- 本文の内容
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- レノボ・グループ 上海・科創板への上場申請を取り下げ
- 中国企業 中国「国進民退」鮮明
- スマホ決済大手 グラブが「OVO」株の90%を取得
- 日立製作所 エジプト、サウジ間送配電システムを受注
中国当局による歴史的に見ても想像を絶する愚かな行為
パソコン世界最大手のレノボ・グループが8日、上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板(スター・マーケット)」への上場申請を取り下げたことがわかりました。
同社は香港取引所に上場しており、重複上場によって資金調達の多様化を狙う予定でしたが、レノボの研究開発支出がハイテク企業としては少ないなどの見方も上がっていました。
レノボの創業者である柳伝志会長は、IBMからパソコン部門を買収して今や世界最大手に成長させた立志伝中の人物です。
アリババ創業者のジャック・マー氏とも親交が深く、中国当局からは目をつけられています。
柳氏の娘・柳青氏が社長を務める滴滴出行(ディディ)も中国当局に国家安全上の理由で審査されており、株式の非公開化を検討していると報じられています。
習近平氏と仲が良くない人物は目の敵にされている印象です。
柳氏は中国の経営者の中でも尊敬に値する人物です。
このような世界的に見ても立派な経営者が、理不尽ないじめを受けるというのは非常に残念です。
中国政府による中国経済への悪影響は、「国進民退」という形でも表れています。
日経新聞は15日、「中国『国進民退』鮮明」と題する記事を掲載しました。
中国で国有企業と民間企業の収益が逆転したと紹介。
「国進民退」と呼ばれる習近平指導部の国有強化のひずみが表面化してきたとしています。
「国進民退」というのは非常に大きな問題だと思います。
国営企業は弱く、民間企業が強いというのがあるべき姿です。
ところが、中国においては、2010年頃を境に民間企業よりも国営企業の方が利益を出す傾向が強くなり、ついに逆転してしまいました。
国営企業は利益を出しているといっても、経営は下手で人員も過剰です。
本来であれば破綻するであろう企業もたくさんあります。
その一方、固定費が低く、これから成長して世界的に活躍する余地がある将来有望な民間企業が利益を出しにくい状況になっています。
利益を出す民間企業から税金を徴収することで、国家は繁栄します。
それを国営企業へシフトするなど本末転倒です。
私に言わせれば、今の中国共産党は歴史に残るバカな政策を実施していると思います。
東南アジアから飛躍しつつあるプラットフォーマー企業
シンガポールの配車サービス大手のグラブが、インドネシアのスマホ決済サービス「OVO」の株式の大半を取得しました。
これまでOVO株の41%を保有していたトコペディアがゴジェックとの経営統合に伴い売却したもので、これによりグラブはゴジェックが手掛けるゴーペイなどに対抗する考えです。
OVOはインドネシアのユニコーン企業の1つです。
電子マネー事業を展開しており、東京センチュリー、グラブ、トコペディアなどが出資してきました。
そのグラブとOVOが一体化したという状況です。
これを受けて、東南アジアのプラットフォーマー争いは一層激しくなっています。
ゴジェックとトコペディア連合、グラブとOVO連合、そしてNYで上場しているシンガポールのシーがいます。
これらの企業はスマホによる配車サービスやゲームから事業を始め、今日では決済などの金融サービスなどありとあらゆるサービスを展開しており、今後アジアでも間違いなく大きな勢力となってくると思います。
残念ながら日本にはこれらの企業のように最新技術を使って次々とサービスを展開していく企業は見当たりません。
日立に期待したい直流高圧送電の活用
日経新聞が報じたところによると、日立製作所がエジプトとサウジアラビアを繋ぐ送配電システムを受注したことがわかりました。
長距離間を効率的に送電できる高圧直流送電の技術を活用するものとのことです。
日立は電力システム事業をABBグループから買収しています(2020年に買収完了)。
そのとき買収した技術の1つが高圧直流送電です。
この技術を使ってエジプトとサウジアラビア間を送電するということです。
直流高圧電流であるということがポイントです。
交流のままでは電力ロスが大きいため長距離送電をすることができませんが、直流かつ高圧であれば電力ロスが非常に少なく、長距離の送電も可能になります。
仮にサハリンで発電した電力だとしても、海底ケーブルを経由して日本に引っ張ってくることもできるでしょう。
非常に期待したい技術です。
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※この記事は10月17日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週はスマホ決済大手のニュースを大前が解説しました。
大前は急速に拡大する東南アジアのプラットフォーマーを挙げ、「各社から最新技術を使用したサービスが続々と登場しており、今後アジアで大きな勢力になるだろう」と述べています。
各社が最新技術を活用したサービスを次々と開発しており、ビジネス環境は世界的に大きく変化しています。
世界各国の最新ニュースやビジネスをチェックし、今グローバルではどのような動向があるのか把握しておくことが重要です。
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