- 本文の内容
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- フジテック 香港オアシスの株主提案を推奨
- 楽天グループ 最終赤字3,728億円
- ハルメクHD 東証グロースへの新規上場承認
- 北海道キロロリゾート ネイピア特定目的会社を買収
物言う株主の介入で経営が安定しない
エレベーター大手フジテックが24日に開催する臨時株主総会に、香港のヘッジファンドであるオアシスマネジメントが出している6件の株主提案について、米国の議決権行使助言会社、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は9日、「すべてに賛成」を推奨しました。
オアシスは昨年6月の株主総会でフジテック創業家と会社の不審な取引を指摘しましたが、今回もコーポレートガバナンスが機能していないとして、社外取締役の選任などを提案しています。
フジテックは日本で4位のエレベーターメーカーです。
エレベーターを作る会社が少ないということもありますが、世界でも7位につけています。
彦根に行くと高い塔のようなものが立っているのですが、フジテックの高層エレベーターをテストする設備です。
以前にも、創業家である内山家への便宜供与が物言う株主に問題視され、一族出身の内山高一氏が社長を辞職したことがありました。
同じ滋賀の会社では、エアバッグやシートベルトを作っていたタカタも、お家騒動の末に破綻しています。
フジテックの大株主を見ると、創業家のウチヤマ・インターナショナルが6%程度を保持しており、その他にはオアシスをはじめとした物言う株主が並んでいます。
これでは経営が安定しないのは必然です。
赤字事業分離検討も障害は多い
楽天グループが14日に発表した2022年12月期の連結決算は、最終損益が3,728億円の赤字となりました。
最終赤字は4期連続で、赤字幅は過去最大です。
電子商取引(EC)や金融事業が好調だった一方、携帯電話事業で基地局整備等の費用負担が響いたとのことです。
携帯電話事業を分離し上場することや、外部資本を活用することも検討しているなど、三木谷社長にしては珍しく弱気な発言がありました。
グループ全体としては、売上、赤字ともに伸びている状況です。
EC事業、フィンテック事業で売上を伸ばして利益を上げていても、携帯電話事業の5,000億円近い赤字を埋めるのはさすがに厳しい状況です。
携帯電話事業を分離することも考えているようですが、その場合はEC事業・フィンテック事業の信用を使えなくなってしまうので、資金調達の面で難しさが出てくる可能性があります。
プロ野球チームを持つような大きな会社だけに、こうした赤字事業を抱えて経営が揺らぐようでは、社会的にも大きな悪影響が生じかねません。
他の会社が携帯電話事業を買う案もあるようですが、その場合はどこが買うかが問題になります。
独占禁止法の関係で、すでに携帯電話事業を持っている会社は手が出せません。
思いつくところでは、リクルートが挙げられます。
同社もかつての勢いはありませんが、5,000億円程度の赤字をカバーするだけの規模は持っている、数少ない企業の一つと言えます。
ですが、他のネットワークと既に提携して事業を進めているので、興味を持つかどうかは別問題です。
楽天の株価も、一時は約1,400円だったにもかかわらず、700円前後にまで落ちてきてしまっています。
とはいえ、三木谷夫妻は徐々に保有株を売却してきており、自分たちの個人資産にはあまり影響がないと思われます。
その点も株主にとっては、不満が溜まる要因の一つかもしれません。
ターゲットを絞って日本一のメディアに
雑誌のハルメクなどを手がけるハルメクホールディングスは、15日、東証グロース市場への新規上場が承認されたと発表しました。
ハルメクは2009年に前身の会社が民事再生法の適用を申請し、ノーリツ鋼機の傘下に入りましたが、2020年に経営陣によるマネジメント・バイアウト(MBO)で独立。
シニア女性の生活に身近なテーマを取り上げ、雑誌の発行部数を伸ばし、定期購読者の数は約50万人に達しています。
週刊朝日も5月に休刊するように、業界全体が苦しい中での快挙です。
この雑誌はシニアの女性にフォーカスしたことで、日本一の購読数を誇るまでに成長し、今ではネット事業にも手を広げています。
ターゲットを絞っている分、広告も集まりやすいメディアになりました。
社長の宮澤孝夫氏は向研会のメンバーでもあり、プレジデントセミナーにも来ていただいています。
こうして日本一のメディアを創り上げたことは、我々にとっても喜ばしいことです。
立地、気候にポテンシャルを有する場所
中国の商業施設運用会社のユーユアン・ツーリスト・マートは10日、日本の事業会社のネイピア特定目的会社を約110億円で買収すると発表しました。
ネイピアは、北海道のキロロスノーワールドやキロロリゾートを保有しています。
また、両施設を運営する合同会社キロロマネジメントの全株を、約4億6,000万円で取得する意向も示しています。
キロロスノーワールドは小樽から山を一つ越えた赤井川村というところにあり、ヤマハが開発したリゾート地です。
かつて私がヤマハのコンサルティングをしていた時に企画に関わったこともあり、私にとっても思い出深い場所です。
ヤマハのリゾート事業はすべて三井不動産が買いましたが、今では『合歓の郷』など一部を残して売りに出している状態です。
北海道のスノーリゾートは、ニセコが異様な人気を誇り、加森観光のルスツも好調です。
キロロは札幌から近いのですが、あまりうまくいっていない状況でした。
ニセコやルスツがマイナス20度と、リフトに乗っているのがつらくなるほど寒くなり、星野リゾートのトマムに至っては危険を感じるほど冷え込むのですが、キロロはそこまで気温も下がらないところも魅力です。
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※この記事は2月19日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週はハルメクHDのニュースを大前が解説しました。
大前は「現在ハルメクが発行している雑誌の販売部数は雑誌全体の中で1位となっているうえ、さらにシニア女性へターゲットを絞ることで、広告の集客効果も高い」と述べています。
ターゲットとなる顧客層を絞り込むことで品揃えや販促等の戦略が立てやすくなり、アピールすべきポイントが明確になります。
STP分析やペルソナ分析などを通じてターゲットを絞り、戦略的なマーケティング活動に繋げましょう。
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