大前研一「ニュースの視点」Blog

〔大前研一「ニュースの視点」〕KON519「成城石井・スーパー再編・ホテルオークラ・ソニー ~問題解決の視点を磨く」

2014年5月30日


成城石井 ローソン、三越伊勢丹が買収に名乗り

スーパー再編 マルエツ、カスミの統合会社を子会社化

ホテルオークラ ホテルオークラ東京を建て替え

ソニー 2014年度経営方針を発表


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▼ 成城石井は、かなり高い買収金額になるかも知れない

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日本経済新聞がまとめた2014年度のドラッグストア主要7社の

出店数は約600店と、13年度比1割増。


ドラッグストアのコンビニ化が進んでいます。


また、ローソンや三越伊勢丹ホールディングスなどが

高級スーパー、成城石井の買収に名乗りを上げていることが

分かりました。


成城石井を傘下に持つ三菱商事系投資ファンドの

丸の内キャピタルが12日までに買収の意向を確認。


丸の内キャピタルは今後、正式な入札を実施し、

今秋にも売却先を決めるとのことです。


レックス・ホールディングスから買収した成城石井ですが、

ここに来て追い風を受けていると感じます。


紀ノ国屋のコンビニ版のような位置づけで、一人でも行ける

少し高級感のある品揃えが特徴です。


アッパーミドル層のコンビニとして、

あるいはスーパーに行けない人にも非常に便利な存在に

なっていると思います。


場合によっては、買収額はかなり高額になるかも知れません。


三越伊勢丹は似たようなコンセプトで「クイーンズ伊勢丹」を

経営していますが、それほど上手くいっていないので

成城石井を手に入れたいところですが、ローソンが三菱系ですから、

普通に考えるとローソンが買収する可能性が高いと思います。


イオンは19日、食品スーパー事業の再編を正式発表しました。


マルエツやカスミなど3社が経営統合。


手薄だった首都圏で食品の売上高はグループ全体で

一気に5割増えて約1兆5000億円に達し、シェアトップの

セブン&アイホールディングスに迫る勢いとなります。


率直に言えば、食品スーパー事業において

巨大化したからといって、供給が限界に達している今の時代、

価格競争力が増すとも思えません。


とりあえず、セブン&アイホールディングスに規模の上で迫り、

大きさではナンバーワンと言えるくらいのメリットしか

ないかも知れません。


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▼ ホテルオークラ建て替えを発表/金融中心の方針へ向かうソニー

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ホテルオークラは旗艦ホテル「ホテルオークラ東京」を

建て替える予定。


2015年8月をめどに老朽化が進んだ本館の営業を休止し、

高さが200メートルと80メートルの2棟のビルを建設。


19年春の営業再開を目指すとのことです。


以前私が「ケーススタディ」として取り上げた時に、

全く同じような方針を説明したことがあります。


当時の資料をオークラの関係者にも送付しました。


彼らが私の提案書を参考にしたかどうかはわかりませんが、

ホテルオークラが生き残る道を考えれば、

これしか方法はないとわかるはずです。


もしかしたら、以前から悶々と思案していたのかも知れません。


ちょうど赤坂プリンスホテルが似たようなコンセプトで

建て替え中ですが、帝国ホテルやホテルニューオータニには、

ホテルオークラの発表はいい刺激になったと思います。


今の東京の事情で言うと、計画1年、

建設2年といったところでしょう。


2019年までの完成は十分に間に合うと思います。


1つ加えておくと、賃貸マンション(サービスアパートメント)

なども視野に入れると良いでしょう。


外資系企業の幹部クラスは、月100万円以上の賃貸マンション

でも住居費が出ますから、需要は高いはずです。


しかも米国大使館まで徒歩1分という場所ですから、

場所としても文句はありません。


ソニーは22日、2014年度の経営方針説明会を開きました。


平井社長兼CEOは、営業赤字が続くエレクトロニクス部門の

構造改革を今年度中に終えると言明しました。


一方、映画や音楽などを手がけるエンターテインメントと

金融事業を成長の核に位置づけるとのことです。


ようやく平井社長の口から「金融」という

言葉が出てきました。


私は何度も指摘してきましたが、

ソニーは金融に注力すべきだと思っています。


セグメント別の業績を見ても、

利益が出ているのは金融部門であることは明白です。


一方で、エンターテイメントは厳しいでしょう。


ゲームはほとんど儲かっていませんし、

映画は当たる年もありますが、安定していません。


金融を中心に考えていくという方針には賛成ですが、

平井社長の場合には半年前と発言内容がガラリと

変わってしまうところがあるので、少し懸念しています。


とは言え、ソニーの方針として「金融」という言葉が

出てきたのは非常に良いことだと思います。


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