- 本文の内容
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- 2020年米大統領選 大統領選延期に言及
- 米民主党 バイデン氏の「女性副大統領」候補選びが大詰め
共和党内からも反トランプの動きが加速
トランプ大統領は先月30日、郵便投票が増えると不正が起きやすくなるとした上で、「国民が適切かつ安全に投票できるまで選挙を延期しようか?」とツイートしました。
しかし、大統領選を延期する権限は大統領にはなく、議会の承認が必要となるため、実現のためのハードルは非常に高くなっています。
トランプ大統領のツイートを見て、あらためてもはや彼はほとんど夢遊病状態になっていると私は感じました。
郵便だろうが何だろうが、大統領選の日付は変わりません。
憲法の改正には上院と下院の両方で可決される必要があります。
共和党幹部のミッチ・マコネル上院院内総務ですら、「選挙の延期はあり得ない」と否定する始末です。
このようなトランプ大統領の状況を見て、共和党の政治家からは、選挙を考えると今はトランプから距離を置くべきという声も聞こえてきています。
共和党内の反トランプの動きは加速しています。
先日のTIME誌には「Revenge of the Never Trumpers」という記事が掲載され、共和党の人たちが立ち上がって展開している「リンカーンプロジェクト」が紹介されていました。
「リンカーンプロジェクト」は、今の共和党全体が悪いのではなく、トランプ個人の資質の問題であり、共和党はトランプから卒業するべき、と主張しています。
このプロジェクトに関して、かなり効果が出ているという意見もあれば、効果は限定的とする見方もあります。
たしかにインテリ層には響くかもしれませんが、「何を言われても関係ない」というハードコアなトランプ支持者には効果は薄いと思います。
とは言え、トランプ大統領が11月の大統領選に向け、かなり追い込まれた状態にあり、周囲もそれを察知した動きを展開し始めているのは間違いありません。
バイデン氏は副大統領候補選びで、さらに票を伸ばしていく
11月の米大統領選で野党民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領の、女性副大統領候補選びが大詰めに入っています。
有権者の人種問題への関心の高まりを意識して黒人政治家などの名前が挙がっているとのことで、バイデン氏は8月第1週に公表するとしています。
今のところ有力候補になっているのはカーマラ・ハリス上院議員、その対抗馬として急浮上してきたのが、元大統領補佐官のスーザン・ライス氏です。
ライス氏は、クリントン政権でホワイトハウスの国家安全保障会議の上級スタッフを務め、さらにオバマ政権では、国連大使と国家安全保障問題担当の大統領補佐官を歴任した実績があります。
こうした政治慣れした経験が有利に働くのではないかとも言われています。
一方のハリス氏は、ジャマイカ人の父とインド人の母を持つ元検事で、カリフォルニア州の司法長官を務めた経験を持ちます。
インテリジェンスを感じさせるに十分な経歴で、この点がバイデン氏に欠けているものを埋めてくれるのでは?とも言われています。
いずれにせよ、この女性副大統領候補選びによって、大統領選においては、バイデン氏の票が更に伸びていく可能性が高いと私は見ています。
日本の政治家は、「今の中国」を冷静に見て態度を示すべき
米大統領選が迫る中、世界的にはコロナ禍の影響を受けて、米中関係が著しく悪化しています。
日本では自民党の二階幹事長が中国に対する融和勢力として米国から名指しされるなど話題になっています。
私から見ても、日本から数千人規模の経営者を中国へ連れて行くなど、二階氏の中国寄りの姿勢は度が過ぎていると感じます。
先日も自民党議員の有志が習近平国家主席の国賓としての来日中止を提案しましたが、案の定、二階幹事長によって決議のトーンが弱められました。
二階幹事長に限らず、日本の政治家の中には中国寄りの政治家はたくさんいます。
元々田中角栄氏が中国との関係を修復したという歴史もあり、田中派、竹下派は親中国ですし、公明党の池田大作氏は非常に中国と仲が良いことで有名です。
池田氏が中国へ訪問した時には国家主席が歓迎してくれるほどです。
二階幹事長、田中派、竹下派、公明党など、根本として中国という国を好むのは全く問題ありませんが、「今の中国」を見ていて、それでもなお中国べったりの態度を示すのは、政治家として鈍感だと私は思います。
さすがに今の中国は色々な意味で「やり過ぎ」です。
そういったところをきちんと見極めた上で、冷静な姿勢を見せてほしいと思います。
米中の関係が悪化する中、軍事的な意味で世界情勢を心配する声もあります。
世界的に見るとミサイルやロケットの点では米国が依然強いのですが、中国も米国との戦力差を縮小させています。
また、ロシアに対しても、米国は大いに警戒しています。
海上戦力では、米国は圧倒的な強さを誇っています。
中国もロシアから、中古品で空母を購入して軍事力を拡充していますが、米国のような空母打撃群を世界に展開する力はまだ持てていません。
とは言え、台湾海峡や沖縄など局地的には米軍の脅威となっており、米国としても警戒しています。
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※この記事は8月2日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は米民主党のニュースを大前が解説しました。
大前は、様々な視点から、女性副大統領候補を分析しています。
複数の案を比較検討する際には、様々な視点から考えることが大切です。
日頃からニュース記事など「他の視点から見たらどうなるか」と分析する習慣をつけることで、物事を多角的・多面的に捉える力を鍛えることができます。
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