大前研一「ニュースの視点」Blog

KON951「無線給電/子ども置き去り対策/オンライン診療/国内二輪車市場~技術と法整備で子どもを守るべき」

2022年10月3日 オンライン診療 国内二輪車市場 子ども置き去り対策 無線給電

本文の内容
  • 無線給電 無線給電技術を共同開発
  • 子ども置き去り対策 検知システム、欧米先行
  • オンライン診療 遠隔健康相談、コロナ機に拡大
  • 国内二輪車市場 再燃、オートバイブーム

実現が難しい未来予想を報じる姿勢に疑問


日経新聞が報じたところによると、大林組とデンソーが共同で走行中の電気自動車(EV)に道路から無線給電する技術を開発したことがわかりました。

道路に埋めたコイルに電源から電流を流して磁界を発生させ、その上を通過したEVに積んだコイルにも電流を生む磁界結合方式の実用化を目指すもので、道路からの給電インフラを構築することができれば、EVの普及に弾みがつくとみられます。

記事の結論に疑問が残ります。

この技術は学校で習う「フレミングの左手の法則」を応用したものです。

技術を開発することはよいことですが、インフラとして実現可能なものとは思えません。

日本中の道路に給電用の機械を敷設するくらいなら、現在利用されているような給電ステーションをたくさん作ってもらう方がよほど効率的です。

現在既に自宅やパーキングエリアの給電設備で充電している人にとっては、道路からの給電は不要なインフラでもあります。

独裁国家であれば可能かもしれませんが、日本での実現は難しいはずです。

このような実現可能性が低いことを仮定して、EVの普及が進むと結論付けるのは乱暴だと私は思います。




技術と法整備で子どもを守るべき


日経新聞は22日、「検知システム、欧米先行」と題する記事を掲載しました。

園児が通園バスに取り残されて死亡した事件をめぐり、海外では車内への子どもの置き去りは「赤ちゃん忘れ症候群」として対策が先行しています。

米国では、寝ている子どもの微細な呼吸にもセンサーが反応し、ドライバーに置き去りを伝える検知システムの搭載を求める法律が成立しており、日本でもマニュアル対応だけでなく、デジタル技術を導入する必要があるとしています。

センサーなどを駆使した子ども検知システム(CPD)は、米国のみならずヨーロッパでも活用されています。

先日も悲惨な子どもの置き去り死亡事故がありましたが、ヒヤリハットや一命は取り留めた事故などは日本中で日々発生しているはずです。

日本でもユニファ社のように子どもを見守るシステムを実用化している会社がありますので、積極的にCPDを導入していくべきです。

子どもが車内に置き去りになっていることをセンサーで検出して携帯電話に知らせるシステムがあれば、不注意な管理者でも事故は起こりませんし、幼稚園や保育園に預けている親としても安心です。

日本では先日の事故を受けて、子どもにクラクションを鳴らす練習をさせるなどという対策がとられているようですが、これでは根本的な解決には至りません。

CPDの整備を法律で義務化すべきです。




後れを取り戻すカギは医師との関係づくり


日経新聞は24日、「遠隔健康相談、コロナ機に拡大」と題する記事を掲載しました。

エムスリーの相談サービスである「アスクドクターズ」の2022年8月の利用件数は、感染拡大前の2019年8月に比べておよそ3倍。

また、メドピアの「ファーストコール」も、利用件数が2020年に比べて2.5倍になったとのことです。

これは中国ではかなり一般化していて、日本でももっと推進していくべきだと考えます。

医師会が行った都道府県医師会長へのアンケート調査では「患者都合のオンライン診療は行うべきではない」という回答が大多数で、日本での実現にはかなりの反発が予想されますが、エムスリーなどは医師と良好な関係を築いているので期待できるとは思います。

とはいえ、中国ではテンセントやピンアン、アリババあたりが強力に普及させているのに対し、日本ではまだまだ実現しそうになく、時間がかかりそうです。




安全で楽しいバイクブームを願う


新型コロナ禍で密を避けられるとしてオートバイが注目を浴び、新規の免許取得者が増加していると、日経新聞が24日の記事で報じました。

私もバイクを趣味にしているので、どんどん仲間が増えてほしいと思います。

日本国内でのバイク販売台数はここ30年で激減しているという現状があるのですが、そもそもバイクは一人当たりGDPが1,500ドルくらいの国で活用される乗り物です。

日本でも戦後すぐには250社ほどのバイクメーカーが林立し、それが現在の4社になって、世界的な大企業に成長したのです。

今はインドのメーカーに勢いがあります。

高齢者がバイクに乗るのは喜ばしいことなのですが、難易度が高く危険な乗り物であることは間違いなく、事故も多発していますので、安全に練習できる場所の確保も必要だと考えます。

また、私はバイクのみならず、自転車にも免許があるべきだと考えてはいますが、免許だけでは事故は防げないという現実もあります。

例えば水上バイクは日本では免許が必要ですが、免許が不要の米国に比べてマナーが非常に悪く危険です。

残念ながら「免許を取ったから好きに乗っていい」と気が大きくなってしまう、さもしい国民性があるのかもしれません。

余談になりますが、排気量ごとに免許が必要なのは日本だけです。

ホンダのCB400などは素晴らしい名車ですが、400ccで区切る必要がないので世界では全然売れていません。

軽自動車でも同じような現象が起こっています。




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※この記事は9月25日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は子ども置き去り対策のニュースを大前が解説しました。

大前は「日本ではマニュアル対応の対策にとどまっているが、海外のようにデジタル技術を活用して置き去りを防ぐよう法律で義務付けるべき」と述べています。

最新技術を活用することで今までは解決することが難しかった課題も打開策が見つかる可能性があります。

常に最新技術に関する情報をキャッチアップし、積極的に取り入れていくマインドセットが大切です。



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