- 本文の内容
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- 米中関係 米中合意は「大統領選後でも」
- 米トランプ政権 官僚「不在」、対中冷戦に影
意味がない米中貿易戦争の結果、ペナンが勝ち組になりつつある
米トランプ大統領は3日、中国との貿易協議を巡る合意について「2020年の選挙後まで待つという考え方を気に入っている」と語りました。
中国経済への打撃となりうる協議の長期化をちらつかせる一方で、トランプ氏は「中国は合意を望んでいる。合意が適切かどうか見てみよう」とも述べ、中国の出方を伺う姿勢を示しました。
私に言わせれば、「大統領選後まで待つなら、トランプは無関係」と思いますが、このやり方はまさにトランプ流です。
関税の引き上げをちらつかせつつ、中国に妥協を強いています。
しかし、次に関税引き上げの対象となるのは携帯電話等であり、上手く事が運ぶかわかりません。
だから、選挙に影響があると思われる今のうちに農産物を中国にたくさん買わせておきたい、という下心が丸見えです。
中国はすでにトランプ大統領の「次」を見据えているでしょうから、このようなトランプ大統領のやり方に怯むことはないと思います。
こうしたほとんど意味がない米中貿易戦争の結果、ビジネスウィーク誌は「(マレーシアの)ペナンが貿易戦争の勝ち組になっている」という趣旨の記事を掲載しています。
ペナン島はマレーシアの中でいち早く電子工業が勃興した場所です。
米国から締め付けられた結果、中国企業がペナンに移ってきたり、あるいはペナンの企業を経由して中国から米国へ輸出するという迂回輸出が可能になっている、と紹介しています。
トランプ大統領が意味のない貿易戦争を繰り広げる中、ペナンが貿易戦争の勝ち組になりつつあるという皮肉な展開になっています。
官僚組織を破壊し、政府機能を低下させたトランプ大統領
フィナンシャル・タイムズは2日、「官僚『不在』、対中冷戦に影」と題する記事を掲載しました。
政権交代に影響されない官僚が舞台裏にいなければ、米国がかつての米ソ冷戦を制することはできなかったと指摘。
米国が中国と覇権を競うなら、彼らが再び必要になるものの、トランプ政権下では官僚ポストの空席や離職が相次いでおり、こうした事態は予測もつかないほどの悪影響を米国に長期的に及ぼすとしています。
これは、ジャナン・ガネシュ氏の論文で非常に優れた内容だと思います。
突然理不尽にクビにされるなど、米国の官僚はトランプ大統領に嫌気が差して自ら辞める人も増えています。
トランプ大統領は官僚を使いこなすことができず、この数年で米国の官僚組織を破壊してしまったと言えます。
米ソ冷戦時代、米国を勝利に導いた一因は、官僚組織によるソ連の分析でしたが、今はもう頼ることができない状態です。
そして、トランプ大統領の「勘」だけで闇雲にパンチを繰り出しているのが、今の米国です。
これは政府機能の低下であり、長期的には米国を破壊したとも言えます。
米中冷戦を考えたとき、このような状況では長期的に戦っていくことは難しい、とジャナン・ガネシュ氏は指摘していますが、私も全くその通りだと思います。
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※この記事は12月8日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は米トランプ政権のニュースを大前が解説しました。
トランプ政権の相次ぐ官僚離職は、米国に長期的な悪影響を及ぼすと考えられています。
歴史から学ぶことで、今後の展開を予測することができます。
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