- 本文の内容
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- ライフネット生命 ネット生保の草分けに転機
- ロボアド AIが株を売買する未来
- 電子カルテ 病床持たないクリニックの導入率35%
成長鈍化は危険信号。ライフネット生命は岐路に立たされている
日経新聞は1日、「ネット生保の草分けに転機」と題する記事を掲載しました。
保険業界に新風を吹き込んだライフネット生命保険は、設立10年の節目を迎え、競合生保の増加で新規契約の伸び悩みに直面して、保険ショップなど販路の拡大に乗り出したものの、対面販売への傾斜は割安な保険料を阻害しかねず、新たな成長への道は険しいとしています。
ライフネット生命は、生命保険という商品のコスト構造を明らかにして、「なぜ従来の保険よりも安いのか?」を明確に説明しました。
そのような保険商品の売り方が、お任せではなく理屈で考えるタイプの人に受け入れられて契約数を伸ばしてきました。
ところが、ここに来て新規契約高が落ちてきています。当然、累積はされていますが、成長が止まったことは否めません。
経常収益が伸びていても純損失が膨らんでいる状況ですから、成長が止まってしまうと厳しい状況です。
さらに突き抜けてボリュームを確保する必要があります。
その苦境に対して、保険ショップなどの販路拡大に活路を求めたのですが、これはなかなか成功しないでしょう。
コミッションが高いですし、そもそも対面販売をするなら、ライフネット生命の特徴が失われ、「既存の生保会社とどこが違うの?」「インターネットを使うから安かったんじゃないの?」ということになります。
従来の日本の生命保険会社は、ライフテーブルの計算で(私に言わせれば)「イカサマ」をやっていました。
寿命の計算方法などで、差益が何重にも出るような仕組みを作り上げていました。
ライフネット生命は、その構造を指摘し、正しい数字を明確に説明するという形をとってヒットしました。その船出は好調でした。
しかし成長が鈍化しているにも関わらず、まだ赤字のフェーズだったとわかった今、大きな岐路に立たされています。
今後、理屈で買ってくれる層が増えないと厳しいでしょうし、似たようなオールネットの生保会社も出現しているので決して楽観できない状況です。
ロボアドのほうが、人間の勘よりも信用できる?
ズーオンラインは先月25日、「AIが株を売買する未来」と題する記事を掲載しました。
現在注目を集めているFinTech(フィンテック)の中に、ロボアド(ロボット・アドバイザー)という資産運用サービスがあると紹介。
利用者のリスク許容度や投資目標に合わせて、AIが自動でポートフォリオを組んでくれるというもの。ロボアドによる資産運用額が2020年には最大2兆ドルに達する試算を紹介しています。
残念ながら、この記事は「お粗末」なレベルでした。
記事の中で紹介されている実績は、ある担当者が10万円の資金からロボアドを活用した結果が紹介されていましたが、10万円では数百円得したというレベルです。
しかも、最終的には「チャラ」だったという内容でした。
ただし、確かにロボアドが台頭してきて、今後大きくなっていく流れはあります。ロボアドが米国企業でも広まっているのも事実です。
Vanguard、Charles SCHWAB、E TRADEなど多くの企業が取り扱っています。手数料が、普通のアドバイザリー手数料と比べるとそうとう安くなっています。運用額で見ても、すでに何千億円というレベルのものもあります。
今後、ロボアドの流れは大きくなると思います。これまで人間の「勘」に頼っていた部分をロボアドが代行することになります。
不安に感じる人もいるでしょうが、私に言わせれば、日経新聞をななめ読みしているような人の「勘」に頼るほうがよほど危険です。
「みんなが上に行くと言えば、上」と判断する人たちです。経済誌が来年の経済見通しなどを発表しますが、当たった試しがありません。
資産運用に携わる人間の「勘」も、そういうレベルだと認識すると良いでしょう。
その意味ではロボットのほうが良いと言えるかも知れません。
電子カルテの普及には、国の明確な方針が必要
厚生労働省の医療施設調査によると、2014年の電子カルテ利用率は400床以上の病院の77.4%に対し、病床を持たないクリニックでは35.0%に留まったとのこと。
全国には約10万のクリニックがあるため、6万5000のクリニックが紙のカルテを使っている計算になり、診療報酬引き下げで経営環境が厳しくなる中、高額のIT投資に踏み切れない現状が明らかになりました。
「国の方針」を明確に打ち出して対応しなければ、一生、電子カルテが普及することはないでしょう。
「便利だから使ってください」「業績がよくなりますよ」と呼びかける程度ではダメです。
米国の場合には、5年以内に電子カルテにしなければ罰金、逆に電子カルテを採用するなら補助金を、という強い方針を打ち出しました。
そして、プラクティス・フュージョンという電子カルテを無料で提供する会社も現れて、何十万人という開業医が導入しました。
ある程度の規模の病院なら高額の電子カルテシステムを導入できますが、開業医のレベルでは手が出ないのが実態です。
日本の場合は、導入率が25%にも達していません。
電子カルテは関わる人が全員導入していないと、意味がありません。病院が電子カルテを使っていても、処方箋は未対応のため手書きで書かされるなら無意味です。最初から最後まで電子カルテのデータを活用できるようにすることです。
電子カルテを使って一気通貫でデータ管理ができれば、ネットやスマホで患者自身も確認できますし、病院が変わっても煩わしいことが減ります。
医院・クリニックだけでなく、患者側の利便性も重要ですし、それを訴えることも必要です。
電子カルテは個人情報なのでプライバシーの問題など考慮すべき点もありますが、日本はそれ以前に厚生労働省が入り口を仕切っていないために、全く前へ進んでいない、というのが現状です。
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※この記事は8月7日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は、電子カルテの普及に関する話題をお届けしました。
現時点の普及状況は、理想からかけ離れた状態であるのは明らかです。
電子カルテの利用率を上げるために、どのような戦略を立てるべきか?
過去のやり方の延長だけでは、普及を進めることはできません。
一段視点をあげた解決策を立案することが重要であり、そのためには戦略的思考が必要となってきます。
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