領と先月21日に会談し、日本独自の新たな支援策として100台規模の自衛隊車両や、およそ3万食の非常用の食料を提供する考えを示しました。これに対しゼレンスキー大統領は謝意を示すとともに、「G7首脳会議に初めて対面で参加できて大変嬉しい。首相の指導力、特にグローバルサウスの国々を招待した事は素晴らしい」と述べました。

グローバルサウスの国々の中で重要だったのは、インド、インドネシア、ブラジルです。しかし、ブラジルのルーラ大統領は高齢だということもあり、存在感を示せていないと感じました。インドネシアも重要勢力になる可能性は低いとみられます。一方で、インドのモディ首相はゼレンスキー大統領と初対面を果たし、和平に向けて個人としても国としても協力すると表明しました。ロシアへの経済制裁に非協力的なインドが、これでウクライナ寄りになったとしたら大きな成果です。しかしモディ首相は良いとこ取りをする人物であるため、その発言をどこまで信用できるかは疑問です。

一方、日本は欧米に比べて規制が厳しく、軍備の支援は禁止されています。そのため、防弾チョッキのようなものしか提供することが出来ません。そのなかで、今回注目されているのは三菱自動車製の1/2トラック、トヨタ製高機動車、履帯で走る資材運搬車、そして3万食の食料です。日本ができることは全てやったと言える内容だと考えます。


---この記事は2023年5月28日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています

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