米大統領選 米共和党副大統領候補にポール・ライアン氏
米学生ローン問題 米経済の将来をむしばむ学生ローン問題
米住宅公社 6月末時点で資産超過 ファニーメイ、フレディマック
-------------------------------------------------------------
▼ ライアン氏の言が正しいなら、すぐに実践するべき
-------------------------------------------------------------
11月の米大統領選で共和党の大統領候補に内定している
ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は11日、選挙戦でコンビを組む
副大統領候補に、ポール・ライアン下院議員を選ぶと発表しました。
ライアン氏について「行動力と洞察力を備えた聡明なリーダー」と説明。
一方、ライアン氏は
「経済の回復は、この70年で最も悪い。どんな言い訳をしようが失敗だ」と
オバマ大統領を批判しています。
ライアン氏は下院の予算委員長を務め、経済に明るく、
スモールガバメントを標榜する「レーガンの再来」と評判の人物ですが、
私がいくつか彼の学説を読んだ感想で言えば、非常に説明が分かりにくいと
感じました。
財政再建論者として幾つもの持論を展開していて、自分の言うとおりに
すれば国家財政は黒字にできると主張しています。
確かに、その「結論」を聞くと「すごいな」と思うのですが、
それを実現するために「各論」として何をすれば良いのか?となると、
途端にぼやけてしまう印象です。
ライアン氏が本物かどうか、まだ現時点では判断できないと
私は思っています。
オバマ大統領を批判する気持ちも分かりますが、
ライアン氏にしても予算委員長なのですから「結果を出す」という
具体的な形を示すべきとも感じます。
オバマノミクスはたくさんの資金を費やしましたが、
結局、財政は悪化しました。
米国にはまだまだ将来の借金が多く、予算、国債など
数々の問題を抱えています。
本当にライアン氏の持論が正しいのなら、米国民のためにも一刻も早く
「実践」して証明して欲しいと思います。
-------------------------------------------------------------
▼ リーマンショックからの復調の兆し、一方で学生には不安が残る
-------------------------------------------------------------
米政府の支援を受けて再建中の住宅公社2社は8日までに発表した
4~6月期決算で、6月末時点で両社とも資産超過であると発表しました。
債務超過を回避したのは米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)が
2四半期連続、米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が
5四半期ぶりです。
これに伴い、両社とも米財務省への追加支援の申請を見送っています。
ファニーメイ、フレディマックの2社がリーマンショックで
破綻に追い込まれ、米国の住宅市場は一気に冷え込みました。
というのは、米国の金融機関は個人の住宅ローンという債権を
これらの会社に販売し回収を一任することで、
自らは別の貸付を行えるという「仕掛け」で動いていたからです。
リーマンショック以降、この仕掛けが機能しなくなっていたわけですが、
ここに来て2社が債務超過から資産超過に転じたというのは良い兆候でしょう。
3年間続いてきたサブプライムの後遺症からようやく
回復してきたのだと感じます。
もう少し黒字が継続しないと安心はできませんが、しばらくすれば、
再び金融機関が住宅ローンを扱える時期が来るかも知れません。
リーマンショックからの米国経済復調の兆しが見え始めた一方で、
逆に次のような懸念も広がっています。
7月31日付の英フィナンシャル・タイムズ紙は
「米経済の将来をむしばむ学生ローン問題」と題する記事を掲載しました。
世界の若者の13%近くに職がないという国際労働機関(ILO)の統計を
紹介しながら、米国の大学の卒業生が1人当たり
平均2万5000ドル(約196万円)の学生ローンを抱えているとし、
米経済の成長に悪影響を及ぼしかねないとしています。
米国の学生ローン利用者の状況を見ると、1万ドル未満:43.1%、
1万~2.5万ドル:29.2%となっています。
卒業後に返済を続けている人も含めて利用者数全体で見ると、
約3700万人が学生ローンを利用しています。
就職して、順調に5万ドル~10万ドルの年俸を受け取れるようになれば
問題ありませんが、職がなければ、当然、学生ローンを返済できません。
社会人としてのスタートダッシュに失敗した若者には、
確かに厳しい将来が待ち受けています。