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〔大前研一「ニュースの視点」〕KON491「コマツ・電機業界・自動車業界~企業の特徴を理解する」

2013年11月8日


 コマツ 連結営業利益 2100億円見通し

 自動車ブランドランキング トヨタ「レクサス」が首位

 日産自動車 経営体制を大幅刷新

 国内電機大手 パナソニック営業利益2700億円


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 ▼ コマツの不調、パナソニックの回復

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 コマツは28日、2014年3 月期の連結営業利益が1%減の

 2100億円になりそうだと発表しました。


 従来予想は44%増の3050億円で一転、

 減益予想に転じるとのことです。


 コマツのこのような業績見通しは近年では珍しいと思います。


 オーストラリア準備銀行のスティーブンス総裁が

 「豪ドルは将来大幅に下落する」と発言していました。


 豪ドル・円相場とコマツの株価推移を見ると、コマツの株価は

 豪ドルに連動するように同じ動きをしています。


 鉱山機械などを作っているコマツとは言え、豪ドルにこれほど

 足並みを揃える理由はないので非常に不思議なことです。


 一方、業績回復の兆しを見せ始めたのが電機業界です。


 パナソニックは31日、2014年3月期の予想営業利益を2700億円、

 最終黒字を1000億円へ上方修正しました。


 また日立製作所がハードディスク駆動装置大手の

 米ウエスタン・デジタルの株式の一部を売却すると発表しています。


 日立の回復が一歩早く進んでいます。



 もともと収益性の高い三菱電機は73%、

 東芝も29%の収益改善の予想です。


 そして、パナソニック、富士通は黒字転換です。


 銀行借入の関係で、強引に黒字を出している可能性もあるので、

 今後も引き続き黒字を維持できるかどうか重要なところです。


 おそらく、自動車関連、白物家電関連で利益を出している

 のでしょうが、体質改善に成功し、今後も黒字体質になって持続できる

 のであれば、非常に望ましいことだと思います。


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 ▼ 好調な兆しを見せる自動車業界で、日産だけが雲行きが怪しい

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 また、自動車業界も好調の兆しを見せています。


 日本の自動車ブランドが、名実ともに、再び米国の消費者からの

 信頼を取り戻しつつあります。


 米消費者団体専門誌「コンシューマー・リポート」が28日発表した

 2013年の自動車ブランドの信頼調査で、首位がトヨタ自動車の

 高級車ブランド「レクサス」、2位はトヨタ、3位はホンダの

 高級車ブランド「アキュラ」と日本メーカーが上位3位を独占しました。


 ようやく10年の時を経て、日本車の復興、名声の復興が

 実現できそうです。


 トヨタ、ホンダなどが好調な一方で、1日付で新役員体制を発表した

 日産自動車だけが何やら危うい状況になってきています。


 日産自動車は、志賀俊之最高執行責任者(COO)が副会長に就任し、

 COO職は廃止。


 カルロス・ゴーン会長兼社長兼最高経営責任者が、販売や生産などを

 担当する3人の副社長を直接指揮する方針ということです。


 しかし私に言わせれば、「目標未達」に終わった総責任者である

 カルロス・ゴーン氏こそ辞任すべきです。


 ゴーン氏はかつてソニーの社外役員のとき、「目標必達」を掲げ、

 目標未達に終わった出井氏などを激しく糾弾していました。


 今回の人事を見ても、ゴーン氏の独裁体制が強まっていくばかりで、

 良い兆候とは思えません。


 ルノーの経営状況を見ると、ボルボ売却の特別利益を除けば、

 日産の利益貢献は非常に大きくなっています。


 これだけ日産に依存しているにも関わらず、日産に対して

 このようなぞんざいな扱いをすることが私には理解できません。


 ルノーはフランス政府が株式を保有していることから、

 様々な日本(日産)にとって不利な要求を受けています。


 ゴーン氏はそれに逆らえないようになってきています。


 日産にとって、ゴーン氏はすでに「百害あって一利なし」の

 人物になってしまった、と私は思います。


 私から見ると、来日した時にもまともに日産の経営を

 しているようには見えません。


 明らかに、日産の経営に割く時間が少ないと感じます。


 来年で任期満了を迎えますので、

 そろそろ日産も決断すべき時期がきたのではないかと思います。


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