大前研一「ニュースの視点」Blog

〔大前研一「ニュースの視点」〕KON522「成人年齢・集団的自衛権問題・道州制・国際バカロレア~前提条件を確認して考える」

2014年6月20日


成人年齢 民法の成人年齢「18歳にすべき」34%

集団的自衛権問題 「武力行使の3要件」を新たに提示

道州制 道州制基本法案の今国会提出を断念

国際バカロレア 「日本語指導可」で高まる熱


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▼ 18歳=成人、となるような教育制度を確立すべき

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日経新聞は、8日「民法の成人年齢」に関する

アンケート結果を公表しました。


それによると、成人年齢を18歳に引き下げることに

賛成の人は全体の34%だったとのこと。


想像していたよりも、かなり低い数値になっていますが、

これは説明不足の結果だと私は認識しています。


例えば、「18歳以上を対象とするのは国民投票に限られるが、

普通の選挙は20歳から」と言われれば、

矛盾があると感じるのは当たり前です。


そうではなく、18歳で成人と定義し、自動車免許、

飲酒、タバコなどを許可し、全ての選挙権を

与えるとするべきなのです。


高校までを義務教育と定め、

それを卒業したら社会人という位置づけです。


こうすると、義務教育の目的は

18歳で立派な成人を作ること、になります。


このような教育制度を整備することが重要であり、

この前提があって初めて「18歳」の議論に意味が出てきます。


ぜひ、この点をあらためて考えて欲しいと思います。


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▼ 中国は非常に危険な状態になりつつある

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自民党の高村副総裁は13日、自衛権の発動に必要な

3要件の見直し案を公明党に示しました。


公明党は一応、反対したという姿勢を見せており、

それは池田大作氏にも伝わっているようです。


要するに、池田氏としては中国に対して

「抵抗したけど、与党に残るためには致し方なかった」

と申開きができれば良いのでしょう。


公明党が外れるとなれば、与党に加わりたいと

思っている野党はたくさんいます。


背景としては、創価学会はこの政策に

反対の姿勢を示していて、公明党ともめていました。


今中国は軍部が暴走気味で危険な状況になりつつあります。


もしかすると、何かのきっかけで本当に戦争が

始まってしまうかもしれない、という危険性があると感じます。


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▼ 安倍政権は中央集権、官僚依存の方向性

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自民党道州制推進本部の今村本部長は12日、道州制導入までの

手続きを定めた基本法案の今国会提出を断念し、

秋の臨時国会以降に先送りすることを決めています。


道州制を推し進めようとしていた橋下氏の立場が弱くなれば、

この結果は致し方ないところでしょう。


安倍政権は中央集権的であり、ますます官僚依存が

強い体制を作っていますから、なおさらです。


当の橋下氏は、おそらく次の衆議院選挙には

出馬してくると思います。


もうすでに大阪市には興味を持っていないでしょう。


大阪都構想についても、中央に進出して

実現しようということになると思います。


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▼ 今後、さらに高まるバカロレアの重要性

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日経新聞は『バカロレア「日本語指導可」で高まる熱 』と題する

記事の中で、海外の有力大学が入学要件の一つとする教育プログラム

「国際バカロレア(IB)」の導入を目指す高校が増えている、

と紹介しました。


バカロレアの基準はなかなか厳しいものがあります。


中高一貫教育にして、高校1年生の段階で文科省の指導要領を

終えてしまうくらいで進めなければ、おそらく難しいと私は思います。


今回の件について言えば、文科省の意図も正直私には理解しかねます。


日本語でバカロレアを目指すと言っていますが、

それは無理がある考えです。


バカロレアの理念の一つとして、

異文化への理解と寛容性を育むことも定めています。


この点を理解しているのでしょうか。


国別の国際バカロレア認定校の数を見ると、

米国:1528、カナダ:338、英国:155に対して、

中国:80、日本:27になっています。


明らかに、英語圏の国のほうが多いのが実態です。


我々が運営しているアオバジャパン・インターナショナルスクールも、

国際バカロレアのDP(ディプロマプログラム)の候補校となりました。


今後はさらに中等教育プログラムを含め、小中高のすべての段階で

国際バカロレア一貫校となる予定で進めています。


バカロレアを目指す学校には、BBTが持つAirCampusを

提供することも考えており、バカロレア認定校については

非常に重要だと考えています。


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