- 本文の内容
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- 米ディーン&デルーカ 米連邦破産法11条の適用申請
- 米朝関係 「対話の意欲は確実になくなった」
- 米民主党 バーニー・サンダース氏が指名候補選から撤退
フリーマーケットが広まり、中級ブランドが苦戦する状況
米食料品チェーンのディーン&デルーカは先月31日、米連邦破産法11条の適用を申請しました。
負債総額は5億ドル(約538億円)。
競争の激化で売上が低迷していたことに加えて、新型コロナウイルスの感染拡大によって消費が冷え込んだことが響いたとのことです。
ディーン&デルーカといえば、高すぎず安すぎずという「中級ブランド」です。
この中価格帯のポジションにいる企業が厳しい状況に追い込まれつつあります。
一方で、ルイ・ヴィトンやエルメスのような超高級ブランド、逆にH&Mやユニクロといった低価格ブランドは生き残っています。
これはフリーマーケットが広まってきたことにより、消費者意識に変化が起きているからです。
例えばアパレルで言えば、消費者は購入した洋服などを何年か使った後、売って処分することが簡単にできるようになりました。
こうなると、「中級ブランド」ではうまみがありません。
最後に売ることを前提に考えるなら、ルイ・ヴィトンやエルメスのような、ブランドとして定番になっていて少しでも高い価格で売れる可能性が高いものを選びたくなるのは当然でしょう。
また、安定的に売れるという点を考えると、そのような高級ブランドの中でも限定品よりも毎年の定番モデルの方が人気を集めやすくなっていると思います。
一方で、低価格を売りにしているブランドの場合には、使い捨てが前提になるので問題にはなりません。
価格が安いので捨てればいいと思えます。
「中級ブランド」はどちらにも属さないため、現在の消費者にはウケが悪く、苦戦しているという状況です。
米バーニーズ・ニューヨークが破綻した(日本では存続しています)のも、同じ理由だと私は思います。
これだけフリーマーケットが広まってきた状況において生き残るのは、売ったときに確実にお金になる高級ブランドか、もしくは気軽に使い捨てができる低価格ブランドか、いずれかになってきています。
これは日本においても全く同様です。
北朝鮮側ではなく、トランプ大統領の「意欲」がなくなった
米ポンペオ国務長官が先月25日、北朝鮮への制裁を呼びかけたことを受けて、北朝鮮の外務省は30日「対話の意欲は確実になくなった」とする談話を発表しました。
また「長い間、われわれ人民が受けてきた苦痛を恐怖と不安にして返すための計画を一層進めていく」として、韓国との合同軍事演習を中止しない米国を牽制しました。
あたかも北朝鮮側が主体のように発表していますが、トランプ大統領が北朝鮮と対話する意欲がなくなったというのが事実でしょう。
ようするに、トランプ大統領の頭にある北朝鮮の優先順位が下がったのです。
今、トランプ大統領は11月の大統領選挙のことで頭がいっぱいのはずです。
これまで北朝鮮とは3回話し合いをしましたが、結局のところ大した成果は残せていません。
もし仮に11月までの間に、もう1度北朝鮮と対話をする機会があったとしても、大統領選に大きなインパクトを与えるような大きなディールは見込めない、と考えているのだと思います。
北朝鮮側からすると、トランプ大統領にふられてしまった状況をどうにかしたいと思って、ミサイルのことを話題にしたり、今回のような発表をしているのでしょう。
トランプ大統領が再選されれば、再び北朝鮮と対話をする可能性はあると思いますが、そうでなければ米朝関係はこのまま終わってしまうかもしれません。
私に言わせれば、トランプ大統領が北朝鮮と対話をして関係性を改善できると思っていたこと自体が間違いです。
北朝鮮としては悲しい状況に追い込まれましたが、「苦痛を返すために計画を練っている」と発言するのが精一杯といったところでしょう。
これ以上何かを本格的にやろうとすれば、米国から叩かれるのは目に見えているからです。
バイデン氏単独では弱い。ニューヨーク州のクオモ知事への期待
米民主党のバーニー・サンダース上院議員は4日、大統領選から撤退すると表明しました。
サンダース氏は代議員の獲得数でバイデン氏に大きく水をあけられており、新型コロナウイルスの感染拡大で選挙活動が制約を受ける中、逆転は困難と判断した模様です。
バイデン氏の代議員獲得数が1206名、サンダース氏の獲得数が892名。
この状況になってしまうと、もはや逆転できないとサンダース氏が撤退を表明するのもしょうがないと私も思います。
サンダース氏は素晴らしい候補者だったと思いますが、残念ながら力尽きたということです。
一方、バイデン氏にはいろいろ問題がありすぎて、私は全く期待できる人物だと思っていません。
8年間にわたって副大統領としてオバマ政権の運営に携わっていましたが、何の特徴もなく、成果を残していません。
中道であり民主党の生え抜きである、という点は評価されるのかもしれません。
そんなバイデン氏の対抗馬として、にわかにニューヨーク州のクオモ知事を推す声が出てきています。
実際のところ、制度上は難しいと思いますが、今回の新型コロナウイルス感染に対する対処を見て、そのリーダーシップに期待する気持ちはよくわかります。
民主党の全国党大会は8月に延期が決定しています。
もしニューヨーク州の新型コロナウイルスの問題が終息していれば、何とかしてクオモ氏を候補に切り替えるような動きが出てくるかもしれません。
それが難しいのであれば、バイデン氏としては、副大統領候補としてクオモ氏を迎えることも検討すべきでしょう。
トランプ大統領に対抗する存在としても大いに期待できます。
トランプ大統領に対する攻撃力という点でエリザベス・ウォーレン氏ほどではありませんが、新型コロナウイルス感染問題で、トランプ大統領に「ニューヨーク州に対する宣戦布告だ」と反発した姿勢を見ていると、見どころはあると思います。
正直、バイデン氏単独では弱いと思います。
クオモ氏を選ぶことは難しいにしても、私と同様、何とかバイデン氏の補佐としてクオモ氏を横に置きたいと思っている人は多いはずです。
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※この記事は4月12日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は米ディーン&デルーカのニュースを大前が解説しました。
中級ブランドが軒並み苦戦しています。
アパレルでいえば、売ったときに確実にお金になる高級ブランドか、気軽に使い捨てができる低価格ブランドか。
中級ブランドはそのどちらにも属さないため、現在の消費者にはウケが悪い、と大前は述べています。
時代の流れとともに、消費者意識は変化します。
「今まではこうだった」に固執せず、自社の商品・サービスを適宜見つめなおすことが大切です。
▼リーダーシップ・アクションプログラムより
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