- 本文の内容
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- 水上ドローン ウクライナ軍が人類史上初の水上ドローンで対艦攻撃
- 軍用ドローン イランがドローン量産・輸出
- イラン情勢 イランがサウジ攻撃を画策
- 核保有国 ロシアが核保有国に戦争回避呼びかけ
ドローンが戦争の形を変えた
ウェッジオンラインは2日、「ウクライナ軍が人類史上初の水上ドローンで対艦攻撃」と題する記事を掲載しました。
クリミア半島のセヴァストポリ港を本拠とするロシアの黒海艦隊にウクライナ軍がドローン攻撃を仕掛け、その映像を公開したとのことです。
ロシア軍は全機を撃墜したと発表したものの、その報復としてウクライナ産穀物の輸出の合意を一時停止するなど、衝撃を受けた事は明白で、これは現代版の大艦巨砲主義を終わらせる号砲になるとのことです。
ドローンという新しい技術で黒海艦隊を機能停止に追い込んだという、非常に重要なニュースです。
プーチン大統領は、穀物輸出に関する合意を盾にウクライナから譲歩を引き出しましたが、大きなダメージを負ったと考えられます。
戦局については、どちらが優勢なのか日々めまぐるしく移り変わっている状況です。
全体としてとらえると、ロシアは戦車などを送り込んで占領地を増やすという戦い方から、ミサイルなどでウクライナのインフラを破壊する方向に変化しています。
ドローンの軍事転用を止めるのは難しい
日経新聞は3日、「イランがドローン量産・輸出」と題する記事を掲載しました。
記事によると、ウクライナに侵攻したロシア軍が、イランから調達したとみられる自爆型のドローンを多用しているとのことです。
イランは核疑惑に伴い様々な経済制裁を受けているものの、ロシアに輸出しているドローンは民生用の部品で製造できるとのことで、こうしたドローンへの対処は日本にとっても喫緊の課題としています。
当初イランはドローンの輸出を否定していましたが、最近になって外務相が「戦争が始まる前に輸出した」と発言しました。
また、戦争が始まってからも輸出を続けている証拠も数多く存在し、ゼレンスキー大統領はイランがまだ嘘をついている可能性があると主張しています。
ロシアはミサイルの不足をドローンで補っているような状況です。
ドローンを使用した攻撃の例として、2015年に日本の首相官邸屋上にドローンを落下させた事件がありました。
米国ではホワイトハウスのレーダーにドローンが捉えられずフランスではテロ攻撃に弱いことを証明するために原発にドローンをぶつけた事件などが発生しています。
さらにベネズエラではマドゥロ大統領の演説中にドローンを爆発させるというテロも起こっています。
2021年にはサウジアラビアで、フーシ派が旅客機を攻撃、炎上させる事件が起こり、その後は大量のドローンでサウジアラムコの施設やUAEの空港を攻撃するなど、ドローンが軍事・テロ目的で利用されてしまっています。
私の息子もドローンファンドをやっていますが、軍事開発をしない方針が明確なところにしか投資していません。
ですが、日本の技術も悪用されてしまう可能性は否定できないのが現実です。
イランのドローンも米国の製品を模倣し、そこからさらに中国へ流出し、改良されているようです。
残念ながらドローンの軍事利用の可能性は高く、軍事転用しようとする企業はどんどん潤っているのが現状です。
もしかするとドローンがウクライナ戦争の動向を決めることになるかもしれません。
イランの苦境が緊張を招いている
サウジアラビア政府がイランによる攻撃が差し迫っているとの機密情報を米国と共有し、中東に駐留する米国軍や周辺国が警戒レベルを引き上げたことがわかりました。
イランでは9月以降、ヒジャブをめぐる抗議デモが続いており、イラン当局はデモを扇動しているとしてサウジ、米国、イスラエルに批判の矛先を向けていました。
サウジとイランの反目については、お互い様という印象です。
イランは現在、失業率はそこまで高くないものの、インフレ率は4割に達しており経済的には苦しい状況です。
さらに最近では、ヒジャブのつけ方が問題視されて逮捕された女性が死亡した事件も発生し、政府への不満・不信が高まっています。
その矛先をそらすためにサウジアラビアとの対決姿勢を打ち出したところ、その情報を掴んだサウジアラビアがイスラエル・米国と共に対策を取ろうとしている形です。
サウジアラビアとイランは共にイスラム教の国ですが、サウジアラビアはスンニ派、イランはシーア派で、歴史的に反目しあっていた宗派に属します。
宗教上の理由からも犬猿の仲で、仲良くやるのはなかなか難しい両国です。
自己正当化だけの無意味な声明
ロシア外務省は2日、米国、英国、フランス、中国などの核保有国に対し、核戦争の回避に向けて取り組むべきとする声明を発表しました。
この声明では、「ロシアが核兵器を使用するのは、自国に対する大量破壊兵器による攻撃や、国家の存立が危うくなった場合に限られる」とし、現在の複雑で不穏な状況で、核保有国の軍事衝突を回避することが喫緊の課題と主張しています。
私に言わせれば、ロシアは既に国家存立の危機です。
プーチン大統領が自ら起こした侵略のせいで、国際社会からは孤立し、経済制裁を受け、戦争そのものも勝てるかどうかわかりません。
ロシアの声明は、戦争に負けそうになったら自分の判断で「国家存立の危機」だと言えるロジックですし、ロシアはきっと言うでしょう。
つまり、結局は客観的な基準があるわけではなく、自国の都合で核の使用を正当化すると言っているにすぎません。
自分で戦争を始めておいて、他の核保有国には戦争回避を訴え、核兵器で脅すことで他国の介入を牽制するなど、あまりの厚顔ぶりに開いた口が塞がりません。
北朝鮮とロシアは、自分たちが使いたいときには核兵器を使うのでしょう。
今回のような声明は真に受けないほうがいいと考えます。
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※この記事は11月6日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は核保有国のニュースを大前が解説しました。
大前はロシア外務省の声明に対し、ロシアの状況を説明したうえで「客観的な指標でなくロシア国内の判断で核兵器を使用することを正当化しようとしている」と指摘し、「今回のロシアの声明は真に受けない方が良い」と述べています。
相手の発言の真意を汲み取る洞察力は、ビジネスパーソンにとって非常に重要な力です。
相手が置かれている環境や事情を把握し、さらに質問による深堀りを通じて、相手の本音やニーズを見抜くことが求められます。
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