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KON961「中国新型コロナ対策/中国アリババ集団/韓国・文前政権~ゼロコロナの矛盾は習近平政権の命取りに」

2022年12月12日 中国アリババ集団 中国新型コロナ対策 韓国・文前政権

本文の内容
  • 中国新型コロナ対策 ゼロコロナへの抗議活動拡大
  • 中国アリババ集団 ジャック・マー氏が東京に滞在
  • 韓国・文前政権 徐薫・前国家安保室長を逮捕

ゼロコロナの矛盾は習近平政権の命取りに


先月24日に新疆ウイグル自治区の高層住宅で火災が発生し、10人が死亡したことについて、「都市封鎖により車両が通れず消火活動が遅れた」として抗議する様子がSNSに投稿されたことを受け、各地に抗議デモが広がりました。

一部では中国共産党や習近平指導部の退陣を求める声が上がり、警察官や治安部隊が沈静化に乗り出す事態となっています。

ゼロコロナ政策は万有引力の法則に逆らうようなもので、習近平氏は不可能なことをやろうとしていると言えます。

その結果、緩和と封鎖を繰り返すいたちごっこに陥っており、工場などの産業や市民生活も混乱し、我慢の限界に至った結果の抗議活動です。

ロシアと同様に、不可能を無理強いする全体主義国家の矛盾によるひずみだと言えます。

抗議運動が発生したのは、上海、ウルムチ、北京、広州、ラサと、起こるべきところで起こっている印象です。

無理に押さえつければ、今度は天安門事件のような反政府運動に変化する可能性もあります。

当初、ゼロコロナ政策は共産党大会まで行う思惑だったと考えられますが、いまさら緩和し、軟着陸するのは難しいでしょう。

また、コロナに感染した人が少ないということは、免疫を持っている人が少ないということでもあるので、今ゼロコロナ政策を緩和してしまうとすぐにコロナの感染が数百万人に広がる恐れがあります。

新型コロナウイルスは武漢から始まったとされ、世界中に大きな被害をもたらしました。

ゼロコロナ政策は「適切な対策を取ればコロナは封じ込められる」という主張でもあったため、改めて中国で大流行したとなれば、世界中から訴えられるかもしれません。

また、中国製ワクチンを接種しているはずの国民が大勢感染したとなると、中国製ワクチンの信用度も大幅に下落します。

このままだと、習近平氏の命取りになりかねないと私は考えます。

天に向かって唾を吐けば自分の顔に落ちてくるように、強権をもって自然現象を曲げようとした結果が、自分の身に降りかかってきていると言えるでしょう。




習政権と実業界との軋轢の結果


フィナンシャル・タイムズは先月29日、中国のアリババ集団の創業者であるジャック・マー氏が、およそ半年間にわたり東京に滞在していると報じました。

ジャック・マー氏は2020年10月、「良いイノベーションは監督を恐れない」などと発言し、中国政府によるアリババへの締め付けが強まった経緯がありますが、マー氏は家族とともに、地方の温泉やスキー場に訪れた他、米国やイスラエルにも訪問したとのことです。

ジャック・マー氏と孫正義氏は刎頚の友であり、今回の日本滞在も孫氏がアレンジしていると言われています。

孫氏がかつて保有していた箱根の別荘にいたという週刊誌の報道もありました。

ジャック・マー氏は親日家ですし、親友の孫氏がついていてくれる日本は安心できるのだと考えます。

逆に言えば、現在の中国の居心地がそれほどに悪いということです。

アントフィナンシャルの上場が政府に妨害される事件もあり、習近平氏との相性も相当良くないと推察します。




文在寅氏の実態を問う情報操作疑惑


2020年9月、北朝鮮軍が黄海の北朝鮮側の海域を漂流していた韓国の公務員の男性を射殺した事件をめぐり、韓国の検察は3日、徐薫前国家安保室長を逮捕しました。

当時の文政権は北朝鮮との関係悪化を避けるため、男性が北朝鮮への亡命を図ったと判断しましたが、このような捜査結果を導くために徐容疑者が関連情報を削除するよう指示した疑いが持たれているとのことです。

いかに文在寅氏が北の傀儡であったかを示す事件です。

射殺された公務員の男性は、本当は漁業指導をしていただけなのに理不尽に殺され、それが韓国国内で報じられれば北朝鮮への反感が噴出するため、亡命を図ったことにしたと言われています。

もし事実であれば、悪質な証拠隠滅であり情報操作です。

揉み消しをした人が今回逮捕されたことにより、事件の全貌が明らかになるかもしれません。

そうなれば、森友学園問題などの赤城氏のように、遺族から訴えられるような事態に発展する可能性があります。

今後は文在寅氏当人にまで捜査の手が伸びるケースも考えられ、文在寅氏の実態を明らかにするうえで注目すべき重要な事件だと言えます。




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※この記事は12月4日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は中国新型コロナ対策のニュースを大前が解説しました。

大前は中国のゼロコロナ政策について、政策緩和後に考えられる感染状況や抗議活動について触れ、「習近平にとって抗議活動が命取りになるか、国民を押さえつけようとして反政府運動に繋がる可能性がある」と指摘し、「ゼロコロナ政策という不可能なことをやろうとした結果だ」と述べています。

施策を実行した後は、施策の効果は本当に出ているのか、改善すべき点はどこかなど施策の効果を検証し次に繋げることが求められます。

効果を検証する際には、効果や課題を正しく把握できる明確な評価基準を定めることが重要です。



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