大前研一「ニュースの視点」Blog

KON676「G7首脳会議・米朝関係・北朝鮮情勢 ~北朝鮮崩壊で各国が受け入れられるシナリオ」

2017年6月2日 G7首脳会議 北朝鮮情勢 米朝関係

本文の内容
  • G7首脳会議 北朝鮮、テロ対策など外交・安全保障で協調
  • 米朝関係 米の「対話と圧力」甘い見積もり
  • 北朝鮮情勢 日本政府が語らぬ「ミサイル飛来なら逃げ場なし」の現状

信念なき発言で、もはや誰からも信頼をされないトランプ大統領


主要国首脳会議が、先月26日、27日、イタリア南部シチリア島のタオルミナで開催されました。会議では英国マンチェスターで起きた自爆テロを受けて、国際社会が協力することで一致する一方、初参加のトランプ米大統領が各国の貿易障壁を批判し、公平な条件を求めるなど貿易面では摩擦が鮮明になりました。

メルケル首相によると、「7カ国協議ではなく、1対6だった」と言わせるほど、トランプ大統領が孤立していたとのことです。欧州の報道を見ると、トランプ大統領の態度があまりに下品に過ぎてフィットしていない、と伝えていました。

トランプ大統領にとっては外交デビューであり期待されていましたが、関税障壁のことなどすべて自分を中心に前に出ていくだけで、米国の放送局でさえ「恥ずかしい、世界の指導者と同格ではない」と報じていました。

今回のG7でも一層明白になりましたが、トランプ大統領が口先だけの「嘘つき」であるということが、何よりの問題だと私は思います。

例えば、中東問題です。選挙期間中はサウジアラビアやエジプトを持ち上げて、ISやイランと徹底的に闘うと発言していました。オバマ元大統領はイランと話し合いの場を持つに至りましたが、それをすべて無にしました。それにも関わらず、自分の目の前にスンニ派の人がいると手の平を返して歯の浮くような発言をします。ローマ法王についても、散々喧嘩をふっかけていたのに、いざ目の前に出ると「勉強になりました」という始末です。

米国の選挙民からすれば、トランプ大統領のあのキャンペーンは一体何だったのか?と感じているでしょう。NATOでも今回のG7でも、もはやトランプ大統領の言うことは、何一つ信用されないというレベルになっていると私は感じています。

主要国首脳会議はかつてG8でしたが、ロシアが排除されてG7になりました。今のトランプ大統領なら米国も除いて、G6でもいいと欧州側は考えているでしょう。結局、トランプ大統領には自分の信念がないので、目の前のことだけを良く言う、という態度になってしまうのだと思います。



日本に北朝鮮に対する抑止力はない/北朝鮮崩壊で各国が受け入れられるシナリオ


日経新聞は「米朝関係 米の「対話と圧力」甘い見積もり」と題する記事を掲載しました。それによると、北朝鮮は21日、今年8回目となる弾道ミサイルを発射。国際社会は発射のたびに非難するものの効果は薄く、トランプ米政権の軍事圧力を見せかけと判断しているフシがあると紹介。従来の方針を踏襲したに過ぎないトランプ政権の対話と圧力路線の形骸化は否めないとしています。

G7を終えて、安倍首相はしきりに「北朝鮮に対する圧力」が成果だと発言していましたが、事実としてそのような報道は目にしません。実際のところ、基本的に抑止論は成り立たないという事実を認めるべきです。北朝鮮からミサイルが発射されれば、数分で日本へ着弾します。それを守る術はありません。この厳しい現実を政府や国民に知らせる必要があると私は思います。

マグマグニュースに掲載された「北朝鮮情勢 日本政府が語らぬ「ミサイル飛来なら逃げ場なし」の現状」という記事では、詳細にこの現実について紹介しています。Jアラートとエムネットの双方を使って緊急情報が伝えられることになっていますが、警報が鳴っても避難できる場所がありません。仮にシェルターが近くにあっても、着弾するミサイルを回避するためには、警報を聞いてから数分で避難を終えなければいけません。これは現実的には不可能でしょう。

北朝鮮をどのように抑えるのか?という命題について、米国は先制攻撃を想定していましたが、これも北朝鮮がミサイル発射ボタンを一斉に押したら、韓国への攻撃を防ぐことはできないとわかりました。おそらく、韓国では100万人規模の被害が出ると言われています。現状で言えば、北朝鮮の初期攻撃を防ぐ手立ては見つかっていません。

北朝鮮に対して、トランプ大統領が期待するように「中国が解決してくれる」というシナリオを推す人もいます。このとき理解しておかなければいけないのは、中国と韓国それぞれが受け入れる条件があるということです。もし中国が北朝鮮の崩壊をもたらしたとしても、中国が38度線まで領土を広げることは、韓国としては受け入れられないはずです。

逆も同様です。米国が韓国に力を貸して北朝鮮を崩壊させたとしても、米軍が駐在するような形で北朝鮮の地域を支配することを、中国は受け入れないでしょう。中国にしても、米国と直接国境を接するよりも、緩衝材として北朝鮮が存在してくれる方がありがたいと感じているはずです。

北朝鮮が崩壊するシナリオを想定した場合、韓国が祖国統一を果たし、米韓軍事同盟の及ぶところは38度線までとすること、すなわち米軍のいない韓国として支配すること。このようなシナリオしか中国は受け入れることはないと思います。



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※この記事は5月28日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています




今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?



今週は、米朝関係の話題を中心にお届けしました。

北朝鮮をどのように抑えるのか?という命題について、
現状で言えば、北朝鮮の初期攻撃を防ぐ手立ては見つかっていない
と大前は記事中で言及しています。

現代社会では、自然災害、テロなど、
起こる確率が低いと思われた想定外の事態が次々と起こっています。

このようなリスクを最小限に抑えるためには、
現在世界中で起こっていることや、今後起こりそうなことに注意を払い、
重要な変化を迅速に認識し、変化に適応することです。

もちろん、これは経営においても同じです。

事前に複数のシナリオを想定し、
どの状況にも耐えうるようにすることで、
想定外の出来事でも慌てずに意思決定を行うことができます。


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