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〔大前研一「ニュースの視点」〕KON489「パナソニック・三洋半導体・NEC~柱となる事業の軸を考える」

2013年10月25日


 パナソニック プラズマテレビ向けパネル生産停止へ

 三洋半導体 最大910人を削減

 NEC NECビッグローブを売却


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 ▼ パナソニックは、松下幸之助時代に逆戻りしている

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 日経新聞が報じたところによると、9日、パナソニックは

 2013年度末をめどにプラズマテレビ向けパネル生産を

 停止する方針を固めました。


 生産拠点の尼崎工場も売却する方針で同事業から完全撤退。


 プラズマテレビ事業は同社が13年3月期まで2年連続で7500億円を

 超える最終赤字を計上する要因の一つでした。


 最大の懸案に区切りがつくことで同社の構造改革が

 大きく前進する見込みとのことです。


 パナソニックは、いわゆる「プラズマテレビ VS 液晶テレビ」

 の戦いに敗北しました。


 性能的には大きな差はなかったと思います。


 しかし、生産コスト、ディスプレイの巨大化への対応の面で

 液晶に軍配が上がりました。


 とはいえ、液晶テレビの勝者であったはずのシャープも、

 厳しい経営状況に追い込まれていますから、結果として言えば

 「ダブルノックアウト」状態といったところでしょう。


 問題は、パナソニックが今後の事業の軸を

 どこに定めていくのか?ということです。


 日本では白物家電や住宅関連が好調ですが、どちらも海外では


 ほとんど実績を作れていません。


 今パナソニックは再び「松下幸之助時代」に逆戻りした

 状況だと言えると思います。


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 ▼ パナソニック、三洋の苦しみを引き継いだだけか?

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 米半導体メーカーのオン・セミコンダクターは8日、

 子会社の三洋半導体で同社の全社員の半分近くに相当する

 最大910人を削減すると発表しました。


 埼玉県の工場を2014年6月までに閉鎖し、希望退職も募集します。


 事業体制を見直し、年間5000万ドル(約48億円)規模の

 コスト削減につなげるとのことです。


 今回46億円のコスト削減につなげるということですが、

 歴史を紐解くと、非常に悲しい物語があります。


 まず2004年に新潟中越地震で被災し、

 700億円の損失を計上しています。


 その後、分社化して三洋半導体の売却先を募集し、

 2007年にはアドバンテッジパートナーズが名乗りをあげるものの、

 実現には至らず。


 結局、パナソニックが買収し、1200人の人員削減と

 海外工場の集約(7箇所→4箇所)が行われました。


 そして、2011年になって米オン・セミコンダクターが360億円で

 買収しましたが、タイのアユタヤにある工場が洪水で

 閉鎖に追い込まれてしまいました。


 米オン・セミコンダクターとしても、

 本当に買収したことが良かったのか?


 単に三洋とパナソニックの苦しみを引き継いだだけ

 ではないのか?という気がしてしまいます。


 パナソニック、三洋と同じように、

 厳しい環境に追い込まれているのが、NECです。


 NECはインターネット接続子会社のNECビッグローブを

 売却する方針を固めたと報じられました。


 NECは7月にスマートフォン事業から撤退するなど、

 消費者向けの事業を縮小しています。


 経営資源を成長の柱に位置付ける社会インフラ事業に

 振り向ける方針とのことです。


 NECビッグローブは売上が700億円~800億円あるので、

 そこそこの金額で買収が成立すると思います。


 時代の流れを見ると、ブロードバンドサービスは、

 固定系サービスから移動系サービスに軸が移ってきています。


 固定系では、業界4位で個人を中心に302万人の会員がいる

 NECビッグローブ。


 おそらく、携帯系サービスを展開する企業が、顧客ごと

 買収する形になるのではないかと思います。


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