大前研一「ニュースの視点」Blog

KON820「米民主党/マレーシア情勢~サンダース氏の実績をもっと評価すべき」

2020年3月16日 マレーシア情勢 米民主党

本文の内容
  • 米民主党 バイデン氏が10州で勝利
  • マレーシア情勢 マハティール氏、次々誤算

バーリントン市長だったサンダース氏の実績をもっと評価すべき


米大統領選の民主党候補指名争いで、スーパーチューズデーの投票が3日行われ、バイデン前副大統領が10州で勝利しました。

バイデン氏は緒戦に苦しみ撤退説も囁かれましたが、息を吹き返した格好で、ブルームバーグ氏やウォーレン氏が撤退する中、左派サンダース氏との一騎打ちとなりそうです。

民主党の候補としては、バイデン氏とサンダース氏に絞られてきたという状況です。

ブティジェッジ氏とブルームバーグ氏が大統領選から撤退して、バイデン氏の支持を表明しました。

同じく撤退を表明したエリザベス・ウォーレン氏はサンダースの側につくべきですが、いまだに態度を明確に示していません。

情勢としては3月8日時点で、バイデン氏の獲得議員数が610人に対し、サンダース氏が538人で拮抗しています。

今後、バイデン氏の勢いが増すと言われていますが、ウォーレン氏がサンダース氏と手を組むと面白い展開になるのではないかと私は見ています。

つまり、大統領にサンダース氏、副大統領にウォーレン氏というコンビです。

ウォーレン氏が地元のマサチューセッツ州でバイデン氏に敗北したのは情けない限りですが、一方で、ブルームバーグ氏を完膚なきまでにやり込めた手腕は見事でした。

ウォーレン氏ならトランプ氏を相手にしても引けを取らずに戦えるのではないかと思います。

もし私がサンダース氏なら、「ボディーガード」としてウォーレン氏を陣営に抱え込むことを考えます。

また、サンダース氏はバーモント州バーリントンの市長を長らく経験し、素晴らしい市制を敷いてきた実績があります。

バーリントンにおける彼のやり方は、貧しい人の住宅問題や環境問題を見事に解決し、また再生可能エネルギーだけで発電するといったことも実現しました。

私に言わせれば、サンダース氏が登場するのは10年遅かったと思います。

今からでも良いので、米国は1期4年だけでもサンダース氏のようなウォールストリートのことを気にしない真面目な人に大統領を任せるべきです。

それによって、国民皆保険や住宅手当の問題も解決できると思います。

そして、一方でウォールストリートのことしか気にしないようなトランプ氏のような人物に対しては、ウォーレン氏をぶつければ良いでしょう。

現在、米国の報道ではバイデン氏の優勢が伝えられています。

特に、バイデン氏は黒人票に強いと言われています。

しかし、私に言わせればこれは「イカサマ」です。

バイデン氏は黒人のために何かをやったということはありません。

単に、オバマ大統領の下で8年間副大統領を務めたというだけで、目立った実績もありません。

米国の人種別の人口割合を見ると、最も多いのが1億9800万人の白人です。

次いで、5700万人のヒスパニック系、4300万人の黒人と続いています。

今後は、特にヒスパニック系の人口が年々増えていくと予想されています。

このような人口構成の中、本当に貧しい人について政策を考えてくれるのは、バイデン氏よりもサンダース氏だと私は思います。

現在、サンダース氏は単なる左派として捉えられていますが、バーモント州バーリントンにおける実績をもっと前面に押し出していくべきだと思います。

そして、そのようにプロデュースするべきでしょう。




公約を守らなかったマハティール氏の態度はいただけない


日経新聞は5日、「マハティール氏、次々誤算」と題する記事を掲載しました。

マレーシアで1日、新首相にムヒディン元副首相が就任しました。

マハティール氏が自らの辞任により、混乱収集を図ったものの結果的に孤立。

マレーシア統一プリブミ党も内部分裂を起こし、野党連合との多数派形成へ向けてムヒディン氏を支持したことで、アブドラ国王による新首相任命にいたったものです。

マハティール氏はなお首相復帰を諦めておらず、ムヒディン政権打倒が最後の大勝負になるとしています。

マハティール氏は不信任案を提出し、政権打倒を表明しています。

しかし、ムヒディン氏が下院の招集を5月に延期したことで、このままムヒディン氏に実績が出てくると、そのチャンスもなくなってしまうのではないかと私は見ています。

ムヒディン氏はナジブ政権の副首相だったので、ナジブ氏との距離感について世界は注目しているところでしょう。

場合によっては、1MDB事件を代表に数々の不正を行い、多くの訴訟を抱えている元首相ナジブ氏に恩赦を与えるかもしれません。

二人の距離感が明確にならなければ、世界がムヒディン氏を信用することはないと思います。

一方、マハティール氏も到底万全とは言えません。

94歳にして頑張っているマハティール氏ですが、2018年5月の政権交代直後、アンワル氏に2年以内に首相職を禅譲すると公言していたのに、その後のらりくらりと時期をあいまいにしてきました。

アンワル氏に警戒感を抱き、後継者にしたくないという気持ちが強くなったのだと思います。

しかし、それは筋が違うと言わざるを得ないでしょう。

そもそも2018年のマハティール氏の首相復帰は、かつて自らの手で監獄に送り込んだアンワル氏と手を組んだから実現したものです。

その上、一度はアンワル氏を後継者に指名したのですから、それをひっくり返すように逃げ回るのは良くありません。

結局、それがムヒディン氏に寝首をかかれてしまう結果を招いたのだと私は思います。




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※この記事は3月8日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています




今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は米民主党のニュースを大前が解説しました。

大前は「サンダース氏は実績をもっと前面に押し出していくべき」と述べています。

人を選ぶとき、 サービスを選ぶとき、人々は「知っていること」で判断します。

つまり、どんなに実績があっても、その事実が世の中に出ていなければ人々の判断材料にはなり得ません。

選んでもらうためには「どう見せるか」も重要なファクターです。


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