大前研一「ニュースの視点」Blog

KON644「人工知能・米ヤフー・アジア主要企業 ~米有力5社が新団体設立」

2016年10月21日 アジア主要企業 人工知能 米ヤフー

本文の内容
  • 人工知能 米有力5社が新団体設立
  • 米ヤフー 「ヤフーメール」全ユーザーの受信内容監視に協力
  • アジア主要企業 カリスマ経営者、時価総額高める

人工知能(AI)が与える未来とは?旅行業界への打撃を懸念


グーグルを傘下に持つ米アルファベット、米アマゾン・ドット・コム、米フェイスブック、米IBM、米マイクロソフトの5社は、先月28日、人工知能(AI)の普及・啓蒙に向けた新団体を設立すると発表しました。

AI技術の進歩が加速し、様々な製品やサービスに広がるなか、AIに関する人々の理解を深め、安全を確保するための共通の指針づくりに取り組むとのことです。

今後AIが与えるであろう影響を考えても、この連合体は非常に重要な役割を持つと思います。

シンギュラリティ(技術的特異点)について、グーグルの研究者は「2045年には人間自身が未来を予測できなくなる」という仮説を発表しています。

その仮説によれば、その時点で人工知能(AI)が人間の能力を超える、ということです。
ナノテクノロジーサイズの人工知能も登場し人間と一体化していく、とのことです。

これが事実だとすれば、そのとき「学校」はどのような役割を担うべきか?
あるいは、そもそも人間とは何か?ということが問われることになるでしょう。

そのような事態にはならないという人もいますし、同じような未来がもっと早いタイミングで訪れるという人もいます。

いずれにせよ、AIはあらゆる産業や生活に影響を与えていくのは間違いありません。
日本も受け身の姿勢ではなく、ぜひオリジナルな研究を進めて欲しいところです。

ビッグデータやAIの影響で、5年~10年後にはブルーカラーの仕事だけではなく、ホワイトカラーの仕事も10分の1になってしまうと言われています。

このとき、逆に人手不足になっているのは、工事現場などのAIではカバーできない部分でしょう。

デスクワークばかりしていた人が、工事現場に出て仕事をすることはないでしょうから、ここが課題になると私は見ています。

また、今プレイステーション4で大フィーバーになっているVR(仮想現実)は、今後ゲーム以外の分野での展開が見込まれます。

ゲームでの熱が冷めて落ち着いたとき、私が一番期待しているのは「旅行」での活用です。
VRを使うと簡単に世界旅行を体験することができます。

味覚まで再現することはできませんが、ビデオや映像どころではない「体験」は大いに需要があると思います。

ノルウェーのフィヨルドやアルプス山脈など、高齢者の方でも気軽に旅行気分を味わえるようになるでしょう。

ただ、VRには身体的な影響について懸念もあります。
癲癇を誘発する、目に異常が出ることがあるとも言われています。
新しい技術だけに、人体への影響を考慮して体の機能を損なわないようにすることは第1に考えなくてはいけないでしょう。


アジアは、フォードなどを筆頭に飛躍した米国と同じ成長段階に入った


米ヤフーが米情報機関の要請を受け、「ヤフーメール」の全ユーザーの受信内容の監視に協力していたことが明らかになりました。

ネット企業によるアカウントを限定しない大規模な監視は前代未聞。
同社が進めている米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズへの事業売却手続きに影響が出かねないとの懸念も広がっています。

株主にもベライゾンにも何も伝わっていなかったということです。
今後の訴訟も考えると、これは大変な問題です。
マリッサ・メイヤー氏は、再びヤフーに泥を塗る形になりました。

不甲斐ない米ヤフーの失態が明るみに出る一方で、アジア企業の成長が著しく、時価総額が大きく成長しています。
日経新聞は1日、「カリスマ経営者、時価総額高める」と題する記事を掲載しました。
アジアの主要上場企業「Asia300」が2000年以降に増やした時価総額を見ると、カリスマ経営者の独創的なサービスの創出や巨大組織の新陳代謝を促す変革力があったと紹介しています。

中国のテンセントがアリババを抜いて、時価総額でアジアトップに躍り出ました。
中国のテンセント、中国平安保険、百度。そして韓国のサムスン電子に、台湾のTSMC。
これらの企業が大きく時価総額を伸ばしています。創業者個人のキャラクターが目立ち、長期間経営に携わっているのが特徴です。
リーダーシップが発揮しやすいという反面、サムスン電子のように後継者が決まらないという問題に発展することもあります。

アリババを抜いたテンセントは、スマホ向けアプリ「微信(ウィーチャット)」の利用者が11億人規模に達しており、企業としても非常に大きな力を持つに至りました。

テンセント創業者の馬化騰など、まさに立志伝中の人です。
米国でも、フォードやエジソンといった名前が広まって、国が成長した時代がありました。
アジアも同じような時期を迎えているのだと思います。


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※この記事は10月16日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています


今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は人工知能(AI)についての話題をお届けしました。

大前は、AI技術の進歩が加速する中、今後AIが与える影響と課題について解説しました。

取り巻く環境の変化に対し、理解を深め、常に最新情報にアンテナを張ることは、問題解決を行うにあたっても重要なポイントです。
特に、新たな技術が次々と現れてくる現代のビジネス環境では、受け身ではなく自ら情報を取りにいき、時代を先読みすることで新たなチャンスを発見することができます。


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