大前研一「ニュースの視点」Blog

KON807「個人情報保護/楽天/グルメサイト~飲食店の予約システムは透明化すべき」

2019年12月9日 グルメサイト 個人情報保護 楽天

本文の内容
  • 個人情報保護 「Cookie」利用に法規制検討
  • 楽天 「楽天ペイ」が一時利用できず
  • グルメサイト 3社寡占、飲食店の立場弱く

個人情報を完全に把握されている中国と同じ轍を踏まないようにするべき


個人情報保護委員会は先月25日、Webブラウザのログイン情報を貯めた「Cookie」などのデータを他社に提供する際の新たなルールを検討すると発表しました。

現行法では、Cookieは個人情報とは見なされず本人の同意なく企業間で共有できましたが、実際は複数のデータを組み合わせて個人を特定しターゲティング広告などに利用されており、こうした事態を是正するために本人に利用目的を伝え同意を得ることなどを義務付ける方針です。

この法規制は必要かつ重要だと思います。

米国ではフェイスブックがこうしたデータを活用していることが問題視されました。

さらに言えば、Cookieに限らずクレジットカードの情報まで活用すると、かなり具体的に個人の嗜好を把握して立体的に個人を特定することが可能です。

ある意味で高度な技術であると評価できる側面もありますが、プライバシーの完全な侵害であり、大きな問題だと私は思います。

中国ではアント・フィナンシャルに代表されるように、すでに個人のプライバシーは把握され侵害されています。

欧米と日本では中国のようになることを絶対に拒否すべきです。

そのためには厳しい法規制を検討するのは良いことだと思います。




楽天はシステム開発力に弱さがあるのかもしれない


楽天のスマホ決済「楽天ペイ」が先月25日、一時的に利用できない状態になりました。

2日前の障害で発生した大量の未決済データが流入しネットワークが不安定になったことが原因と見られています。

楽天のクレジットカードでも支障が出ており、ブランドの信用低下につながる恐れもあります。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに次いで、4番目の移動体通信事業者として乗り出したものの、どうにも楽天は上手くいっていません。

スマホ決済サービスでは、7payが撤退し、PayPayも度々トラブルを起こしてきました。

楽天ペイだけが特別にひどいとも言えませんが、それでも楽天ペイが利用できない状態はすでに何回か発生していて、楽天のシステム開発部隊の脆弱さを物語っていると私は感じます。




飲食店の予約システムを透明化し、フェアにするべき


日経新聞は先月29日、「3社寡占、飲食店の立場弱く」と題する記事を掲載しました。

飲食店情報サイトを利用する飲食店の割合は2017年時点で約7割に達します。

しかし、サイト向けに席を多く用意するほど検索順位が上がるため、実際には空席があっても他社からは予約できない実態にあり、公正取引委員会はこれを問題視し調査に乗り出しているとのことです。

これは徹底的に解明し改善してほしい問題です。

グルメサイトに掲載されて口コミの点数が高いと、それだけで行列になることが多くあります。

これは日本人の癖と言ってもいいかもしれません。

先日、熱海で行列になっている海鮮屋を見かけ、何か特別な理由があるのかと思い、地元の人に理由を尋ねたところ「ぐるなびで話題だから」ということでした。

きちんと実態を調査し、グルメサイトによる囲い込みについては徹底的に追求し、改善してほしいと思います。

また、人気店の予約システムにも同じような問題があり、透明化すべきだと私は感じています。

例えば、1年先まで予約が取れないという超人気店の中には、お店を訪れた人がその場で優先的に次の予約を入れられる場合があります。

常連のお客さんを大切にするのは大事なことですが、常連だけは他の人のように予約待ちをしないのは、明らかに不公平でフェアではありません。

予約システムの裏をついて一部の人のみ予約できる状態になると、一般の人はますます予約が取りづらくなり、結果としてお店の人気が上がります。

これは正しいこととは思えません。

グルメサイトの囲い込みだけでなく、こうした予約システムについても透明化して改善すべきだと私は思います。




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※この記事は12月1日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています




今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週はグルメサイトのニュースを大前が解説しました。

検索順位をあげるために予約席の囲い込みが発生しています。

これははたしてお客様のためになっているのでしょうか。

ビジネスの勝ち負けの前に、企業としての倫理観が問われています。

何のために商売を行うのか、改めて考える必要があります。


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