大前研一「ニュースの視点」Blog

KON866「国内紳士服大手/エムスリー/クラウドファンディング~エムスリーに死角なし」

2021年2月8日 エムスリー クラウドファンディング 国内紳士服大手

本文の内容
  • 国内紳士服大手 青山商事、売り場最大半減
  • エムスリー 医師9割、エムスリーに集う
  • クラウドファンディング 米インディゴーゴーと提携

アパレル業界は従来のカテゴリーにこだわらず、チャレンジすることが重要


日経新聞は先月20日、「青山商事、売り場最大半減」と題する記事を掲載しました。

新型コロナの感染拡大を受けたテレワークの普及でスーツ離れが進んでいると紹介。

紳士服最大手の青山商事は、専門店の6割にあたる400店で売り場面積を最大5割減らし、空きスペースはコンビニなどを誘致する考えです。

新たな働き方の普及で、幅広い業種で事業の見直しが迫られているとのことです。

青山商事のセグメント別業績を見ると、売上は何とか持ちこたえているものの、営業利益は激減しています。

ビジネスウェアの営業利益は約135億円からわずか3億円に減少し、もはや見えている世界が全く違う状況と言えます。

同じくビジネスウェアを主力とするAOKIも、青山商事に比べると健闘していますが、ファッション事業の営業利益は72億円から28億円へ減少しています。

スーツ離れが進んでいることがよくわかります。

しまむら、ワークマン、青山商事、AOKIといったアパレルメーカーは、従来、異なるカテゴリーとして事業を展開していました。

しかし、現在は状況が変わりました。

いずれの企業も、新たな事業展開を模索中で、従来のカテゴリーにとらわれていてはダメでしょう。

アパレル全体的に非常に厳しい状況ですが、打ち手はあるはずです。

例えば、ワークマンなどは非常に細かいニーズを拾った商品を展開し成功していますし、時間帯によっては女性向けの店舗に切り替えてしまうなど、色々とチャレンジしています。

また、AOKIも24時間フィットネスジム「快活クラブFiT24」を運営するなど多角化に挑戦しています。

スーツ離れという厳しい状況ですが、今こそこのようなトライを続けていくことが大切だと私は思います。





エムスリーに死角なし。政府主導のシステム構築などやめて、エムスリーに任せよ


日経新聞は先月19日、「医師9割、エムスリーに集う」と題する記事を掲載しました。

各地で緊急事態宣言が発令される中、国内の医師の9割が登録するエムスリーの存在感が高まっていると紹介。

新型コロナの感染拡大で訪問が難しくなった製薬各社が医師への営業手法として活用しているもので、LINEや中国アリババとも提携するなど医療情報のプラットフォーマーとして台頭しているとのことです。

新型コロナの影響もあり株価が上昇し、直近では時価総額が7兆円を超えましたが、現在は約10%下落しています。

これは株式市場がエムスリーの行き過ぎたリスクを取り除こうとしているためで、業績自体は非の打ち所がありません。

売上、利益、純利益いずれも非常に順調で、市場の期待に応えた見事な成績だと思います。

正直、ここまで順調な推移を見せる例は珍しいと言えます。

エムスリーはとにかく動きが速く、システム開発力もあるので、実現できることが多岐にわたります。

今後も大いに期待したいところです。

私に言わせれば、今政府が新型コロナ対策などでにっちもさっちもいかなくなっているような仕組みづくりも、エムスリーに任せればあっという間に出来上がると思います。

政府はマイナンバーベースでシステムを構築しようとしていますが、出来るはずがありません。

保健所、病院、政府にできないことを、全てエムスリーに任せてゼロから作ってもらう方が良いと私は思います。





クラウドファンディングは、高齢者の持っている資金の使い途としても有効


クラウドファンディングのマクアケは先月20日、同業の世界大手・米インディゴーゴーと業務提携したと発表しました。

相互の顧客を融通し、クラウドファンディングを活用し海外で商品を販売したい日本の事業者や日本で商品を販売したい海外の事業者を支援するとのことです。

クラウドファンディングは、2000年代に米国で始まり、日本ではマクアケ、READYFOR (レディーフォー)、CAMPFIRE(キャンプファイヤー)などが有名です。

そもそもの考え方は、神社や仏像の造営・修復をするために個人から寄付を集める、日本の「勧進(かんじん)」に似ているとも言われています。

今回マクアケが提携したインディゴーゴーは創業12年世界200カ国で展開しているとのことです。

クラウドファンディングの種類としては、以下のようなものがあります。

支援者がリターンとして設定された商品やサービスを受け取る「購入型」
基本的にリターンが発生しない「寄付型」事業者が仲介して小口の資金を集める「融資型」
個人ではなく企業が資金調達のために行う「株式型」(※第一種少額電子募集取扱業の資格が必要)
特定の事業に対して個人投資家から出資を募る「ファンド型」(※第二種金融商品取引業の登録が必要)
自治体が解決したい課題をプロジェクト化して、共感した人が納税で寄付する「ふるさと納税型」

様々な種類のクラウドファンディングがありますが、私の周囲を見渡してみると、私を含めてストレートに寄付をするという人が多いです。

一般的に資本を募集する場合には金商法を考慮する必要がありますが、上記で紹介したとおり、クラウドファンディングの種類によっては、そういった法律の制約を受けません。

お金を持ったまま死んでいく高齢者が多い日本においては、ややこしい法律に左右されないクラウドファンディングを利用してお金を使う、というのは非常に効率的かもしれません。





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※この記事は1月31日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています




今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は国内紳士服大手のニュースを大前が解説しました。

大前は複数のアパレルメーカーの事例を挙げて、「従来のカテゴリーに囚われていてはダメ」「店舗での工夫など、様々なトライが重要」と述べています。

既に存在するビジネスでも、商品の工夫や広告手法を変えることで新しい層の顧客にアプローチ出来る可能性があります。

消費者のニーズを敏感に察知し、試行錯誤しながらより良い手法を見つけることが重要です。





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