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〔大前研一「ニュースの視点」〕KON523「原子力規制委員会・発送電分離~考えの軸足を意識した施策立案」

2014年6月27日


原子力規制委員会 新委員2人の就任承認

発送電分離 最後の関門


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▼ 原子力規制委員会には、メーカーの人間による新しい風を

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原子力規制委員会の新委員に9月、日本原子力学会元会長の

田中知・東京大学教授と地質学者の石渡明・東北大学教授が

就任することが決定しました。


この人事にも安部官邸の思惑が反映されていると

感じてしまいます。


あえて原発再稼働の賛成派を選んだと批判されているようですが、

現在は「活断層オタク」の島崎委員長代理ですから、

どっちもどっちというところでしょう。


実際のところ、島崎氏の悪影響は大きいと私は思っています。


活断層の危険性を声高に叫んでいますが、

実は「何をもって活断層とするのか」という

基準すら定まっていません。


それでも、電力会社を震え上がらせるようなことばかり

騒ぎ立てるため、東京電力などは柏崎刈羽原発だけでも

4700億円もの資金を投じる羽目になっています。


電力会社に何千億円も使わせておいて、

当の本人は何も解決することなく、任を降りてしまうのですから、

完全なミスキャストだと思います。


田中氏や石渡氏は電力会社寄りの立場をとると

言われていますが、このキャスティングも私には疑問です。


上手く機能するとは思えません。


もう少し現場に近い人に担当してもらいたいところです。


そういう人材は、メーカーにしかいないでしょう。


メーカー寄りになるのは問題だと言われるかも知れませんが、

私に言わせれば、学者に頼るよりはマシだと思います。


私が見る限り、実力のある学者はほとんどいません。


実際、今までの学者の発表を見ていると、東京電力から

提出されたデータを読み上げていただけではないか、

と私は指摘したい気持ちです。


こうした悪しき習慣を変えていくためには、

メーカー側から人を入れることです。


そうでなければ、見かけだけの議論は

一生続いていくことになると思います。


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▼ 発電コストを下げるアイデアを考えよ

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日経新聞は、12日「発送電分離、最後の関門」と題する

記事を掲載しました。


政府が進める電力システム改革の最後のハードルは、

電力会社の送配電分離だと紹介。


しかし電力会社にとっては経営体制を大きく変えるなどの

負担がかかるため、東京電力以外は慎重姿勢で

今後の焦点は、経産省が来年の通常国会に

法律案を提出できるかどうかだと指摘しています。


発送電分離と聞くと、一見、良さそうな提案に聞こえますが、

単に分離しようではなくて、送電会社を中心にする構想がないと

意味が無いと私は思っています。


一口に送電と言っても、大きく2つあると私は考えています。


1つは3000ボルト以上を扱う高圧送電で、

もう1つがそれ以下を扱う配電です。


配電については、特殊な事情を除けば、地域独占になります。


そうしないと、各家庭への電線を2つ、3つの会社で提供しても、

二重、三重投資になるだけだからです。


では、発電と送電をどうするか?と言うと、

まず発電を自由化すること、そしてそこから

電力を買い取る送電会社を日本の中核にするべきだと思います。


発電を自由化することで、世界中から参入することが

できるようになるので、発電コストが下がります。


これが重要です。


政府が示しているアイデアは、1つとして発電コストを

下げるものはありません。


今のままでは発電コストは高くなるだけです。


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