- 本文の内容
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- 物価対策 電気代の負担軽減策決定
- 独エネルギー情勢 「ノルドストリーム」がガス供給停止
- ロシア産原油 インドで原油洗浄の可能性
- ウクライナ穀物輸出 黒海航路の安全確保で合意
お金を配って解決するようなやり方は王道ではない
政府は15日、物価・賃金・生活総合対策本部の会合を開き、新たな電気代の負担軽減策を決定しました。
電力小売り各社が導入する節電プログラムに登録した家庭に2,000円相当のポイントを付与し、さらに秋以降は電力不足が懸念される場合に、1ヵ月あたり5%節電すれば2,000円相当のポイントを追加付与する方針です。
これについて岸田首相は「物価上昇のほとんどを占めるエネルギーや食料に集中して対策を講じる」と強調しました。
目の前に人参をぶら下げて馬を走らせるように、数千円のお金をちらつかせて国民を動かそうとするやり方はとても評価できません。
本来であればまずは電気の供給を万全にすることが第一で、それでも電力がひっ迫した緊急時には産業界の電力消費を、強制力をもって抑制するというのが筋です。
国民に2,000円払って協力してもらうような解決策は、私に言わせればさもしいお金の使い方です。
とはいえ、さもしい日本人は応募してちまちまと数千円ずつもらいに行ってしまうのでしょう。
経済での戦いではロシアが有利
ロシアとドイツをつなぐ天然ガスのパイプライン「ノルドストリーム」が11日、定期検査のためガスの供給を停止しました。
これは毎年行われる定期検査で、21日ごろまで続く予定ですが、ロシア側が経済制裁やウクライナへの武器供与を理由に供給停止を続ける恐れがあり、ドイツ政府は供給確保へ向けた対応を急いでいます。
ノルドストリームはロシア西端のフィンランド湾からバルト海を通り、ドイツ北東部に至るパイプラインです。
ここの天然ガス供給が止まったままになった場合、ドイツは深刻なエネルギー不足に陥ります。
液化したままの天然ガスを備蓄しておく設備もなく、現在建造中の設備も間に合わないため、エネルギー不足に陥った場合はチェコやオーストリア、フランスなどに天然ガスや電力を融通してもらうしかありません。
残念なことですがこうしたエネルギー危機を迎え、ドイツの世論はロシアへの制裁を止めようという方向に傾かないか懸念されます。
「ウクライナ支援疲れ」と言われることもありますが、支援自体への反対意見は多くありません。
実態としてはロシアによるエネルギーや穀物などの供給を絞る攻撃に耐えきれなくなってきているという状況です。
プーチン大統領はKGB時代にドイツでスパイをしていたドイツ通です。
当然、ドイツの世論や泣き所は分かったうえで経済的に締め上げています。
このままノルドストリームを止め続ける可能性も十分考えられます。
「死の商人」インドがロシアを支える
日経新聞は14日、インドがロシア産原油の中継地点になっている可能性があると報じました。
5月と6月にインドに到着したロシア産原油の量はそれぞれ前年同月比でおよそ8倍、4倍と急増しており、インド国内で消費するだけでなく石油製品に精製して欧米に輸出しており、制裁の抜け穴になっている懸念が浮上しているとのことです。
現在もロシアから原油を買っている国は中国とインドが挙げられます。
中国が国内で燃料として使っている一方で、インドは原材料として加工し石油製品が不足しているヨーロッパに転売しているようです。
戦争を終わらせるための取り組みを無効化し、逆に利用して儲けるといういわば「死の商人」のような立ち回りが露骨になってきました。
安くしているとはいえ、インドが原油を買っている限りロシアへの経済制裁は機能しません。
一方でドイツは資源不足に悩まされ、ロシアへの経済制裁を緩める可能性も考えられます。
経済という分野での戦いは資源を持っているロシアに強みがあると言わざるを得ないでしょう。
食料危機解決のためにリスクを取る決断
13日、ウクライナとロシア、国連、トルコの各代表団は、ウクライナの穀物輸出再開に向けた協議をトルコのイスタンブールで開き、輸出航路の安全確保などで合意しました。
ウクライナからの穀物の輸出が滞り世界に食糧危機が広がっているのを受けて、トルコが国連と連携し交渉を後押しした形です。
黒海のオデッサ付近にはウクライナ・ロシア両国が敷設した機雷が多く、航行が大変危険な海域となっています。
今回の協議ではリスクをとってこの海域の航路を確保し、オデッサで留め置かれている穀物を運び出そうというプランが合意されました。
日本は掃海艇を持っているので航路の安全確保に貢献すべきだとは思いますが、あまり目立ちすぎるとロシアからの恨みを買う恐れもあります。
一方で、ウクライナ西部から陸路でルーマニアに運び、ドナウ川を下ってコンスタンツァから黒海に抜けるルートの稼働も始まりました。
このルートなら機雷が多く危険な海域を避けられるため、実現すれば穀物輸出のリスクも半減すると考えられます。
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※この記事は7月17日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は物価対策のニュースを大前が解説しました。
大前は「本来であれば、まずは電気の供給を万全にすることが第一」と指摘したうえで、「数千円のお金をちらつかせ国民を動かそうとするやり方はとても評価できない」と述べています。
表面的な解決策に飛びついてしまうとその場しのぎの対応にとどまり、根本的な課題解決に繋がりません。
まずは目的やあるべき姿を定義し、その問題が起こった原因を突き止めたうえで解決策を導き出すことが重要です。
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