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ロシア経済
石油輸出で世界1位視野に 年内にサウジアラビア抜く可能性も
中国原発大手
中国広東核伝集団 豪エナジー・メタルズ買収へ
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▼ サウジアラビアを抜き、ロシアが世界一の産油国になる時代
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●サウジアラビアを抜き、ロシアが世界一の産油国になる時代
ロシアが石油関連輸出で攻勢を掛けています。原油・石油製品の
輸出量は2009年後半か来年にもサウジアラビアを抜き、世界トップ
となる可能性が出てきています。
石油輸出国機構(OPEC)の加盟国が減産合意を順守する一方、
ロシアは輸出拡大で国家歳入の確保を優先していることが背景に
あります。
ロシアはすでにガス輸出で世界最大になっていますが、
国際エネルギー市場での存在感が一段と高まる勢いを見せています。
以前から、私は、原油価格が70ドルまで回復したらロシア経済は
復活するだろう、という見通しを述べてきました。実際、原油価格
は70ドルに近づいていますが、今回は原油「価格」ではなく、
原油「量」が焦点になっています。
原油・石油製品の輸出量の上位国を見てみると、2008年平均では
サウジアラビアが838万バレル/日量に対して、ロシアは約半分の
415万バレル/日量に過ぎませんでした。
しかし、2009年4月~6月平均では、サウジアラビアが700万バレル
/日量に減産したのに対し、ロシアは740万バレル/日量まで増産
させ、ついにサウジアラビアを抜き去りました。
※「原油・石油製品の輸出量の上位国」 チャートを見る
このままの勢いを維持して2009年の年間平均でも、ロシアが
サウジアラビアを上回る可能性は大いにあると私は思います。
世界一の産油国=サウジアラビアという時代が終わりを告げ、
ロシアが世界一に君臨する時代になるかも知れません。
実は、これはそれほど驚く事態ではありません。最近では「サウジ
アラビア=世界一の産油国」というイメージが定着していますが、
かつて旧ソ連時代にはロシアは原油輸出で世界一だったからです。
日本にとって「ソ連=石油大国」というイメージが薄いのは、当時
旧ソ連からの原油輸出はコメコンの中で取引が行われていたため、
その実態が見えにくかったからでしょう。そして現実的に実態を
目にしたときには、すでにソ連崩壊による経済混乱で生産、
輸出とも落ち込んでいたからです。
今のロシアは、老朽化した石油生産設備を近代化し、欧米の最新技術
を導入することで力強く復活しようとしている状況です。OPECの
中においても、最も大きな存在感を見せていたサウジアラビアですが、
いよいよロシアの影響力を無視できない段階に入ってきたと感じます。
天然ガスではロシアに続いてカタールの影響力が大きくなってきて
います。今、まさにエネルギー供給国間の力関係が変わり、それぞ
れの国が果たす役割も変化を見せつつある状況だと思います。
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▼ 世界の企業を買収にかかる中国企業の野心的な動き
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そのような状況にあって、中国のエネルギー企業大手は積極的に
海外企業買収の動きを見せています。中国の原子力発電大手、中国
広東核電集団はオーストラリアのウラン探鉱企業エナジー・メタルズ
の経営陣と発行済み株式の70%を約8,500万豪ドル(約67億6,400万円)
で取得することで合意しました。豪州内では中国勢による資源権益
確保の動きに警戒感も出てきています。
中国は、英豪系資源大手リオ・ティントとの鉄鉱石の年次価格交渉
が難航しているということもあり、今回の買収がこのままスムーズ
に進んでいくのかはわかりません。
ただ大きな流れとして、中国企業がインフラ関係を中心に海外企業
の買収を進め、世界へ進出する動きを見せているのは間違いありま
せん。
もちろん全ての買収が成功したわけではなく、中国アルミのリオ・
ティントへの出資引き上げのような失敗事例もあります。
しかし、中鋼集団による豪資源会社・ミッドウェスト買収、中国
五鉱集団による豪資源会社・OZミネラルの権益買収など成功例も
あり、特にエネルギー関連については、露骨なまでの「野心」を
感じます。
これから中国国家ファンドなどが乗り出してくるようになる可能性
もあり、豪州を始めとした資源国家が警戒心を強めることになると
思います。
エネルギー関連企業の動向として、9月14日号のBusinessWeek誌
に「BP(British Petroleum」の事例が掲載されていました。それ
によると、2000年から2008年までにどのくらいの新しい油田を
開拓したのかという割合で見ると、BPが130%増で世界一とのことです。
先日も、BPはメキシコ湾深海部で「巨大」油田を発見したと明らか
にしていますが、その可採埋蔵量は10億バレル以上となる可能性が
あるとも言われています。
BPは、先ごろ次期会長にスウェーデン通信機器大手エリクソンの
最高経営責任者(CEO)、カール・ヘンリック・スバンベリ氏を
任命したばかりですが、ここまで埋蔵量が増加しているのならば、
頭を下げてスバンベリ氏に来てもらう必要もなかったのではないかと
感じてしまいます。
これから、さらに世界のエネルギー関連企業の再編、買収が積極的
に行われるでしょう。その中でも特に巨大化した中国がその経済力
を背景にどのような動きを見せてくるのか、注目していきたいと
思います。