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- 高齢ドライバー 高齢者専用の免許創設を検討
- デジタル課税 法人税、どこに消えた
高齢ドライバーの交通事故割合は、若者と変わらない
政府が今月下旬に閣議決定する成長戦略に、高齢ドライバー専用の新たな運転免許を創設する見通しが明らかになりました。
75歳以上を対象に自動ブレーキなどの安全機能がついた車種のみ運転することができることなどを検討するもので、高齢ドライバーによる事故が相次ぐ中、対応を急ぐ考えです。
高齢ドライバー用の制度に強制力はない予定なので、全体として「緩い」ものになると思います。
こうした高齢ドライバー向けの対策は早く実施すべきですが、過度に高齢ドライバーの事故だけを問題視するのではなく、全体像を理解することが大事です。
まず年齢別の運転免許保有比率は、75歳以上は6.8%に過ぎません。
そして、年齢別の交通事故件数・割合を見ると、75歳以上の数字は25~29歳とほぼ変わりません。
日本の人口で高齢者の人数が増えているので、高齢ドライバーの事故が目立つだけで、事故割合そのものは大きく増えていません。
また、20~24歳、16~19歳という若い年代の方が事故件数・割合は多いですし、飲酒運転・無免許運転など無謀なものも多くなっているので、高齢ドライバーだけに焦点を当てて問題視するのは少々違う、と私は思います。
高齢ドライバーの交通事故は、いずれ自動運転が普及すれば解決する問題でしょう。
現状の対策で言えば、一律に高齢ドライバーを対象にするよりも、「注意すべき人」を確認するべきです。
私も高齢ドライバーとして免許更新の際に試験を受けた経験がありますが、一緒に試験を受けている人の中に明らかに「この人の運転は危ないな」と感じる方がいます。
普段から周囲の人が見ていても、こうした人の運転の危うさには気づけるはずなので、そのときに忠告することができれば良いと思います。
世界で公平に法人税を課税するためには?
日経新聞は9日、「法人税、どこに消えた」と題する記事を掲載しました。
これは2000年代までは、企業の利益に比例して法人税の負担額が増えていたのに対し、2010年以降はその比率が低下していると紹介。
多くの企業が知的財産権を税率の低い国に移しているのに加え、経済のデジタル化でサービスの利用やお金の流れが見えにくくなっていることが要因としています。
最近、日経新聞はデータをもとに問題提起する記事を掲載していますが、この記事は非常に良い分析をしていると思います。
政治家が企業人を喜ばせるために、法人税率を引き下げ、本社機能を移してもらう動きが続いています。
日本でも、2007年から2018年で税引前利益は若干増加したのに、企業の税負担額は減少するという事態が起きています。
かつて企業の税負担額は30%を超えていましたが、今では20%程度に下がっています。
世界的にも法人税の減税競争は激しさを増しています。
製薬会社など多くの企業が本社機能を置いているアイルランドが12.5%と低い水準になっていて、スイスは20%、英国、チェコも20%を下回る水準で企業を呼び込もうとしています。
かつて40%を超えていた米国と日本も30%を下回る水準まで落とし、イタリアも同様に30%以下になっています。
また以前は50%を超えていたドイツでさえ、30%程度に落とさざるを得ない状況になっています。
欧州の企業では、法人税率が高いドイツから本社機能をスイスやオランダに移しているところが多く、米国の企業はアイルランドへ向かうところが比較的多くなっています。
その中でもGAFAは、オランダとアイルランドで税法上の仕掛けを利用して、実質的に税金がかからないような体制をとっています。
また、ウーバーは本国で利益を出さないようにして、オペレーションをオランダに移し、さらにタックスヘイブンの国を利用しています。
創業したときから、税金をなるべく支払わない仕掛けを作っています。
このように「ちょっとしたテクニック」を使うだけで、ある国には税金が納められないとなると、不公平であり大きな問題です。
これを解消するためには、本社機能がある場所・国に関係なく、全世界の利益に対してオペレーションの大きさで比例配分して課税する方法しかありません。
たとえば、Amazonなら全世界における日本のオペレーションの割合を算出し、全世界の利益からその割合に応じて、日本で納税してもらいます。
これを「外形標準課税」と言います。
先日開催された、G20の財務相・中央銀行総裁会議でもこの問題はテーマになりました。
結論は出ていませんが、世界的に解決すべき大きな課題であることは間違いないでしょう。
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※この記事は6月16日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は、高齢ドライバーのニュースについて大前が解説しました。
近年、高齢ドライバーの事故が目立っていますが、10万人あたりの事故件数をみると、若い年代の事故のほうがはるかに多いことがわかります。
このように、話題のニュースをそのまま受け入れてしまうと、事実を正確に把握できない場合があります。
物事の実態を掴む際には、絶対量で比較するのか、比率で比較するのか、指標を選ぶところから始まります。
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