大前研一「ニュースの視点」Blog

KON921「ロシア経済制裁/独ロ関係/原油価格/欧州企業~原油価格が上昇すると、何が起こるのか」

2022年3月7日 ロシア経済制裁 原油価格 欧州企業 独ロ関係

本文の内容
  • ロシア経済制裁 ロシア銀行をSWIFTから排除
  • 独ロ関係 ノルドストリーム2認可手続きを停止
  • 原油価格 一時1バレル=100.54ドル
  • 欧州企業 ルノー、モスクワ工場の生産を停止

ロシア経済制裁は、日本にとっては天に向かって唾を吐くようなもの


英国、欧州連合(EU)などは先月26日、ロシアの銀行を各国の主要金融機関が参加する国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除することで合意したと発表しました。

当初はロシアへのエネルギー依存度が高いドイツなどが排除に消極的な姿勢を示していましたが、ロシア軍のウクライナ侵攻により被害が拡大していることを受け、足並みを揃えてロシアに強い圧力をかける必要があると判断したとのことです。

今回のロシアに対するSWIFT排除をどの程度徹底的に行うのか未だに不明な点があり、今後注視していく必要があると思います。

例えば、ある銀行を米国は排除対象としているのに、同じ銀行を排除対象に含めない国もあるなど、足並みは揃っていません。

もしロシアをSWIFTから完璧に排除するとなれば、それは中国を利することにつながっていくでしょう。

中国とロシアはお互いの通貨で交易が可能なので、例えば天然ガスが売れなくなった場合は中国に売ることになるからです。

そしてロシアも苦労はするでしょうが、何とかなってしまう可能性は高いと感じます。

イランもSWIFTから排除されて長い間苦労していますが、まだ生き残っています。

SWIFT排除はロシアに対する経済制裁ですが、制裁をする側にとっても不利益がありますし、日本にとって決して他人事ではありません。

ロシアの原油問題が取り沙汰されていますが、それだけでなく、ロシアとウクライナは小麦、大豆、菜種油、トウモロコシなどの一大輸出国でもあるからです。

ロシアがSWIFTから排除されると当然のことながら日本はモノを直接輸入することはできなくなり、SWIFT以外の決済が可能なインドや中国経由での輸入になります。

そうなると一気に値段が上がり、インフレを招く可能性もあります。

特に天然ガスでこのような現象が起こり、エネルギー価格も一気に上がることが懸念されます。

ロシアに対する経済制裁と言っていますが、実際には天に向かって唾を吐くような状況で、日本にとっても「返り血を浴びる」ような状況になる面もあることは理解しておくべきでしょう。




ドイツのノルドストリーム2認可手続き停止。影響度は大きいものではない


ドイツのショルツ首相は先月22日、ロシアの天然ガスを直接ドイツに運ぶノルドストリーム2について、認可手続きを停止すると表明しました。

ドイツは温暖化対策を背景にパイプラインの廃止に及び腰でしたが、ロシアがウクライナへ強硬姿勢を強める中、稼働停止に動かざるを得なくなったとのことです。

ノルドストリームには1と2があり、ほとんど同じところを通っています。

そして現在ノルドストリーム1は稼働していて、ノルドストリーム2は完成を目指して工事中です。

今回ドイツはノルドストリーム2の工事を中止しましたが、ノルドストリーム1はそのまま稼働していますので、現状に大きく影響する訳ではありません。




原油価格が上昇すると、何が起こるのか?


先月24日の国際原油市場で代表指標となるWTI先物価格が一時1バレル100ドル台まで上昇しました。

100ドルを上回るのは2014年以来7年7ヶ月ぶりで、ウクライナ侵攻でロシアからの原油供給に不安が広がったことが背景にあります。

今のLNG(天然ガス)の価格を見ていると、1バレル200ドルを超えてもおかしくない状況だと私は見ています。

ロシアの原油に頼れなくなったからといって、米国のシェールガスには頼れません。

エネルギー供給国として米国は安定していないからです。

米国のシェールガスはマーケットの状況によって急に供給を止めることがあり、非常に不安定です。

1バレル100ドルからさらに価格が上昇していく可能性があるので、日本にとってみれば日本車を売り込む良いタイミングかも知れません。

また、こうした状況によって、米国がイランとの関係性を修復する可能性が出てきました。

今、米国は、イラン核合意再建のための間接協議を再開しています。

ロシア問題が発生し、米国がイランとの関係性修復に乗り出す可能性は高いと思います。

イランにとっては神風となるかも知れません。




ロシア、ウクライナでビジネスを展開している日本企業は多い


仏ルノーのロシア法人は2月28日から3月5日までモスクワの工場での生産を停止する方針を明らかにしました。

ウクライナからの部品供給の一部が停止したことを受けたもので、ドイツのフォルクスワーゲンもドイツ東部の2つの工場を休止するとのことです。

ルノーはロシアの自動車最大手であるアフトバスの株式を多く保有していますが、ここでも事業に大きな影響が出始めています。

同じように住友電工やフォルクスワーゲンなど、ロシアとのサプライチェーンが滞っているために影響を受ける企業はまだまだあるでしょう。

また、ウクライナに拠点を持つ企業も数多く存在します。

日立の子会社の中には、数千人の社員がウクライナで働いているところもあります。

IT関連企業で開発拠点としてウクライナに進出している企業もあります。

ウクライナそのものが戦場になってしまうとウクライナにおける操業がストップしてしまいますから、非常に深刻な状況になるでしょう。




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※この記事は2月27日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています



今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週はロシア経済制裁のニュースを大前が解説しました。

大前はロシア銀行のSWIFTからの排除について「対象となる銀行および国の方針がそれぞれ異なるため、SWIFTから完全に排除されるのかはまだ不透明」と指摘したうえで、「日本はロシアとウクライナから小麦、大豆、菜種油などを多く輸入しているため、近い将来大きな影響があるのではないか」と述べています。

世界的に大きな混乱が起きる中各国が今後の対応に迫られており、世界経済や金融市場への影響は少なくないと考えられます。

世界各国の最新ニュースをチェックしてグローバルでの動向を把握し、自分たちのビジネスへの影響や対応方法を先んじて検討する必要があります。



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