大前研一「ニュースの視点」Blog

KON774「航空自衛隊/防衛費/新紙幣発行~新紙幣発行の本当の狙いは?」

2019年4月19日 新紙幣発行 航空自衛隊 防衛費

本文の内容
  • 航空自衛隊 訓練中に消息不明のF35A墜落
  • 防衛費 2019年度防衛費は対GDP比1.3%
  • 新紙幣発行 2024年度上半期に紙幣一新

一刻も早い原因究明が何より重要


航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機「F35A」が訓練中に消息不明になったことについて、防衛省は10日、機体の一部などを回収したことから墜落したと断定しました。

機体から訓練中止を告げる通信があった直後に消息が途絶えたということで、自衛隊などはパイロットの捜索と機体の回収を続けるとともに事故の状況や原因を詳しく調査しているとのことです。

墜落した航空機を操縦していたのは、4機編隊の隊長を務めるほどのベテランの方だったそうなので、よほどの緊急事態が生じたのでしょう。

ベイルアウト(ボタンを押して非常脱出すること)もできずに墜落したというのは、驚きです。

F35Aの墜落事故は世界的に見ても初めてのことで、その意味でも原因究明は必要であり、重要なことだと思います。

もしかしたら、何かしら機体の構造的に問題があったのかもしれません。

ただし、機密性が高いため、どこまで原因を追求できるのかはわかりません。

また、墜落した機体は海底1500メートルに沈んでいるので、回収も容易ではないでしょう。

とは言え、日本は1機150億円のこのF35A戦闘機を150機購入予定ですから、このままウヤムヤにする訳にもいきません。

1500メートルの海底からでも回収する方法はあると思うので、一刻も早い原因究明を望みます。




防衛費をGDP比2%まで上昇させるのは、特に日本とドイツには難しい


岩屋防衛相は9日、2019年度の防衛費を北大西洋条約機構(NATO)の算定基準で試算すると、対国内総生産(GDP)比で最大約1.3%になるとの認識を示しました。

日本の防衛費は、これまで国内反対派や周辺国による防衛費拡大への懸念を抑えるため、防衛費を対GDPで1%以内におさえてきました。

今回は米国からの防衛予算増額要請を踏まえ、NATO基準を適用し理解を求める考えとのことです。

かつては防衛費が1%を越えたら、烈火のごとく野党が文句を言っていましたが、今はその力もありません。

トランプ大統領がNATO加盟国に国防費負担増を要求していたのを、対岸の火事と思ってみていたら、いつの間にか岩屋防衛相がNATO基準を活用し1.3%を提示するようになってしまった、というところでしょう。

トランプ大統領のNATO加盟国への要求は厳しく、現在1.2%のドイツは2025年までに2%まで上げることを求められています。

防衛費を2%まで上昇させるのは、ドイツにとっても日本にとってもかなり難しいと思います。

トランプ大統領からすれば、防衛費を上げて、米国から購入してほしいという意図があるのでしょう。

しかし、日本とドイツの場合には、防衛費を上昇させると周辺国から警戒されるという歴史的な事情や背景もあるので、一筋縄ではいかないと思います。




新紙幣発行の本当の狙いは?財務省の「裏の意図」とは?


財務省は9日、1万円、5千円、千円の紙幣を2024年度上半期に一新すると発表しました。

新紙幣の図柄は、1万円札が日本の資本主義の父と言われる「渋沢栄一」、5千円札は津田塾大学創始者の「津田梅子」、千円札は日本の感染症予防や細菌学の発展に貢献した「北里柴三郎」になるとのことです。

新紙幣の発行理由を「偽造防止のため」とする報道もありますが、私は全然違うと思います。

中国くらい偽造紙幣が横行しているならわかりますが、そもそも日本の紙幣はそれほど偽造されていません。

元号が変わるタイミングで発表し、明るい状況の勢いに乗りたいというのもあるのかも知れませんが、私は何かしら財務省の「裏の意図」があるように感じています。

真偽はともかく、20年前に新紙幣が発行されたときには、赤字財政を立て直すために、政府がトリックを仕掛けたとの噂がありました。

簡単に説明すると、旧紙幣の1万円を持ってきたら新紙幣の8千円を返すという仕掛けを作り、2千円(20%)を強制的に国が徴収できるように画策していたと言われています。

当時、ATMを製造している会社に、上記のような仕掛けについて複雑な操作ができるように要請したという噂が流れました。

某関西地区の国会議員がこの情報を入手し、当時の大蔵省に問い合わせをして、ATMの設計上はそのような細工が施されていたと確認したそうです。

日本国債の暴落が世界的な金融危機のトリガーを引くことになるのではないかと危惧されていた時だったので、日本政府としては何とか対応したかったのでしょう。

今回も同じ仕掛けということはないでしょうから、また別の「裏の意図」が隠されていると私は見ています。

タンス預金50兆円を表に出すためとも言われていますが、このお金は課税対象にならないので政府としては意味がありません。

また、ほとんど銀行金利がつかない今の状況では、新紙幣の発行だけでタンス預金を表に出そうと思う人も少ないでしょう。

旧紙幣が1年で使えなくなるといった条件があれば別ですが、5~10年使えるのであれば問題ありません。

日本は現金流通残高が多い国です。

キャッシュレス化が叫ばれている今、新紙幣の発行を発表した意味もあるのかもしれません。

20年前は新紙幣の発行までの期間は2年間でしたが、今回は5年の猶予があります。

財務省を辞める人もいますし、代議士も追求するでしょうから、5年の間に少しずつ、その「裏の意図」が漏れてくる可能性も高いと思います。

何にせよ、財務省の「本当の意図」は5年後ではなく、別のところにあると私は思います。



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※この記事は4月14日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています




今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は、新紙幣発行のニュースについて大前が解説しました。

新紙幣発行の背景には何があるのか、大前は様々な切り口から推測しています。

さて、物事の背景を推測する力は、どのように鍛えることができるでしょうか。

まず、過去に何があったか、歴史を知ることが大切です。

歴史を知ることで、過去のケースと照らし合わせながらその背景を推測することができます。

さらに、様々な立場で物事を想像することで、多様な推測が可能になります。

物事の背景を推測する力を高めることで、目の前の情報に流されることなく、未来の戦略を描くことができます。


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