- 本文の内容
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- 岸田首相 見出しと内容乖離で米タイム誌に異議
- 日韓関係 韓国・尹錫悦大統領と会談
- 韓国外交 尹氏「中曽根外交」意識か
- 国の借金 国債、借入金など計1270兆4990億円
・岸田首相 見出しと内容乖離で米タイム誌に異議
「悪意は感じるものの、避けては通れない評価」
岸田首相のインタビュー記事を掲載した米国タイム誌に対し、外務省が見出しと記事の内容が異なるとして異議を伝えていたことがわかりました。電子版を公開した10日時点では見出しに「岸田首相が平和主義だった日本を軍事大国に変える」と記載していましたが、同誌は異議を受け、「平和主義だった日本に国際舞台でより積極的な役割を与えようとしている」に差し替えたとのことです。表紙を見ると、眼鏡の影が強調されているなど少し悪意がある写真を使われている印象です。タイム誌の表紙を飾るのはすごいことなので、脇が甘くなってしまったのかもしれませんが、写真を選ばせてもらう条件などを付けておかないと、こういう印象操作をしてしまう雑誌でもあります。
外務省は誤解を招くとして抗議したようですが、私は分かり易いヘッドラインだと思います。「世界三番目の経済大国にふさわしい軍事力を整備する」など、言い回しは色々と変えられますが、こうした細かいニュアンスを外国人記者が記事にするのは不可能です。安倍元首相以来、安保新体制を打ち出すなど軍事大国への道を歩み始めているのは事実ですから、いつかは「軍事大国」と評されることも受け入れるしかないと思います。
・日韓関係 韓国・尹錫悦大統領と会談
・韓国外交 尹氏「中曽根外交」意識か
「前大統領に毀損された日韓関係の改善に期待」
岸田首相は7日、ソウルの韓国大統領府で尹錫悦大統領とおよそ1時間45分会談しました。首相の韓国訪問は5年ぶり。日韓首脳が互いに訪問するシャトル外交の再開は12年ぶりです。尹氏は会談の冒頭、「両国の歴史問題が完全に整理されない限り、未来の協力に一歩も踏み出せないという認識から抜け出さなければならない」と強調。両首脳は、半導体のサプライチェーン構築や北朝鮮を念頭に置いた安全保障の協力等で合意しました。また、日経新聞は8日、「尹氏”中曽根外交”意識か」と題する記事を掲載しました。日韓や日米間の連携強化を目指す韓国の尹錫悦大統領が、中曽根康弘元首相の外交を意識しているとの見方があると紹介しています。
中曽根元首相といえばロン康会談で日米を対等なパートナーにした功績ですが、近隣外交でも非常に高いパフォーマンスを発揮した人物です。彼は韓国を訪問すれば韓国語で、フランスを訪問すればフランス語で公式の挨拶をしていたそうで、これが相手国に非常に印象が良かったと言われています。特に韓国に対しては、近隣との関係が極めて重要であるとして、首相に就任して最初の公式訪問先に韓国を選び、相手国民の心を掴んでいます。当時は学生だった尹錫悦氏も、その時の全斗煥氏と中曽根氏の会談を見て感激した、と話しています。
いずれにせよ、日韓のトップが互いに訪問しあう関係に戻れたのは評価すべきことです。文在寅氏のようなとんでもない人物が大統領だったころとは違い、これからは建設的な話し合いで友好関係を築いていけると期待しています。
・国の借金 国債、借入金など計1270兆4990億円
「国はデフォルトを覚悟しているとしか思えない」
財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計した国の借金が、3月末時点で計1270兆4990億円になったと発表しました。前年同期から29兆円余り増加し、7年連続で過去最大を更新したもので、新型コロナや物価高対応により国債の発行額が膨らんだことなどが要因です。債務残高の対GDP比を見てみると、ドイツはここ10年で下げる努力をした結果、50%程度にまで落ち着いています。英米も増加傾向にあるものの100%前後で、最悪の状況と言われているイタリアが125%程度です。一方で日本は、イタリアの約2倍の250%。就労人口が減っている中でのこの数字は、返済できるわけがありません。
生まれながらにして国民一人当たり1000万円以上の借金を抱えている日本の赤ちゃんはかわいそうですが、おそらく国はもう借金を返済する気がないと思われます。永遠に増やしていって、国債がいつか紙くずになるのを望んでいるのではないでしょうか。このままでは、デフォルトに陥る未来しか見えません。
---この記事は2023年5月14日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています