- 本文の内容
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- 米中貿易 対中関税第4弾の正当性主張
- 香港情勢 「逃亡犯条例」改正案を正式撤回
- 人民元相場 中国、資金流出を警戒
トランプ大統領は経済を引っ掻き回しているだけ
米トランプ大統領は1日、中国製品への制裁関税「第4弾」について、「中国は自国通貨を切り下げているので、実際は米国の関税を中国が払っている」と主張。
また「中国に対する高関税からの収入で巨額のお金を手に入れている。一部を農家に補助金として支給している」とし、関税政策の正当性を主張しました。
関税を引き上げたことで米国政府だけが丸儲けしている状態です。
トランプ大統領は「農家に補助金を」などと発言していますが、選挙対策・アピールにすぎないでしょう。
トランプ大統領が行った関税政策はほとんど効き目を失ってきていて、単に経済を引っ掻き回しているだけです。
それどころか、経済を理解していないトランプ大統領が、五月雨に政策を実施し、経済に対して悪影響を与える結果になっています。
さすがに、金融市場も「トランプ・リスク」を明確に認識するようになってきていると感じます。
これから、米国では製造業も農業も、さらに大変な状況を迎えることになると思います。
香港市民のアイデンティティは中国人ではなく、香港人
香港の林鄭月娥行政長官は4日、「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回したと発表しました。
また林鄭氏は政府と市民の対話の枠組みや社会問題を討議する専門家の委員会を作ることも表明しましたが、デモ隊側は他にも「暴動認定の撤回」や「デモ参加者の釈放」など5項目の要求を掲げており、収束は見通せない現状です。
これに先立って、林鄭氏とビジネスパーソンの私的会合の録音データが出回りました。
その中で林鄭氏は、自分だけの意見ならすぐに辞任して香港の人に謝罪する気持ちがあるが、「香港と中国」の2つに仕える身として自分には自由度がない、と語っています。
今回の林鄭氏の「逃亡犯条例」改正案撤回の背景には、こうした事態を受けて中国政府が撤回許可を出した結果でしょう。
実際、欧州にいた中国の李克強首相もそれに類する発言をしています。
事態が膠着したままだと、米国のトランプ大統領が貿易問題に絡めて中国への交渉材料とする可能性があるので、中国としてはそれを避けたいという思いもあるはずです。
すぐに「逃亡犯条例」改正案を撤回していればよかったのですが、タイミングとしては遅かったと思います。
すでに1000人以上の人がデモ隊と衝突して逮捕される事態も発生してしまい、林鄭氏の辞任を含め、さらに4つの要求を突きつけられる結果になっているからです。
香港市民へのアイデンティティ認識調査の結果を見ると、「私は香港人」という認識を持つ人が増加しています。
つまり、香港と中国は違うと考えている人たちです。
現在、一国二制度の下、香港は1997年から50年間は資本主義の継続が認められていますが、それ以降は中国1国に統一される予定です。
1997年からすでに22年経過し、あと28年。
今、20代の香港の若者は40代で社会主義の中国に統一される状況を迎えます。
香港の若者がお金のあるうちに国外に脱出しようと考えるのは、自然なことでしょう。
そんな人たちを台湾が受け入れる姿勢を見せていますが、台湾も「ネクスト香港」になると考えている人も多いですし、実際どうなるかはわかりません。
そういう意味では、国外脱出先としてはカナダやオーストラリアのほうが無難でしょう。
もしかすると、近いうちに香港から大量に若者が出ていくかもしれません。
そうなれば、デモ隊は下火になりますが、より本質的な問題が残されることになります。
そのような状況で、中国自体は元安によって、資金が海外へ流出する恐れが出てきています。
日経新聞は先月30日、「中国、資金流出を警戒」と題する記事を掲載しました。
中国政府は海外送金や外貨売却が多い銀行の評価を引き下げる新たな規制を導入しました。
米中貿易戦争が長期化するなか、人民元相場では8月に1ドル=7元を突破し11年ぶりとなる安値となったことを受けたものです。
現段階で、当局はこの水準を容認しているものの、元安に歯止めがかからない状況は回避したい考えです。
安くなる前に人民元を外貨に替える人が続出するでしょう。
外貨で保有していれば、外国で運用することもできますし、将来海外に高飛びするときの資金としても活用できます。
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※この記事は9月8日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は、香港情勢について大前が解説しました。
大前は
「近いうちに香港から大量に若者が出ていくかもしれない」
と述べています。
現在起きていることを考察することで、次に何が起きるのか、ある程度合理的に予測することができます。
未来は全く分からないという態度ではなく、将来はこうなるのではないかと複数の選択肢をつくり、中長期的な視点をもって最善の一手を見極めることが大切です。
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