- 本文の内容
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- 印スマホ決済大手 インドOne97が上場
- インド情勢 オンライン学習が急拡大
- シンガポール・シー ネット通販シー、欧印進出
- 韓国サムスン電子 最先端半導体工場を建設
インド発のエドテック企業が世界を席巻する
インドのスマホ決済「Paytm」を運営するOne97コミュニケーションズが、先月18日にムンバイ証券取引所に上場しました。
「Paytm」はスマホでQRコード決済や個人間送金ができるサービスで、利用者は3億人を超えています。
調達額は1830億ルピー(約2800億円)とインド最大のIPOとなりました。
スマホ決済のPaytmの時価総額は約1.7兆円です。
いくつかのデカコーン企業が誕生している中、インドではスマホ決済などに続いて、教育関係のIT産業の成長が顕著です。
日経新聞は先月17日、「オンライン学習が急拡大」と題する記事を掲載しました。
新型コロナの感染が拡大したインドでオンライン学習が脚光を浴びています。
全土で実施された厳格なロックダウンにより外出が一時制限され、遠隔で教育を受けられるサービスが急成長したもので、安価な通信料やスマホ利用者の増加も追い風としています。
中国が国内のオンライン学習サービスを規制する動きを見せる一方、インドでは学習熱心な人も多く、大きくサービスが成長しています。
オンライン学習サービス「バイジュース」は早々に利用者数1億人を突破し、すでに想定時価総額でも1兆円を超えるEdTech(エドテック)になっています。
売上も倍々ゲームのように伸びています。
インド発のエドテック企業が巨大化し、他国の比較的小さいユニコーン企業を買収する動きが見られます。
一例として、今年5月にインドのエメリタスが米シリコンバレーのSTEM教育サービスを展開するiDテックの買収を発表しています。
これからはさらにインドのエドテックが世界の中心になっていく可能性が高いと私は見ています。
シンガポール・シーの世界進出は、成長性のアピールに過ぎない
日経新聞は先月18日、「ネット通販シー、欧印進出」と題する記事を掲載しました。
東南アジアのネット通販最大手・シーが、欧州3カ国とインドに進出した他、3月に開始した投資事業ではゲーム関連企業など3社に出資しました。
2021年7-9月期決算は5億7000万ドル(約650億円)の最終赤字だったものの、潤沢な手元資金を活用し売上高の増加を最優先する戦略を継続するとしています。
シーはニューヨーク証取に上場する企業であり、その成長期待が株価を支えていますが、いまひとつ収益は出せていない状況です。
ゆえに、様々な地域に進出すると発表してプラットフォームの成長性をアピールする必要があります。
今回の欧州やインドへの進出もその一環でしょう。
これまでの業績を見ても、売上は伸びているものの収益はずっと赤字です。
このまま世界各地に拡大したらさらに業績が悪化する可能性もあると思います。
もしかしたら売上すら伸び悩む事態に陥るかも知れません。
これまでのように売上が伸びたとしても、赤字続きという泥沼から抜け出せるのかどうか甚だ疑問です。
今打ち出している施策は、結局のところ苦し紛れで終わる可能性もあるでしょう。
世界の半導体市場で見る影もない日本の情けなさ
韓国のサムスン電子は先月24日、米テキサス州に最先端の半導体工場を建設すると発表しました。
170億ドル(約1兆9580億円)を投じ、回路線幅3ナノメートルの次世代品を生産すると見られ、2024年下半期の稼働を目指す方針です。
半導体の受託生産の世界シェアでは台湾TSMCがトップで、サムスンが次いでおり、両社は激しく競い合っています。
残念ながら日本企業は世界のトップ勢には全く見当たりません。
そんな日本において、TSMCは熊本に半導体の新工場を建設すると発表し、日本政府は工場建設費用のうちその半分を支援するとしています。
工場新設費が8000億円で、日本政府の支援金が4000億円です。
ところが、このTSMCの新工場が生産するのは回路線幅22~28ナノメートルの半導体です。
自動車やIT製品に幅広く使われますが、最先端の半導体ではありません。
サムスンの工場はオランダのASMLの最新技術を活かした最先端工場で、1兆9580億円も投じて米国に建設されます。
このサムスンの工場と比べると、熊本に建設予定のTSMCの工場は最先端技術が使われているとは言えません。
なぜ、そのような工場に日本政府は国民の税金を使って4000億円も捻出するのか、全く理解できません。
サムスンの業績を見ると、最も大きいスマホ事業には及ばないものの、半導体事業も大きく収益に貢献しています。
半導体の受託生産技術で世界トップレベルを走るサムスン。
1980年代後半には世界の半導体市場の50%ほどを占めていた日本勢は見る影もなく、情けない限りです。
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※この記事は12月5日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週はインド情勢のニュースを大前が解説しました。
大前は「インドは学習熱心な人が多いことも追い風になり、エドテックが急速に伸びている」と分析し、「インド発のデカコーン企業がユニコーン企業を買収するケースが増えており、今後インドがエドテックの中心になると考えられる」と述べています。
社会情勢の変化やITの革新をきっかけに、学びのスタイルは世界的に大きく変化しています。
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