東京都・猪瀬知事
標準時間を2時間早める提案
国家戦略特区
新特区構想案を発表
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▼ 東京で標準時間を2時間早めるのは、物理的に難しい
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東京都の猪瀬直樹知事は「日本の標準時間を2時間早める」
という構想を発表しました。
22日の産業競争力会議で、無駄にしていた日照時間を有効活用でき、
消費電力が抑制できること、明るい時間に仕事が終わり、
アフターファイブ需要が生じるなどと利点を強調したとのことです。
都知事として産業競争力会議で何かしらの提言をしようと試みた、
という点では評価できますが、現実的には難しいと
言わざるを得ません。
私は以前、北海道にサマータイムを導入することを提案したことが
あります。
北海道の場合には、朝4時台くらいには明るくなってきますから、
夏に限れば2時間ずれても問題はありません。
そして、その結果としてロシアと同じ時刻になるという
大きなメリットを狙ったものでした。
これは、シンガポールの狙いと同じです。
シンガポールが今の標準時を採用したのは、
中国と合わせることで経済活動をスムーズに行いやすくする
という意図がありました。
また猪瀬都知事の提案するように東京で2時間標準時間を
変更しても、金融機関が東京に集まってくるという
保証はありません。
市場が成り立てばいいだけなので、必ずしも東京に金融機関が
集まる必要はないからです。
そして、現実的に難しいのは「物理的な」理由も
大きく影響します。
冬の東京では、夕方6時にはすでにかなり暗くなっています。
これが2時間ずれると夕方4時になるわけです。
朝は真っ暗闇の中通勤することになるでしょう。
こういうことを考えると、おそらく相当の反発が予想されます。
猪瀬都知事の提案とは全く関係なく、私は1時間ほど標準時を
ずらす意味があると思っています。
帰宅してもまだ明るいうちに2時間~3時間あれば、
何かやりたいことをする時間にもなるでしょう。
また、かつて私が試算したときには、サマータイムを
導入することで消費電力が15%程度少なくできると見積もりが
出ました。
しかし大きな反発があることを、私は身を持って
体験しているので分かります。
明るい時間帯でサラリーマンが家に帰るとなると、
いわゆる夜の街で働く人たちから反対を受けます。
また戦後の米軍が駐留している時にサマータイムを
経験している年配の方からは、サマータイムは嫌だという
感情的な反対も受けました。
猪瀬都知事の意気込みは感じますが、
この問題は一筋縄ではいかないものです。
現実的に今回の提案が実現することは難しいでしょう。
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▼ 外国企業のみの「特区」を作っても意味が無い
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政府が地域を限って大胆な規制緩和や税制優遇を検討する
新特区「国家戦略特区」に関する東京都の構想案が
21日明らかになりました。
誘致した外国企業の法人実効税率を
20%まで引き下げる目標を掲げ、海外の名門大学の誘致などで
外国人向け教育や医療を充実させる狙いとのことです。
法人税率を20%にすることで世界から日本へ誘致したいと言っても、
世界にはアイルランド(12.5%)やシンガポール(17%)が
あるので、それほど効果はないと私は思います。
もし本当に誘致を狙うのであれば、さらに法人税率を下げる
必要があるでしょう。
根本的な点を指摘すると、私はそもそも「外国企業」のみに
適用するのではなく、「日本企業」にも適用するべきだと
思っています。
というのは、こんなことをしたら日本企業が本社を海外に
移してしまうからです。
ロシアは今回の「国家戦略特区」と同様に「外国企業」に
対してのみ法人税の優遇があります。
結果、ロシアはどうなったか?と言うと、キプロスに資金を
持ちだして、キプロス経由で外国名義でロシアに
投資をするようになりました。
ロシアへの投資額が一番大きいのはキプロスですが、
これはキプロス人ではなく、ロシア人がキプロス経由で
投資しているのです。
日本の場合に想定されるのは、シンガポールに会社を移して、
シンガポール経由で「特区」の恩恵を受ける企業が
続出することです。
せっかく特区などを作っても、結果としては日本企業の本社が
外国に出て行くだけでおわりです。
これがグローバル企業の動きであり、今回の提案は
このような動きを全く知らない人が作ったとしか思えません。