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〔大前研一「ニュースの視点」〕KON518「南シナ海情勢・ウクライナ情勢~連邦制という一つの選択」

2014年5月23日



南シナ海情勢 ベトナム反中デモで21人死亡

ウクライナ情勢 住民投票で大多数が独立「承認」


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▼ ベトナムは戦争をも辞さない覚悟がある

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ロイター通信は15日、ベトナム中部ハティン省で

14日夜に起きた反中国デモで、21人が死亡したと報じました。


またフィリピン外務省は15日、南シナ海の南沙諸島の暗礁で

中国が埋め立てをし、陸地として拡張している実態を示す

写真4枚を公開しました。


ベトナムは最終的には「戦争なっても構わない」というくらい、

歯止めがきかない状態になりつつあると感じます。


ベトナムは中国と同様、共産党の1党独裁体制ですから、

ここで中国に引けを取るわけにはいかないでしょう。


かなり大きな事態に発展してしまう可能性があると

私は危惧しています。


中国は尖閣諸島問題を巡って日本と対立していましたが、

日米安保条約の影響もあって、なかなか埒が明かず目先を

「南の方角」へ変えてきたのだと思います。


フィリピンを第1目標、ベトナムを第2目標というところでしょう。




現在の中国は、東シナ海、南シナ海へと

露骨な領土拡大を図ろうとしてます。


軍部の独裁体制が出来上がりつつあるのではないかと思います。


中国が埋め立てたという南沙諸島には、明らかに

「軍事拠点」として利用しようという意図が感じられます。


今後、今の中国は大変危険な存在になりつつあって、

至るところで対立を深めていくでしょう。


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▼ ロシア系民族が霜降り肉のように、あちこちに存在する

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ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派勢力は12日、

地域の独立の是非を問う住民投票で大多数が「承認」したとして、

ドネツク州は「ドネツク人民共和国が主権国家であることを宣言する」

と表明しました。


ウクライナの州の中で、ロシア系が30%~50%に

達するのがドネツク州、ルガンスク州です。


クリミアと同様、ロシアへの編入を希望しています。


ウクライナ全体で4500万の人口のうち17%程度がロシア系なので、

クリミア単体とは違い、さすがにロシアにはそれだけを

養っていける財力はなく、ゆえにロシアとしても

次の一手で困っているという状況だと思います。


ロシア側も抱き込めないし、欧州側も救済するつもりはなく、

完全に膠着状態に陥っています。


民族構成比を見ると、例えば極右勢力が勢いを見せている

キエフ州などは、ロシア系が10%未満になっています。


ロシアが吸収したところで、

誰もが満足する形で落ち着くとは思えません。


その他にもロシア系が10%未満の州は多数ありますから、

おそらく連邦制を取り入れるしかないと私は思います。


米国同様、13の州が自治権を持ち、

そして共同運営するのが連邦政府という形態です。


民族構成比の中で、ロシア系がバラバラに

入り込んでいるのは、ロシアの歴史的な問題に起因します。


東欧州全体でみても、58%がロシア系だったクリミアは特別な存在で、

カザフスタン:24%、フィンランド:1%、エストニア:25%、

ラトビア:26%、ベラルーシ:8%、モルドバ:6%など様々な状況にあります。


かつてロシアは自国の勢力を増すために、

ロシア人をシベリアや他の地域に強制的に移住させました。


その結果、まるで霜降り肉のように、

あちこちにロシア系の人たちが入り込んでいる状況になっています。



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