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- カジノ構想 統合型リゾート(IR)を誘致方針
大阪よりも横浜のほうがカジノ誘致に向いている
横浜市の林文子市長は22日午後、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を正式に表明しました。
敷地面積47ヘクタールの山下ふ頭に整備し、2020年代後半の開業を目指します。
林市長は「将来に渡り成長発展を続けていくためには、IRを実現する必要がある」との結論に達したと説明しました。
横浜港運協会会長・藤木氏は、「賭博場にはしない」「ギャンブル依存症になったら大変」などと山下ふ頭へのカジノ誘致に反対しています。
以前、林市長も藤木氏の勢いに押されて、カジノ誘致については「未定」としていましたが、横浜の将来を考えて必要だと考えを変えたのでしょう。
横浜にカジノが誕生する可能性を聞いて、メルコリゾーツや米ラスベガス・サンズなども興味を示しているとのことです。
メルコリゾーツの会長兼最高経営責任者であるローレンス・ホーはマカオのカジノ王と言われるスタンレー・ホーの息子です。
彼らは近い将来マカオのカジノライセンスを失う可能性もあるので、カジノを移せる地域を探しているとのことです。
そうであれば、日本の横浜は申し分ない地域だと思います。
トランプ大統領の後ろ盾であるアデルソン氏が経営するラスベガス・サンズ。
当初、大阪に進出する予定でしたが、東京もしくは横浜に考えを改めたのでしょう。
大阪では夢洲という非常に交通の便が悪いところにカジノを誘致予定でしたが、横浜の山下ふ頭なら羽田からの利便性も高いですし、大阪よりも魅力を感じるのは当然でしょう。
大阪は夢洲に万博もIRも持ってくると騒いでいましたが、どうやら実現しそうにありません。
埋立地で余っている土地を使おうというのが、そもそも考えとして甘いと思います。
大阪は2030年には人口1000万人を割り込み、いわゆるメガシティから陥落する可能性があります。
府と市が一体となって取り組むぐらいでは意味がなく、関西全体として一体になる必要があると私は思います。
例えば、関空からの利便性などを考えて和歌山と協力して関西全体を盛り上げる施策を考えるなど、できることはたくさんあります。
横浜にカジノを誘致するなら、ノースピアを活用する
横浜港運協会会長の藤木氏は山下ふ頭にカジノを誘致することに渋っているようですが、私が20年前に提案したように瑞穂ふ頭を使えばこの問題は解決できます。
瑞穂ふ頭はノースピアと呼ばれ、いまだに米軍が占領している地域です。
かつて米軍は、海軍を横須賀、空軍を横田、陸軍を三ツ沢(岸根基地)に置いていました。
この岸根基地からまっすぐ来るとノースピアに辿り着きます。
米陸軍は撤退したため、今ノースピアは使われていません。
ここを活用すれば良いのです。
私が20年以上前に横浜の商工会議所に提案したのは、ノースピアにカジノを作り、かつその際にパスポートを必須にするという方法です。
米軍が自ら占領している形を継続し、パスポートで入場させます。
こうすると、入場する人の管理もできますし、外国から来た人はそのまま入場することができます。
マリーナベイ・サンズも総工費は5,000億円ですが、カジノの部分は200億円程度の規模ですから、それほど大きくありません。
ノースピアでも十分に対応できるはずです。
藤木氏は山下ふ頭には国際展示場のようなものを作りたいと思っているようですが、それは無謀だと私は思います。
国際展示場は、世界中に溢れているからです。
日本でも幕張、ビッグサイトにありますし、ドイツでもミュンヘン、フランクフルト、ハノーバーなど多くの地域にあります。
世界的に見て、もはや国際展示場に行く時代ではありません。
もう少し現状を調べて出直してほしいと思います。
瑞穂ふ頭・ノースピアを使うというのは奇抜なアイディアに思えるかもしれませんが、構想力を発揮して考えれば、実はオーソドックスな方法だとわかります。
藤木氏が心配しているギャンブル依存症や人間の管理も全てパスポートで対応することができますし、理にかなっているはずです。
こうした施設や都市計画を考える際には、ぜひ構想力を持って新しいものを考えてほしいと思います。
どこか外国の施設をそのまま真似するようなものではなく、もう一歩踏み込んだユニークな発想が重要です。
例えば、カナダのウィスラーは非常に良い例です。
ウィスラーの街を構想した人はノルウェーから来た方でしたが、決してノルウェーを真似したわけではありません。
ウィスラーは素晴らしいスキー場になる山を持つ一方、ゴミが溢れていました。
そこで、単にゴミを埋めてしまうのではなく、表面を覆って建物を建て、その下を駐車場にするという方法を取りました。
街の下全体に駐車場が広がっているのです。
もちろん駐車場は雪に埋もれないので、出入りが楽になります。
これは非常に素晴らしいアイディアだと思います。
そして、冬などは夕方4時以降になると、みんなが街の下に降りてきます。
そこには、ホテルもディスコも映画館も食堂もあって賑わっています。
世界には例がないようなユニークな街になっています。
寒い山の上のみにホテルがあって誰も下には降りてこない日本のスキー場とは対照的です。
かつて私が提案した横浜構想も、誰の真似をしたものでもありません。
横浜へのカジノ誘致についても、ぜひユニークな発想力を持って考えてもらいたいと思います。
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※この記事は8月25日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週はカジノ構想のニュースを大前が解説しました。
IRについては、様々な利害関係が絡んでおり、意見の対立も起きています。
こういった問題を解決するには、視点を変えて、これらの問題を一網打尽にできる打ち手はないか、考えてみることも大切です。
複雑な問題だからこそ、考える力を発揮することができます。
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