- 本文の内容
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- 全日空 夏ダイヤの路線便数計画発表
- 民泊 空き家の「準公営住宅」指定で所有者による物件提供認め
- 訪日外国人数 2015年の訪日外国人客数
- 世界旅行客数 2015年の海外旅行者数
飛行機か?新幹線か?2時間半が分かれ道
全日本空輸は20日、3月27日に始まる夏ダイヤの路線便数計画を発表しました。国内線では北陸新幹線の開業後、低迷していた羽田空港発着の小松線と富山線を1日6往復から4往復に減便する方針を発表し、減便で浮いた羽田発着枠を使って宮古線を1日1往復で新規開設するほか、旅客需要が堅調な岩国線や沖縄線などを増便するとのことです。
かつて上越新幹線が開通し、東京から新潟まで「2時間半」を切るようになったとき、航空便は相次いで撤退に追い込まれました。
この「2時間半」というのが移動を選択するときの分かれ道になります。JRも当然のことながら理解しているので、北陸新幹線の東京-金沢間も「2時間半」に収めています。そのため、途中にある軽井沢に停車しないのです。
全日空の北陸路線は対前年比でマイナス50%以上に落ち込んでいますが、このままの状態だと富山、金沢はいずれゼロになっていくことになると思います。
賃貸で月額25万円のマンションが、月額120万円に化ける
日経新聞が16日報じたところによると、国土交通省は全国で増え続ける空き家を公営住宅に準じる住宅として活用する見通しが明らかになりました。まずカプセルホテル扱いで、その後新法検討と考えているようですが、私に言わせればそんなレベルの話ではなく、もっと大きなビジネスになる話です。
箱根湯本に温泉付きの別荘を持っている友人がいます。維持費、管理費、固定資産税などのコスト負担に頭を悩ませていましたが、エアービーアンドビーに登録して開放したところ、毎日のように外国人観光客が来て、なんと月収が100万円を超えたそうです。部屋の掃除や鍵の受け渡しなどを代行してくれる人に、月額30万円支払っても十分お釣りがくる状態です。
さらに都心に2LDKのマンションを持っている友人がエアービーアンドビーを活用したところ、1泊4万円で毎日利用者が来て、月収は120万になったそうです。このマンションは通常の賃貸だと、月額25万円が上限だったので、4倍~5倍に収入が跳ね上がっています。
中国人観光客などは大体4人~5人で来ますから、普通にホテルに泊まると総額1泊10万円くらいになるのを、このマンションだと4万円に抑えられます。またキッチンを使って料理をすることができるのも利点のようです。
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大京が民泊事業に参入する方針を明らかにしています。現在、個別に契約している掃除や鍵の受け渡し等の代行業務を、組織的に運営する体制を整えればコストダウンも図ることができるでしょうし、非常に大きなビジネスになると思います。
私の周りだけでも、収入が3倍~5倍に跳ね上がったという「エアービーアンドビー・ショック」が起きています。盆と正月が一緒に来たような状態です。今後の展開に期待したいと思います。
海外旅行産業は巨大。日本も各国別の対応を迫られる時代になりつつある
日本政府観光局(JNTO)が19日発表した2015年の訪日外国人客数は前年より47%多い1973万人となり、過去最高を記録しました。増加は4年連続で、円安を追い風に中国からの訪日客が急増しています。
そうした中、米ハイアット・ホテルズや米ヒルトン・ワールドワイドは、今後10年で金沢、鹿児島、広島などの地方都市にも開業を目指す方針が明らかになりました。去年のはじめ、私が「2000万人」に達すると予想したとき、ほとんどの人は信じていなかったようですが、実際には近しい数字になりました。リーマン・ショックの後、少しだけ落ち込みましたが、ここ最近の伸びを見ると劇的です。
内訳を見ると、従来トップだった韓国人に代わって、中国人がトップになりました。中国人、韓国人の割合が高いですが、米国人でも100万人来日しています。また、香港、フィリピン、シンガポールから来る人も増えてきています。
現状で見れば、個人ベースの買い物では圧倒的に中国人が多いでしょうが、必ずしも中国人だけではなく、様々な国の人が訪れるようになってきています。今後は、韓国人、台湾人、米国人、など各国別に対応していくことが求められるでしょう。
さらに、ロシアに対するビザが開放されれば、ロシアからの観光客も増えるでしょう。特に、ロシア人が好きなエジプトやトルコには行きづらい情勢になっているので、
大いに期待できます。ビザについては安倍首相に頑張ってもらいたいところです。
国連の世界観光機関が18日発表した2015年の海外旅行者数は世界で11億8400万人と前年に比べ4.4%増え、過去最高を更新しています。日本の2000万人が多いと言っても、全体からすれば2%に満たないレベルです。
地域別に見ると、欧州が6億人と圧倒的に多くなっています。次いでアジア・太平洋となっていて、米国は多くありません。主役の座は完全に欧州にうつっていて、アジアのスーパーリゾートも魅力的でしょう。
国境を超えて旅行する人の数は、うなぎのぼりで、市場は自動車産業よりも巨大になっていますから、今後も注目でしょう。
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※この記事は1月24日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は民泊の動向に関する話題をお届けしました。
記事中、幾つかの事例をもとにエアビーアンドビーが大きなビジネスになることを解説。同サービスのような「空きリソース」を活用する経済の新しいフレームワークを、大前はアイドルエコノミー(Idle Economy)と提唱しています。
変化の兆しに注目し整理して考えることで、そこから新しいチャンスを見出すことが出来ます。停滞する世の中においては既存のやり方に固執するだけでは戦えません。新しい切り口を見つけ実践することが、問題解決につながっていくのです。
★問題解決力トレーニングプログラム(大前研一 総監修)
http://www.lt-empower.com/