- 本文の内容
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- INPEX 世界最大級のCCS設備導入へ
- 都心再開発 新宿西口再開発、東急不も参画
- 空き家問題 空き家問題打開へ増税策
CO2の貯留は、カーボンニュートラルに対する有効な対応策
日経新聞が報じたところによると、INPEX(旧国際石油開発帝石)がCO2(二酸化炭素)を回収して地下に貯留するCCS事業に乗り出す見通しとのことです。
CCSの知見を持つ海外の企業と提携し、オーストラリアの天然ガス開発事業に最大で1,000億円を投じて世界最大級の回収・貯留施設を建設する計画で、将来は日本など他の地域で排出されたCO2の受け入れも検討するとのことです。
CO2を地下深く貯留層に固めて埋め、泥岩などで遮蔽して表に出てこないようにするという方法です。
この方法が機能するようになれば、カーボンニュートラルという課題に対しても大いに有効でしょう。
オーストラリアなどでは数十年前から研究が進められていた技術です。
また、すでに一部の地域では排出されたCO2を地下深くに埋めることも実験済みです。
日本でもこうした研究に資金が回るようになり、今回1,000億円規模を投じることになったのは非常に良いことだと思います。
日本国内の地層には火山岩などが多いので、この方法を採用することは難しい状況です。
他国の研究に相乗りしCO2を貯留させてもらえるのというのは、非常にありがたいことです。
石炭は完全に廃止したいところですが、その他を含めてCO2の排出を完全になくすのは現実的に非常に難しいと思います。
排出したCO2を遮蔽して貯留するという考え方に研究の目が向いていくのは、非常に重要だと私は見ています。
小田急の開発に乗っかった東急の思惑
日経新聞は10日、「新宿西口再開発、東急不も参画」と題する記事を掲載しました。
小田急電鉄が新宿駅西口で進める再開発計画で、新たに東急不動産を共同事業者の候補に選出したと紹介。
小田急が敷地の提供を、東急が建物の開発を担い、地上48階・地下5階建ての超高層ビルを建設する計画で、2029年度の完成を目指すとのことです。
東急は屋上展望デッキ「キリコテラス」を持つ東急プラザ銀座を建てたものの、いまひとつの状況です。
そこで、新宿西口を小田急と一緒に開発するという話に乗ったのでしょう。
新宿西口バス停のすぐ横が小田急の再開発地区です。
新宿駅は1日の利用者数が世界最多で、非常に良い立地だと思います。
また、小田急百貨店というのは、極めて商品がユニークな百貨店です。
私が普段使っているポシェットは小田急で購入したものですが、他の百貨店では手に入りません。
また、私が持っている家具の中には、小田急でしか売っていないものもあります。
こうした小田急の「特徴ある商品」はぜひ継続してほしいと思います。
高島屋を始め多くの百貨店がありますが、どの百貨店でも手に入るものではなく、小田急でしか手に入らない商品には非常に魅力があると私は思います。
空き家問題は行政の怠慢と法律が招いた社会問題
日経新聞は12日、「空き家問題打開へ増税策」と題する記事を掲載しました。
固定資産税の優遇を見直す自治体が相次いでいると紹介。
税の優遇は高度成長期に農地などの宅地化を進めるため導入されたものの、現在では空き家放置の要因になっており、優遇見直しの先行都市で前向きな結果が得られるかどうかを全国の自治体が注視しているとのことです。
税の優遇措置の結果を見守るのではなく、1年間官報で情報開示をして誰も名乗り出ないのであれば、その時点で市区町村が引き取って責任を持って対処するという方法をいち早く採用するべきだと私は思います。
そうしないと、本当に空き家なのかどうかも不明のまま、いつまでたっても手をつけられません。
そんな空き家が日本中にはたくさんあります。
空き家率の推移は上昇を続けていて、今では総住宅数の約14%に達しています。
5000万戸のうち約14%が空き家という、とんでもない数字です。
また、空き家には近隣住民へ迷惑をかけるという問題もあります。
例えば外壁材の飛散、樹木などの倒壊、道路へのはみ出し、ゴミの不法投棄による衛生悪化、シロアリなどの繁殖による生活環境悪化などが挙げられます。
特定空き家に対する行政措置の状況を見ると、行政代執行(行政上の強制執行の一種で、行政が義務者のなすべき行為をなし、その費用を義務者から徴収)が行われているのはわずかです。
これでは埒が明きません。
1年間の情報開示の上で市区町村が引き取ったら、すぐに競売にかければ良いでしょう。
もともと人が住んでいたのですから、有効活用できる余地があるはずです。
将来の計画を立てて、空き家を取り潰して建て替えても十分ペイするなら、お金はいくらでも集まってくるはずです。
ところが現状では、空き家の取り除き方がわからないために大きな社会問題になってしまっています。
これは法律の問題でもあり行政の怠慢でもあると思います。
今後、法律も変えていく必要があるでしょう。
最終的に強制命令で執行するにしても、空き家は数百万戸あるわけですから、今のスピードではとても追いつきません。
もっと自治体にメリットがあるようなやり方を打ち出すことを考えるべきだと思います。
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※この記事は2月13日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は空き家問題のニュースを大前が解説しました。
大前は「空き家が増えて社会課題になっている理由は取り除き方が分からないから」と指摘し、「空き家を官報で公開して持ち主を探し、1年間見つからなかったら自治体が競売など対処が出来るよう法律を変えるべき」「空き家が数百万戸ある現状を打開するためには、行政にもメリットがある方法を検討する必要がある」と提案しています。
何から手を付けてよいか分からない課題の場合、まずは問題整理から始めましょう。
問題が発生する構造を掴み、その根っこにある課題を取り除きます。
目の前に見える現象への対処療法に終始せず課題を発見するためには、物事を深く考察する力が求められます。
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