- 本文の内容
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- 国内不動産大手 コロナに泣いた三井不動産
- ホームセンター大手 ニトリHDの買収提案受け入れ
- ニトリHD 国内の物流施設、システムを一新
- 国内戸建て市場 新築戸建て、販売伸びる
超優良企業の代表格・三井不動産が苦境に立たされている
日経新聞は18日、「コロナに泣いた三井不動産」と題する記事を掲載しました。
国内不動産大手の4-9月期決算が出揃い、5社合計の連結営業利益は前年同期比16%減。
各社ともにマンションやオフィス事業は堅調な一方、コロナ禍で商業施設やホテル事業が低迷したとのことです。
三井不動産と言えば、マンダリン・オリエンタル東京やヤマハのリゾート施設、ハレクラニ沖縄、スキー場など様々な積極的な投資を行ってきましたが、完全にそれが裏目に出た形になっています。
三菱地所と争いながら、死に物狂いで展開していたアウトレットモールも新型コロナウイルスの感染拡大で閑古鳥が鳴いている状況です。
この状況下においてもオフィスビルを中心に、比較的堅調に推移している住友不動産と比べると、三井不動産は少し自分を見失ってしまったのかもしれません。
テレワークの普及で事務処理需要は確実に落ちていますから、各社いずれにとっても状況は厳しいと思います。
高額な優良物件を抱えているだけに、それが賃貸で活用されないとなると、逆に大きな負担になってしまいます。
これらは遅れてくる腹痛のようにじわじわと影響が出てくると思います。
三井不動産は超優良企業の代表格でしたが、非常に苦しい状況に追い込まれています。
ニトリはホームセンター買収で店舗を広げつつ、自前物流システムで飛躍を狙う
12日、ホームセンター大手の島忠がニトリHDによる買収提案を受け入れる見通しが明らかになりました。
DCMより3割高い買付価格を提示したニトリの提案を支持することになりました。
島忠がニトリによる買収提案を受け入れたのは、DCMと一緒になっても展開する地域がやや広がるだけでほぼ業態は同じであるため、大きな効果は見込めないと判断したからでしょう。
一方、ニトリと一緒になると、家具が扱えるという大きなメリットがあります。
ニトリは首都圏への進出が出遅れていることもあり、全国の島忠のホームセンター内に、ニトリの家具を取り扱うコーナーを置くことができれば、大きな需要が掘り起こせます。
特に今はテレワークでオンライン会議なども増えていますから、オンライン会議用に「映りが良い家具」を買い求める人なども出てくるでしょう。
ニトリにとっても、首都圏への展開が遅れ、全国的に店舗が少なかったという弱点を克服することになります。
島忠の店舗網を活用できるのは、ニトリにとっても非常にありがたいことだと思います。
数週間前にこの買収提案の話題がニュースになった時、私は「私がニトリの社長なら、DCMが島忠を買収するのを待って、その後でDCMごと買収する」という戦略を取ると話しました。
もしこの戦略を取っていれば、店舗数は一気に3倍になりますし、ニトリはもったいないことをしたと私は思います。
しかも、ニトリは今後5年間で最大2000億円を投じて国内の物流施設・システムを一新する方針を明らかにしています。
2000億円投資する余裕があるのなら、もう1000億円加えて3000億円でDCMの買収まで思い描いてほしかったところです。
DCMや島忠の店舗内に一定スペースを確保して、ニトリの商品を置くことができれば良いので、2社を完全子会社化しなくても実現できると思います。
1000億円程度の追加資金でDCMの店舗まで手に入れることができれば、費用対効果は高いはずです。
自前の物流システム構築のための投資そのものは、非常に良いことだと思います。
現在、ニトリは他社の物流サービスに頼っています。
しかし、他社サービスを利用している限り、革新的な自動化などはなかなか進みません。
自前の物流サービスを持つことで大きな差別化を図ったアマゾンが代表例です。
今回の投資によって、全国各地で自前の物流センターを新設し、外部の物流企業が運営する施設の使用を順次停止。
各物流センターと店舗の在庫情報を一元化し、ネット通販での消費者への配送時間を短縮するとのことです。
ぜひ実現してもらいたいと思います。
大塚家具が経営再建に失敗し、ニトリとイケアの一騎打ちの様相になっています。
イケアとの争いを考えれば、ニトリはまだホームセンターを追加で買収したいぐらいの気持ちがあると思います。
そのような展開になれば、自前の物流センターへの投資がより活きてくる状況になると思います。
テレワークの普及で「家に求める」条件が大きく変化した
日経新聞は21日、「新築戸建て、販売伸びる」と題する記事を掲載しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で新築一戸建て住宅の需要が伸びています。
在宅勤務の普及で仕事用の部屋の確保のしやすさが評価されているとのことで、建売住宅最大手の飯田グループHDは4-9月期の販売数が前年同期比で1割増加したとのことです。
「いいだのいい家」というキャッチフレーズで知られていますが、飯田の戸建ての特徴は広くてゆとりがあることです。
家が狭くて書斎がないと、テレワーク時のオンライン会議などに支障をきたすこともあります。
コロナ禍によるテレワークの普及で、戸建てにしてもマンションにしても、飯田の住宅のような「広くてゆとりがある」ものが求められるようになりました。
一方、超優良企業だった大和ハウスは、ホテル事業などに積極的に乗り出していたことなどが裏目に出て、業績が悪化しています。
現在の飯田の好調ぶりを見ていると、新型コロナウイルス感染拡大によって、家を買う人の心境が大きく変化したと感じます。
今までは「働く場所は会社」「寝る場所は家」という生活スタイルが一般的でした。
まさに「ベッドタウン」という名の通りです。
しかし、今は「週1回会社に行って、それ以外は自分の家で働く」という生活スタイルに変わってきました。
そのため、家に求める条件として「会社から少々離れていても、スペースに余裕があること」を重視する心境に変化してきたのだと思います。
極端に言えば、軽井沢、熱海、那須などの地域から、新幹線で1時間通勤するのもアリ、と考える人も出てくるでしょう。
飯田グループの好調さは、こうしたトレンドをうまく捉えた結果です。
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※この記事は11月22日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は国内戸建て市場のニュースを大前が解説しました。
大前は飯田グループHDの住宅販売数について、「コロナ禍によるテレワークの普及で人々が家に求める条件の変化をうまく捉えた結果である」と述べています。
今までに直面したことのない困難が、逆に自社の強みを活かす大きなチャンスとなることがあります。
顧客心理の変化をいち早くキャッチした企業が、このチャンスを生かすことができます。
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