大前研一「ニュースの視点」Blog

〔大前研一「ニュースの視点」〕KON364「日本をいかに復興させるか~大前研一Twitter一問一答」

2011年5月27日

日本復興計画
 神奈川「都」に何を期待するか
 復興会議メンバーに思うこと
 東北の高台開発は可能だ
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 ▼単なる「復元」ではなく、いかに知恵を絞って新生日本を創るか
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Q1.『日本復興計画』の中で、新しいビジョン構想の一つとして、
 「道州制」とありました。


 6つの「都」が国を牽引しなければいけないようですが、そのひとつ
 の「神奈川都」に期待しております。
 実際にどのようなことを行うべきでしょうか。


A1.神奈川「都」に期待したいのは、日本に例のない新しい街づくり


 私は今回の大地震を契機にして、日本経済の活性化のために中央集権
 から地方分権に統治機構を大転換することを提案しました。


 具体的には、道州制移行への第1ステップとして5つの「都」「州」
 を作ることです。その中に含まれる「神奈川都」について、実際に
 どんな役割を担うのか?と疑問に感じている人もいるようです。


 まず大前提として、私が期待していたのはマスコミ操縦術に長けた
 「変人知事」であって、先日当選した神奈川県知事・黒岩氏には
 同じことを期待できそうにありません。


 それを踏まえた上で、本質的に神奈川が何をすべきかと言えば、
 「羽田空港」と「みなとみらい」という2つのインフラを大いに
 活用するべきです。


 羽田空港をアジアの拠点にし、横浜を東洋のベニス化させ、世界に
 誇れるウォーターフレンドリーな街づくりを目指して欲しいと思って
 います。


 羽田空港が国際化した際には、様々なグローバル企業のアジア本社
 を神奈川に誘致することができるはずです。羽田まで15分という
 立地は魅力的です。


 今後神奈川の港は利用しないものも増えてくるでしょうから、その
 土地を活用すればグローバル企業のアジア本社の誘致に何の問題も
 ないと思います。


 将来的には京浜運河を住宅地にすることも可能です。水辺の環境が
 いい土地に事務所や住宅が立ち並ぶ、そんな街づくりができるはず
 です。


 さらに、欧州の一部の街で実現しているようにモノレールやロー
 ボートを走らせて羽田や横浜を結ぶようにすれば、日本には例の
 ない「素晴らしい街・都」になるでしょう。


 このような環境が整えば、羽田空港まで台風の時でも20分程度で
 通えます。非常に魅力的な条件だと思います。


 羽田空港とみなとみらいを活用した「新しいコンセプトの街づくり」
 を神奈川には期待したいと私は考えています。


Q2.「復興会議」は、「文系サロン」とも揶揄されていますが、
  大前さんは、どう見ていますか?


A2.復興計画は、総理自ら主体的に書き下ろすべき


 復興会議メンバーの選定について、様々な意見があるようです。
 今回の会議メンバーを見た私の率直な感想は、
 「寄せ集めでは駄目だ」というものです。


 誰かに任せて提案が出てきたら「このような提案をいただきました
 が・・・」などと言っているのでは話になりません。


 私ならば、1人で丸1日部屋にこもって考えれば、大体の方針を
 固めることができます。実際、私は3月13日、3月19日という
 タイミングで今回の問題に対する対処方法を発表しました。


 1日で書き上げることは十分可能ですし、1人で書けないのなら10人
 寄せ集めてきても無駄なことです。


 さらに尖った提案を考える必要がある場合、特定の分野に限って
 誰かに手伝ってもらおうという判断もあるでしょう。


 その際には、1週間時間をもらって、私自身が「この人なら」を
 思う人を選抜し、一緒に丸1週間部屋に閉じこもります。


 それにしても本当に実行しようと思えば、自ら主体的に書き下ろす
 必要があります。


 それが務まらなければ、チーフエグゼクティブオフィサーとは呼べ
 ないでしょう。菅総理にはまず自らの立場を考えて、もっと主体的
 な姿勢を見せて欲しいと思います。


Q3.「復興後の街づくり」について、高台に新しい住居コミュニティ
 を提案されています。山間部を養生することで海を豊かにする
 漁業システムを持続しつつ、高台を開発することは可能でしょうか。


A3.高台に街を作っても、山林はなくならいし、漁場の豊かさも保たれる


 山林があって山から流れこむ養分のお陰で東北の海が豊かに保たれ
 ている、と考えられているのだと思いますが、事実は少々違います。


 東北地方の漁業が豊かなのは、必ずしも山間部のおかげではありま
 せん。東北地方太平洋側では暖流の黒潮と寒流の親潮が混合して
 海域が形成されています。ここでは植物・動物プランクトンが豊富
 に発生し、世界三大漁場の1つに数えられているほどです。


 また、東北地方の山林は豊富です。盛岡から海岸線を歩いてみると
 分かりますが、かなりの距離に渡って山林が続いています。


 ですので、山林を開発して街づくりに活用しても、高台の街づくり
 によって、山が無くなってしまうということにはなりませんので、
 安心していただきたいと思います。


 ┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
  今回の記事は、大前研一『日本復興計画』(文藝春秋)
     http://vil.forcast.jp/c/aokca3jJ2iyPlRab
    に関してTwitter上で受け付けている質問に対しての回答を
    記事化しました。


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  質問などございます方は、Twitter上で質問しツイートの末尾に
  #nihonfukkou を入れてください。 (名前の紹介がOKな方は本文に)
 
  詳細はこちらから→ http://vil.forcast.jp/c/aokca3jJ2iyPlRab


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