大前研一「ニュースの視点」Blog

〔大前研一「ニュースの視点」〕KON506「SCE・日本マクドナルド~競合を正しく把握し打ち手を考える」

2014年2月28日


SCE 「PS4」販売台数が530万台超

日本マクドナルド 原田泳幸氏が退任


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▼ PS2の夢をもう1度、というコンソールに固執する発想を捨てるべき

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ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は18日、

欧米で先行発売した新型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」の

販売台数が530万台を超えたと発表しました。


PS4は昨年11月の欧米を皮切りに56の国・地域で販売。


当初は2014年3月期中に500万台を販売する計画でしたが、

前倒しで達成したとのこと。


ですが、実際にはそれほど大きな成果とは

言えないと私は感じています。


これまでに発売された先行機種の販売台数を見ると、

2000万台、3000万台は当たり前ですし、PS2にいたっては

累計で1億5000万台という数字でした。


アナリストの予想を上回ったと言っても、500万台では

安心できる数字ではないでしょう。


今後、どれだけソフトが登場して売上を伸ばしていけるか

ということが重要です。


ソニーは任天堂ほどスマートフォンに対する拒否反応は

ないでしょうから、ぜひ連動することを考慮して欲しいと思います。


コンソールにこだわって「5万円からの値引きで4万円で」

と言われても、スマホユーザーの心には響かないでしょう。


このままコンソールに固執すると、いつ窒息死してもおかしくないと

私は懸念してしまいます。


いつまでも「PS2の夢をもう1度」などと考えていては、

どんどんスマートフォン市場から遅れるだけですから、

そのような発想は捨てるべきです。


そのソニーよりも、問題が深刻だと言わざるを得ないのが任天堂です。


先日のTIME誌でも

「スーパーマリオほどスマートフォンに相性が良いものはないのではないか?」

と提言されていました。


世界中の至るところで、なぜ任天堂はスマートフォンに

手を出さないのか?と言われ続けています。


任天堂の社内的な事情を見ると、

宮本茂専務の存在が大きいのだと思います。


任天堂を世界的な企業に押し上げた立役者であり、

もはや神様のような存在の人です。


故山内氏ならともかく、今の岩田社長では

コントロールできないと思います。


そして、宮本氏がコンソールにこだわっているから

任天堂はスマートフォンに舵を切れないのでしょう。


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▼ 単なるファミリー志向では、マクドナルドの問題は解決しない

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日本マクドナルドホールディングスは19日、

原田泳幸会長兼社長兼最高経営責任者が会長に退き、

傘下の事業会社、日本マクドナルドのサラ・カサノバ社長兼CEOが

後任に就く人事を正式発表しました。


原田氏は

「この2年間は後継者の育成と業績を上げ続けることの両立が難しかった」

と振り返りました。


原田氏は格好良く発表していますが、米国企業である

マクドナルドの方針は、シンプルに「原田氏をアウトに」ということです。


それ以上でもそれ以下でもないでしょう。


今後も取締役会の議長を務めるそうですが、それを発表した席上で

「他にいい仕事があればやる」と述べていました。


このあたりのセンスは、私には理解できません。


10年頑張って売上も伸ばしましたが、

結局そういうパターンの人なのか、と思います。


本質的な点を言えば、原田氏が気づかなくてはいけなかったのは、

マクドナルド=ハンバーガー市場の問題点や課題ではありません。


惣菜、うどん、そば、牛丼などあらゆる種類の「食」に関する事業が

展開されている日本においては、ハンバーガー同士の争いで勝てても、

それだけではダメなのです。


日本人の胃袋に対する競争に勝つ必要があるのです。


財布に占めるマクドナルドのシェアが落ちてきているという

認識を持ち、そこを根本的に見なおして解決する必要があります。


カサノバ氏は「ファミリー志向」という戦略を打ち出している

そうですが、正直、そんな生易しいものでは無理だと思います。


そもそもを言えば、これまでにカサノバ氏が経験してきた

米国やカナダは、惣菜、うどん、そば、牛丼など様々な強豪が

うごめいている日本に比べると、間食市場は非常に緩いと思います。


その経験値で、日本で戦っていくのは厳しいのではないかと私は見ています。


一つの事例を挙げれば、スターバックスです。


Wifi環境を整備して、おしゃれな仕事空間を演出することで、

ビジネスマン需要に応えるという形をとっています。


このとき、スターバックスの価値は「食べ物」ではなく、

「仕事場の提供」なので、他の間食事業者とは

一線を画すことができていると思います。


マクドナルドとも競争していません。


今、マクドナルドはどこに目を向けるべきなのか?


まず、この点を間違えないようにしなければ、

何をしても効果は薄いでしょう。


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