- 本文の内容
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- 温暖化対策 排出ゼロ増す中東リスク
- 再生可能エネルギー 地熱発電、世界で勝機拡大
- バイオマス発電 石炭火力をバイオマス発電に転換
- 太陽光発電 テクノシステム生田社長を再逮捕
排出ゼロで中東リスクが極端に高まる理由とは?
IEA(国際エネルギー機関)が先月、国や企業は化石燃料事業の新規投資を直ちに凍結する必要があるとの見解を示しました。
しかし、世界が再生可能エネルギーへシフトする一方、今後も存在する石油ニーズについては、中東依存度がかつてないほど高まるほど原油価格が急変動するリスクもあり、温暖化ガスの排出ゼロを目指すには、技術革新以外にもこうした安全保障上のリスクも乗り越えなければならないとしています。
IEAが指摘するように、採掘コストが世界で最も低い中東を除く地域での生産が難しくなることで、中東依存度が高まることに加え中東特有の問題も表面化するのではないでしょうか。
排出ゼロを目指す過程で、今中東が得意としているLNGや原油が使われなくなることになります。
そうなると、今までLNGや原油に頼ってきた中東経済が成り立たなくなり、崩壊する可能性があるということです。
現状、LNGや原油によってお金が入ってきていても不安定な状況なのに、それがなくなることでより一層不安定になり、中東リスクは極端に高くなるでしょう。
中東諸国の多くはこれまで何の準備もせずにやりたい放題にやってきました。
LNGや原油が使われなくなり、その富の源泉を失ったら、果たしてLNGや原油以外のもので国を運営できるのか?というと、甚だ疑問です。
ドバイなどは、いずれ原油が枯渇した時に備えて準備してきましたが、枯渇する前にこのようなリスクを抱えてしまうと、到底準備が間に合うものではないでしょう。
地熱発電のチャンスに対して、日本の許認可制度は遅すぎる
日経新聞は11日、「地熱発電、世界で勝機拡大」と題する記事を掲載しました。
脱炭素の流れを受けて、世界で地熱発電が拡大しています。
太陽光や風力のように天候に左右されない安定性が評価され、発電容量は10年間で4割増加したとのことです。
日本は、世界中の地熱発電所で使われる蒸気タービンなどで大きな優位性を持っています。
それなのに、自国では大きな地熱発電所を作っていないというのは何とももったいない話です。
商売として考えると、地熱発電所と発電所内で使用する蒸気タービンなどの両面で稼いでいくことができます。
日本では、今まで10年ぐらいかかっていた地熱発電所の許認可期間を8年ぐらいに縮めようとしていますが、これでも長過ぎると思います。
到底、インドネシアやニュージーランドのような柔軟な動きを取ることはできないでしょう。
米国もイエローストーンなどで大規模な地熱発電を展開しています。
日本は許認可が面倒なために、国内には小さな地熱発電所ばかりで出遅れており、非常にもったいないと言わざるを得ません。
バイオマス発電が大きくブレイクする可能性が広がっている
バイオマス発電大手のイーレックスが大手電力会社などから石炭火力発電所を買収し、バイオマス発電に転換する取り組みを開始することがわかりました。
4基程度を合わせて数百億円で買い取り、専用の設備を導入して転換。
2022年以降の運転開始を目指すとのことです。
これは非常に利口なやり方だと思います。
石炭火力発電所はいずれ閉鎖に追い込まれることが決まっています。
しかしながら、そこには送電線、蒸気タービンなど発電施設が残っています。
これらを利用すれば、効率的にバイオマス発電を展開することができます。
イーレックスがバイオマス燃料に利用するのは、木質系燃料に加え、ベトナム、フィリピン等で試験栽培をしている燃料用ソルガムとのことです。
これらから効率的に熱源を得て、そこから先は安く買収した石炭火力発電所の送電施設をそのまま活用するというわけです。
LNGや石炭火力発電所は日本にたくさんあります。
これらの施設を有効活用して、クリーンエネルギーの施設に置き換えようというのが今の動きです。
これによって、バイオマス発電は急激に大きくなる可能性が出てきたと言えるでしょう。
テクノシステム融資詐欺事件は、今後の政局に影響する可能性がある
横浜市の太陽光発電関連会社であるテクノシステムをめぐる融資金の詐欺事件で、東京地検特捜部は16日、会社の資金約4億円を賭博などの自己の借金返済に充てたなどとして、同社社長・生田尚之容疑者を会社法違反・特別背任などの容疑で再逮捕しました。
クリーンエネルギーを標榜してお金を集めておきながら、それを賭博で使い込んだ借金に充ててしまったという、「クリーン」とは程遠いとんでもない話です。
そしてキナ臭いのは、小泉元首相ファミリーが広告塔になっていた点です。
小泉純一郎元首相が生田容疑者の事業を応援する記事広告が掲載され、長男で俳優の孝太郎氏はテクノ社のCMに起用されていました。
そして、次男の進次郎環境相は脱炭素社会の実現に向けて、「住宅への太陽光設置義務化」を推し進めてきました。
小泉元首相ファミリーが広告塔になっていたので安心してお金を出したら、それが賭博の借金に消えてしまったというのですから目も当てられません。
大阪、静岡、徳島をはじめ、全国の地銀、信金、信組などからも多額の融資を受けていました。
この問題は今後どう転ぶかによって、政局にも大きく影響してくる可能性があると、私は見ています。
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※この記事は6月20日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は東芝のニュースを大前が解説しました。
大前は日本の半導体事業が衰退した理由について触れながら、「経産省から株主へ不当な圧力をかけることはあってはならないこと」「経産省が企業と関わる範疇を超えており、きちんと調査されるべき」と述べています。
適切な規律がないと、企業経営に大きな問題が生じる可能性があります。
コーポレートガバナンスに取り組むことで企業への信頼が高まるだけでなく、長期的には企業価値の向上へ繋がります。
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