- 本文の内容
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- 販売価格 大企業の販売価格判断DIが42年ぶり高水準
- 土地価格 令和4年分の路線価公表
- ニトリHD 純利益249億円
- セブン&アイHD そごう・西武売却で米フォートレスに優先交渉権
消費者物価への転嫁は進んでいない
日銀が1日に発表した6月の短観で、販売価格が上昇と答えた企業の割合から下落の割合を引いた「販売価格判断DI」が、大企業製造業でプラス34と前回の調査から10ポイント上昇しました。
1980年5月以来、42年ぶりの高水準です。
これを仕入れ価格との差で見ると、大企業に比べて中小企業の価格転嫁が進んでいない現状が示されました。
大企業はインフレや資材高騰の影響を価格に転嫁できているものの、中小企業は出来ていないという傾向が明確になりました。
一方で、消費者の価格に関してはそれ以上に転嫁できていません。
何万アイテムにも及ぶ商品で消費者物価は日々あがっていますが、外国に比べればまだまだです。
路線価だけでは価値が測れない時代へ
国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる令和4年分の路線価を公表しました。
前年比で上昇したのは20都道府県で、7道県だった前年から大幅に増加。
新型コロナ禍の影響が弱まったことが要因ですが、インバウンドの需要は未だ回復途上で、全国の最高価格は東京都中央区銀座5丁目の文房具店・鳩居堂前の1平方メートルあたり4,224万円でした。
「都市部は地価が上がっている」と言われていますが、「東京都」や「23区」というくくり方では理解できなくなってきています。
昔は「都心3区」というくくり方もありましたが、それも機能していません。
同じ区の中でも地価が上がっている場所と下がっている場所が霜降り肉状に存在し、平均を取ると上がっているというのが正確です。
この霜降り肉状に存在する傾向は大阪でも同様ですし、地価が下がっていると言われる観光地でも同様です。
例えば軽井沢では、渋滞が少ない場所は地価が大幅に上昇しています。
現在入込客数が増えている熱海でも、観光客が集まりやすい場所の地価は上がっています。
その上で、他の場所が下がっているから、町全体で見ると平均として地価が下がっているという結論になるのです。
今の時代は路線価だけでは捉えきれなくなってきています。
そこがどのような土地なのか、中身を細かく見て理解する必要があります。
ニトリといえど世界情勢の影響は避けられない
ニトリホールディングスが1日に発表した2022年2月21日~5月20日の第1四半期の連結決算は、純利益が前年同期に比べて14%減少しました。
商品の9割を海外で生産しているため、円安や物流費の高騰などが響いたと言うことです。
業績が目標未達となったことについて似鳥会長は、「為替の予想が外れたことが1番大きい」と語りました。
ニトリはこんな世界情勢の中でも利益を出している優秀な企業です。
似鳥会長が目標未達の理由として、為替予約の失敗を挙げていることもチャーミングに感じます。
私に言わせれば、商品の9割を海外で委託生産している企業が、この円安で14%減にとどめているのは良いことです。
とはいえ、これからは今の低価格を維持できないと予想します。
1ドル135円の水準を受け入れた後は、商品の2割くらいの値上げは避けられないのではないかと私は見ています。
百貨店の価値ではなく不動産の価値
セブンアンドアイホールディングスの進める百貨店子会社のそごう・西武の売却で、米国の投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループが優先交渉権を得たことがわかりました。
売却額は2,000億円超とみられ、今後雇用等の詳細を詰める見通しです。
米国の投資ファンドと紹介されていますが、フォートレスはソフトバンクグループです。
レオパレス21やアコーディアに投資をしています。
2,000億円という金額は百貨店の買収では割高ですが、不動産の価値を考えれば安い買い物だと私は考えます。
西武、そごうの主要店舗は、池袋、横浜、千葉、広島などにあり、いずれも一等地です。
たとえば池袋西武は駅直結であるため、百貨店の上にマンションを建てれば駅まで15秒の物件になります。
またそごう横浜はみなとみらいとの導線も良く、駅の反対側にある高島屋に比べて開発の余地が残っています。
千葉は人口増減の境目なのでうまくいくかわかりませんが、渋谷は開発の余地があるでしょう。
百貨店とは別の使い道を考えれば、2,000億円は安いと思います。
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※この記事は7月10日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週はセブン&アイHDのニュースを大前が解説しました。
大前は西武・そごうの主要店舗の立地に触れ、「売却額は2,000億円を超えるが、たとえば一等地にある店舗の場合は、低層階は店舗にして高層階はマンションにするなど、土地の活用方法を考えるとむしろ安いのではないか」と述べています。
同じ商材やサービスであっても、着眼点を変えることによってビジネスチャンスがより広がる可能性があります。
物事を様々な角度から見る力を鍛えるには、1つのニュースに対して様々な観点からの意見や考え方を調べるように意識することが大切です。
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