- 本文の内容
-
- サブスクリプション 集合住宅の入居者に家電のサブスクサービス
- ダイナミックプライシング ノジマやビック、瞬時に価格変更
- 米ボーイング 「737MAX」の制御システム 2016年に欠陥認識か
- 米ウィーカンパニー SBグループのもとで経営再建
家電のサブスクリプションサービスは、自由な生き方につながる
リコーリースと日本総合住生活、ピーステックラボの3社は、12月から集合住宅の入居者向けに家電などのレンタルサービスを開始すると発表しました。
ピーステックラボが運営する高級家電などの個人間レンタルサービスをリコーリースが管理・運営する賃貸マンションに導入するもので、将来は都市再生機構(UR)が運営する団地などへの導入も目指すとのことです。
最近のマンションの中には、自ら発電施設と蓄電池を保有し、その電力を活用しているところがあります。
すでに電力代金はマンション価格に含まれていて、入居者は将来にわたって電気代金を支払う必要がない、というものです。
これは良い発想だと思いましたが、今回の家電サブスクリプションと合わせると、さらに利便性が高くなります。
入居するときに、冷蔵庫などの家電を購入する必要がありませんから、それだけでも手軽に引っ越しができるようになるはずです。
電気や家具も最初から揃っていれば、さらに引っ越しが楽になります。
一昔前、人生の大きな買い物として家を購入し、そこで死ぬまで暮らすのが普通でしたが、こうしたサービスが出てくることで、その考えも古くなりつつあります。
住む場所を手軽に自由に選べて生活の自由度が高くなるので、私は非常に良いことだと思います。
学生時代にはスーツケース1つで何度も引っ越しをした経験がありますが、あの頃の身軽さを思い出してしまいます。
ダイナミックプライシングは、あらゆる業界に広がっていく
日経新聞は先月21日、「ノジマやビック、瞬時に価格変更」と題する記事を掲載しました。
家電量販大手のノジマが全184店で商品表示をデジタル化した電子棚札を導入したと紹介。
ほぼ全ての商品の値付けを、本部からの遠隔操作で変更できるようにしたもので、商品の売れ筋や在庫状況、競合店やネット通販の価格などを総合的に分析し料金に反映させるというものです。
ダイナミックプライシングは、システム開発・運用コストが高くつきますが、収益が最大化するという大きなメリットがあります。
売り切ってしまえば、在庫も残りませんし、商品の腐敗もありませんから、コスト削減にもつながります。
私はこれまでにも何度か説明してきましたが、ダイナミックプライシングは非常に応用範囲が広い技術で、これが広がっていくのは当然の流れだと思います。
家電だけではなく、野菜や魚など生鮮食品もイメージしやすいでしょう。
夕方になって生鮮食品の価格を下げているのは同じ考え方です。
しかし、現状ではいくつかの商品をまとめて値下げしています。
本来なら、1品ずつ価格を調整して販売したいところです。
それをシステム的に実現できる時代になってきています。
その他の事例では、ビックカメラ、ローソン、akippa(駐車場予約)、福岡ソフトバンクホークスのチケットなどがあります。
ダイナミックプライシングはスマホとの相性が良いのも特徴です。
QRコードで値段が表示され、スマホでそれを読み取って、そのまま自動的に決済すれば非常にスムーズです。
さらに、ダイナミックプライシングの値段は、「特定の人だけ見ることができる値段」であれば良く、一般に公開する必要もありません。
その意味でも、スマホを活用したリアルタイムのダイナミックプライシングは、非常に使いやすいはずです。
まだ業界全体としてシステムが未熟で、この業界のスタンダードとなるシステムがありません。
今後、スタンダードとなるシステムを作っていく必要があると思います。
瀬戸際を迎えたボーイング社/投資の真骨頂を問われるソフトバンク
2度目の墜落事故を起こしたボーイングの新型機「737MAX」について、認証手続き中だった2016年に当時のテストパイロットが制御性システムについて「ひどいものだ」などと評するメッセージを同僚に送っていたことがわかりました。
ボーイングは数ヶ月後にこのメッセージの存在に気づいたとしていますが、連邦航空局(FAA)は報告が遅れた理由の説明を求めています。
現在、米国の耐空証明において、ボーイング社は自動承認に近い状況なのだと思います。
許可する人もボーイング社や米軍からの天下りが多いなど、様々な事情が入り組んでいるのでしょう。
結果として、三菱には厳しく、ボーイングには甘い、という状況が続いています。
今回の「737MAX」については、テストパイロットから指摘があったにもかかわらず、規制当局を欺いて耐空証明を取得したということです。
これだけでも大きな問題ですが、さらに事故後のボーイング社の対応が最悪でした。
事故を起こしたのが途上国だったことを理由に、パイロットの経験不足が原因ではないか?と、ごまかそうとしました。
最終的には自分たちのミスを認めましたが、非常にひどい態度だと言わざるを得ません。
大きな補償を背負い、売上も上がらず損失を計上する事態になっています。
ボーイング社は、商用機、防衛・航空宇宙、サービスなどで売上をあげていますが、売上も利益も圧倒的に大きいのは商用機です。
ですから、「737MAX」を販売できないとなるとかなり苦しい状況になるのは間違いありません。
株価は下落していると報じられているものの、長期スパンでみると、騒がれるほど大きな下落ではありません。
もしかすると、トランプ大統領による何かしらの救済への期待もあるのかも知れません。
いずれにせよ、信頼も失墜し、大きな収益源を失う可能性があり、ボーイング社は正念場を迎えています。
米ウィーカンパニーは、ソフトバンクグループのもとで経営再建を進めると発表しました。
ソフトバンクグループが、ウィー株を追加取得するほか、ウィー創業者のアダム・ニューマン氏が取締役から退くとのことで、ソフトバンクグループは総額95億ドルを投じることになります。
この投資によって、ソフトバンクグループは、ファンドではなく、ソフトバンク本体が約5000億円のリスクにさらされることになります。
これはグループ全体にとっても大きなリスクです。
ソフトバンク・ビジョン・ファンド全体への影響を考慮して、ソフトバンクグループとしては「伸るか反るか」の判断をした、ということでしょう。
最悪、この程度の損失ならソフトバンクグループとして耐えられるという計算もあると思います。
ただし、ウィーワークと同様に、「株価は高いが利益が出ていない」という他の投資案件もあります。
それらが上手くいかないとなると、事情は変わってくるでしょう。
ソフトバンクグループによる投資の真骨頂が問われるタイミングかもしれません。
---
※この記事は10月27日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週はサブスクリプションのニュースを大前が解説しました。
近い将来、「引っ越しはカバン1つがあたりまえ」になる時代が来るかもしれません。
「あたりまえに我慢していること・不便に感じていること」を考え直すことで、新たなサービスに繋がる可能性があります。
顧客価値を高めると同時に、マネタイズ方法を工夫することで、ブレークスルーが生まれます。
【選ぶなら仕事で使える】BBTオンライン英会話
この秋の夜長に英語力を高めてみませんか?
▼まずはレベルチェックもできる無料体験レッスンをお試しください
https://bbtonline.jp/trial_lp/?utm_source=lte_mail&utm_medium=mail&utm_campaign=20191101