大前研一「ニュースの視点」Blog

〔大前研一「ニュースの視点」〕KON502「サムスン電子・韓国クレジット情報流出事件・北朝鮮情勢~価値ある情報を創造する」

2014年1月31日


韓国サムスン電子 サムスン電子なき韓国経済に備えよ

韓国クレジット情報流出事件 流出カード会社に最長3ヶ月の業務停止処分

北朝鮮 ソウルに「北朝鮮臨時亡命政府」を


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▼ サムスン電子のピークは過ぎ去った

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朝鮮日報は8日、「サムスン電子なき韓国経済に備えよ」という

社説を発表しました。


サムスン電子の昨年10-12月期の業績は、

営業利益は8兆3000億ウォン(約8100億円)にとどまっています。


これは前期比で売上高0.14%減、営業利益では

なんと18.3%減になっています。


韓国経済に影響を及ぼす事態に備えるのは、

韓国政府がやるべき仕事であると指摘しています。


私は以前、ある雑誌で「サムスン電子は今がピーク」だと

指摘したことがあります。


根拠の1つとして挙げたのは、スマートフォンでした。


おそらくスマートフォンは、将来的に1万円、5000円といった価格帯が

主流になっていくと予想し、サムスン電子のコスト構造では、

この価格帯には対応するのは難しいのではないか、ということです。


サムスン電子を除いた場合の韓国経済の指標を見ると、

営業利益のマイナスは拡大し、輸出、売上高は

多少のプラスだったものが、マイナスに転じてしまいます。


いかにサムスン電子の影響が大きいか理解できます。


サムスン電子は時価総額20兆円規模の会社であり、

韓国経済の約2割に相当します。


LGや現代自動車などもありますが、サムスン電子は

別格で代わりを務められる企業はないでしょう。


サムスングループの会長である李健煕(イ・ゴンヒ)氏は、

創業者の三男であり、天才肌で独裁者の色合いが強い人物です。


今のところ、それが良い影響に出ていますが、

今後、誰かが引き継いでいけるか?と言われると難しいかもしれません。


サムスングループも万能ではなく、今がピークではないかと

言われても仕方ない状況になりつつあります。


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▼ ソフトバンクのように、セキュリティ対策の強化が必須

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韓国の大手クレジットカード3社から個人情報が大量流出した事件で、

韓国政府は22日、再発防止策を発表しました。


流出させたカード会社に最長3カ月の営業停止処分を科すことを

視野に入れるとともに、新たな流出が起きた場合の過怠金も

積み増すとのことです。


韓国の場合には決済手段として、クレジットカードの

ウエイトが非常に高いという特徴があります。


クレジットカードのデータにもとづくマーケティング利用は

当然のこととして、トトカルチョやくじ引き、宝くじなど、

様々に活用されています。


今回、暗証番号は流出していないということですが、

仮に流出していたとしても事実を公表できないでしょう。


1億5000万人分のデータということですから、

韓国の人口から考えると、ほぼ全ての人の

データ(大手3社×5000万人のデータ)が流出しています。


出入りの業者がSDカードでデータを持ちだしたということですが、

セキュリティ強化に努めることは必須でしょう。


かつて日本ではヤフーで同じようにデータを持ちだされました。


その事件を踏まえて、ソフトバンクは

日本最強のデータ管理体制を構築するに至りました。


韓国でも、今後、セキュリティ面での強化対策は必須でしょう。


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▼ 北朝鮮が危惧する亡命政権の可能性

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朝鮮日報は12日、『ソウルに「北朝鮮臨時亡命政府」を』

と題する記事を発表しました。


現在、韓国社会には多くの脱北者が生活しており、

北朝鮮の民主化に向けて積極的な活動を続けていると紹介。


北朝鮮変革という大義名分のもと力を結集する時が来たと

報じています。


これは海外から北朝鮮に揺さぶりをかけるという方法です。


その意味で北朝鮮が最も恐れているのは、

金正日の長男・金正男が北朝鮮を離れて、その亡命政府に

参加するような事態が実際に生じた場合でしょう。


カンボジアのシアヌーク殿下のように、海外にいながら

祖国に影響を及ぼす臨時亡命政府を演じられては

困ると考えていると思います。


世界を見渡すと、こうした事例はいくつか存在します。


脱北者同士は仲が悪く、以前から1つの意見として

亡命政府の話は出ていました。


話題そのものは目新しいものではありませんが、

北朝鮮からの批難を覚悟の上で朝鮮日報が記事にしたのは、

大胆なことだと思います。


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