郵政改革
小泉路線を転換
郵政改革法案概要
-------------------------------------------------------------
▼ 亀井氏の頭にあるのは、目先の票獲得だけ
-------------------------------------------------------------
ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の全株式を外部に売却する「完全民営化」
方針を捨て、政府が出資する親会社が3分の1を超える株式を保有し
続けるということです。
また鳩山総理は、25日、亀井金融郵政改革担当相と原口総務相が発表
した郵政改革案について、「私が了解したと伝えられているが実際には
了解ではない」と述べ、総理の了承を得て発表したとする亀井氏の説明
を否定。閣内で議論をやり直す必要があるとの考えを示しました。
この議論を聞いている限り、私に言わせれば「どっちもどっち」という
レベルであり、呆れ返ってしまいます。
まず、鳩山総理の態度・姿勢を見ていると「あなたは本当に指導者なの
か?」と疑いたくなります。郵政関係は亀井氏に任せると公言していた
のに、余りにも反発が強かったために「了解したわけではない、報告を
聞いただけ」と主張しています。
報告を受けたならば「それではこうしなさい」と指示しないのならば
指導者失格だと私は思います。この点について言えば、鳩山総理が
「分かりました」と言えば亀井氏が発表するのは当たり前の流れだと
言えるでしょう。
一方の亀井氏にしても、その思考回路は非常に狭く、場当たり的・
その場しのぎに過ぎると私は感じます。郵貯と簡保の限度額をめぐって、
亀井氏はそれぞれ3千万円、5千万円とする案を主張していました。
しかし、万一ペイオフが起こったときに「一体誰がどこまで保証するの
か?」という点は全く考えられていません。
預金保険機構で言えば積立が必要になるわけですが、それを誰が
どのような規模で負担するのかという点が不明確なままなのです。
単に「1千万円よりも2千万円、2千万よりも3千万が良い」という
レベルの話で終わっています。これは新たに20万人を郵政の正社員に
するという発言と同様、「ほとんど思いつきレベル」に過ぎません。
コスト計算をすれば恐ろしいことになるでしょうが、亀井氏はお構いな
しです。ルール違反かどうかは分かりませんが、これだけルールを無視
して他との調整をせずに突き進む亀井氏の頭にあるのは「郵貯利権」で
あり特定郵便局長を中心とした選挙での票だけなのだと思います。
参議院選挙を目前にしているとは言っても、あまりにも思考が狭すぎる
と言わざるを得ないでしょう。
-------------------------------------------------------------
▼ 政治家も問題解決学を身につけるべき
-------------------------------------------------------------
また仮に郵貯の在り方について議論したいと言うなら、
「新しいフィロソフィー・哲学」を提示する必要があると思います。
民業を圧迫しないために、昔から郵便貯金は1人1千万円という上限が
設定されていました。
そのため民間銀行が近所にないような田舎では、例えば5千万円の預金
を持っていたら、色々な人の名義でそれぞれ1千万円ずつ郵貯にお金を
預けるということが行われていました。
かつての小泉改革はこの辺りの実態も明らかにした上で郵貯を民間企業
にするという方針だったわけですが、それが全てひっくり返ってしまい
ました。
国営企業として政府が約35%の株式を持ち続けるなどと言われると、
あの大山鳴動した小泉改革とは何だったのか?という話になるのは
当たり前です。
ただ唯一、亀井氏が「国営銀行の方が民営銀行より安全であり、結局の
ところ銀行は国家が面倒を見るべきだ」というフィロソフィー・哲学を
展開するというなら、そこには議論の余地があると私は思います。
しかし「目先の損得勘定、参院選の票目当てだけ」が目的だと言うなら、
論外です。国民的な議論もせずに一人の人間が言い出しただけで、
これだけ大きな変更が行われていいのかどうか私は大いに疑問を感じます。
さすがに民主党の閣僚からも異論が出てきているようですが、残念ながら
鳩山総理では収められないと私は見ています。先程も述べたように、
これは哲学の問題であり、イデオロギー的な議論が必要です。
「日本という国はこういう国になる」という哲学を持った上で、
フレームワークを作ってそれをさばける人でなければこの問題を収める
ことはできないでしょう。こういう議論の進め方をしないから、「2千万
では多いから1千5百万円で手を打ちましょう」というような無意味な妥協
をすることになるのです。
多額の郵政マネーをどのように運用するのか?というのも未だに決まって
おらず、前原国土交通相などは「国家ファンドを作る」という発言をして
いますが、これも場当たり的であり、フィロソフィー・哲学が欠けている
という点が大きな問題だと私は思います。
年金や簡保の運用の1部を国家ファンドにするというならば理解はでき
ますが、ゆうちょで集めた貯金を使って国家ファンドを運用するという
のは根本が間違っています。
もしそうしたいなら、郵便貯金の5分の1には国家ファンドが入ってい
るということを事前に明言した上で募集をするべきです。
何らフィロソフィー・哲学もなく、「運用先が見つからないから、
国家ファンドで」と言い出すのは余りにも低次元だと思います。
本質的な問題を発見し、フレームワークの中で解決策を見出していくと
いうのは、私が提唱する「問題解決学」の基本です。鳩山総理、
前原国土交通相、そして多くの政治家にはきちんと「問題解決学」を
身につけてもらいたいと強く感じます。