海外利益 海外子会社からの受取額 3兆5200億円
政府系ファンド 昨年末の日本株保有額 約3兆7700億円
公的年金 運用利回り目標など検証へ
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▼ 投資アイディアがない日本企業。一方、日本を研究し投資するノルウェー年金基金
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日経新聞は4日、2013年に国内の親会社が海外の子会社から
配当や利子として受け取った額は、前年より7割多い
3兆5200億円に増加したと報じました。
税制改正により海外から利益を戻しやすくなったことが
背景になっているとのことです。
95%の税金免除というのは非常にありがたく、
資金を日本の国内投資に回せるという点でも
意味があります。
しかし、実際には日本国内には資金がだぶついているので
直接的な問題解決にはつながらないでしょう。
日本国内企業の手元資金は220兆円を
超えていると言われていますから、海外からの
3兆円など本来必要ありません。
投資が活性化しないのは資金不足ではなく、
投資のアイディアや勇気がないということです。
ここに一石を投じることができなければ、結局、
資金がだぶついて終わり、
というだけになってしまうでしょう。
一方、世界に目を向ければ、投資のアイディアを持ち、
スキルが高い人たちがいます。
世界最大級の政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金は
昨年末の日本株保有額は約3兆7700億円に達し、
前年末から約1兆8300億円増加しました。
日本企業の構造改革が進み、成長力が高まるとの期待から
中東やアジア諸国も日本株投資を増やしています。
世界でも最も高いパフォーマンスを誇る
ノルウェー政府年金基金を運営しているのが、
ノルゲスバンクという銀行です。
非常に戦略的に世界分散投資をしており、
またその手口・手法を公開しているのが特徴です。
また、日本株を非常によく研究しています。
保有率を見ると、トヨタは0.7%ですが、
ファナックは2.54%、さらには、パイオニアの6%を保有しています。
かつてスタートトゥデイの5%を保有していたこともあり、
パイオニアに対しては「大化け」を
期待しているのだと思います。
安定ブルーチップから、将来有望なもの、そしてパイオニアのような
「逆張り」まで、相当細かく日本を研究した上で80兆円の資金のうち、
かなりの部分を日本株に投資しています。
彼らの手口・手法は、インターネットで一般の人でも
見ることができるので、参考にしてみると良いでしょう。
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▼ 日本の年金基金の実力は、まだまだ未熟。
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厚生労働省は6日、公的年金の積立金運用で想定する利回りの目安を
社会保障審議会の専門委員会に提示しました。
5年ごとに実施する年金財政の検証作業の一環で、
具体的な利回り水準として、将来の経済状況に応じ名目で
年3.0~6.0%程度を確保する必要があるとの考えを示しました。
最近では国債保有率が減少してきていますが、
それでも現状のままなら日本国債が暴落したら、
銀行も年金もすべておしまいです。
今後は、国内の株式、外国の株式、外国の債権へ
シフトしていくべきでしょう。
問題は日本の年金基金には「投資・運用のスキル」がないことです。
最近、カナダの州の年金ファンドと組んで、
一部運用を任せる動きなども見せていますが、
これは良いことだと思います。
知識がないのに無理に運用すればかつて証券化商品で
損失を出した農林中金の二の舞いになります。
取りあえず、外部に委託という形でも
賢明な判断だと言えるでしょう。
ただ将来的には、一流のファンドマネージャーを
連れてくる必要があると私は思います。
先日、米大手運用会社PIMCOのモハメド・エラリアンCEOが
辞任したというニュースが報じられましたが、
私ならばすぐに彼を招聘することを考えます。
ハーバード大学の基金運用に参加していた経験を持ち、
間違いなく世界でもトップレベルの
ファンドマネージャーの一人です。
そういう人材を連れてくるべきです。
今、日本の年金基金の利回りが上昇してニュースになっていますが、
長い期間で見れば、ずいぶんと利回りが低い時期もあり、
安定していません。
シンガポールの年金基金のように、30年間にわたって
好成績を維持できるようになることを期待したいところです。