不動産市場
東京都心5区の1月末空室率9.23%
博多シティ
初年度売上高が計画比1割増
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▼オフィス市場とマンション市場の違い
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オフィスビル仲介大手の三鬼商事が9日まとめた東京都心5区
(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の1月末の空室率は、
前月比0.22ポイント高い9.23%となり、過去最高を10カ月ぶりに
更新しました。
一方、マンション市場調査の新東通信の調べで、東海3県の11年の
新築マンション発売戸数が5年ぶりに前年を上回ったことが分かりました。
大型高層マンションの分譲が名古屋市内で相次いでいることが大きい
ということです。
実はこの2つは不動産業界の同じ原因に端を発する現象です。
東京都心5区では、オフィスの平均空室率が10%に近づきつつあり、
どんどん坪単価が下落しています。
今後、空室率が10%を超える段階になると、さらに坪単価はガクンと
落ちるでしょう。
つい先週の動きを見ても、2万円台の坪単価だった物件が
1万9000円、1万8000円台へ下落し、FR(フリーレント)も6ヶ月から8ヶ月へ、
という様な状況が多数発生していました。
オフィスビルは供給過剰になると「相当」の下落を余儀なくされますが、
マンションの場合にはある一定レベルまで下落すると一気に入居者が
増えるので、その時点で下げ止まる傾向にあります。
最近の例を見ていると、次のような動きが顕著に見られます。
日本では大都市の都心部では料金が高いため、例えば大阪などを見ても、
少し遠い地域から都心部の会社へ通勤していました。
しかし本音を言えば、長距離通勤は疲れますから都心部の物件価格が
下がってくるなら検討したい、という人がたくさんいます。
会社や駅に近い優良な物件があれば、値段次第で需要は無限大だと
私は思います。
40分~1時間以上かけて通勤していた人たちが戻ってきます。
ゆえにオフィスビルのように、単価が3万5000円だったものが
1万8000円に半減しました、というほどの事態に陥ることは
まずあり得ません。
なぜ今、名古屋で大型高層マンション需要が高いのか?と言うと、
JR名古屋駅上という立地条件で成功したJR名古屋高島屋と同じです。
トヨタやデンソーなどが駅前に移転してきたことが大きく影響しています。
数年前トヨタは、営業機能を豊田市から名古屋駅近くの
ミッドランドスクエアに移転しました。
それまで豊田市に住んでいた人たちにとっては通勤が大変になりました。
名古屋駅近くに条件の良いマンションがあるなら、ということで
主に部課長クラスの人たちが引越しをしているのだと思います。
JR東海の駅集中効果が見事に発揮されている結果と言えるでしょう。
この効果は今後、しばらくは続いていくと私は見ています。
名古屋駅周辺が盛り上がっていく一方で、逆に言うと
豊田市のような場所では空洞化が進むため、今後の課題となるでしょう。
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▼駅ナカ商売の強さ
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JR博多シティを運営する博多ターミナルビルの丸山社長は16日、
専門店街「アミュプラザ博多」の初年度の売上高が計画比1割増になる
と明らかにしました。
丸山社長は「福岡の中心部には、これほど雑貨店や飲食店が集積した
施設がなかったので、消費者の支持が得られたのだろう」
と語ったとのことです。
正確に言うと、これまで福岡の中心部は「博多」ではなく完全に「天神」
でしたが、その状況に変化が現れてきた、ということだと私は思います。
キャナルシティ博多などで盛り上げようとしたものの、博多は
どちらかと言うと未だ通過点として寂しい状況で、
百貨店やショッピングセンターなど、福岡では西鉄の影響力が強く
天神が圧倒していました。
しかし、今回の博多シティはオープン計画が見事だったと思います。
JR九州の九州新幹線開通とタイミングを合わせたことに加え、
アミュプラザ博多、博多阪急など駅の近くに魅力的なものを集積
させました。
その結果、今までは通勤途中の通過点に過ぎなかった博多が、
そこで「時間を過ごす」街に変わってきています。
JR博多シティの貸し会議室の稼働率が9割を超えているというのを見ても、
企業の部長クラスの人が「博多」に集まって会議をして、
そこで買い物をしてお金を落としていく、という人の流れが容易に
想像できます。
また東京から仕事に来た人がいたときにも、九州の関係者を
一同博多駅に集め、貸し会議室でミーティングをするということも
あるでしょう。
これらは西鉄には真似できないことです。
JR博多シティも博多阪急も、集積効果も手伝って、予想をはるかに
上回る業績を叩き出しています。
まだ名古屋の高島屋ほどの圧倒的な業績ではありませんが、
それでもやはり「駅ナカ」商売の強さを感じざるを得ません