- 本文の内容
-
- 米中関係 米副大統領の激烈批判に習近平政権はどう反論したか
ペンス大統領は誕生するのか?そのとき、トランプ大統領はどうするか?
現代ビジネスの情報サイトは先月29日、「米副大統領の『中国共産党激烈批判』に、習近平政権はどう反論したか」と題する記事を掲載しました。
トランプ氏の弾劾の可能性と合わせて、ペンス大統領誕生の可能性も浮上してきたと紹介。
ペンス氏は先月の演説で中国を激烈に批判しました。
実際、中国は通商強硬派のトランプ氏よりも軍事強硬派のペンス氏を恐れているとしています。
共和党が賛成に回り、トランプ大統領が弾劾されることになれば、米国の歴史上でも初のことです。
もしそのような事態になれば、副大統領が大統領を引き継ぐことになるので、ペンス大統領が誕生することになります。
先日のペンス氏の演説を聞いていても、ピーター・ナヴァロ氏さながらの「中国嫌い」の姿勢を見せていました。
中国としては、傷に塩を塗られているように厳しく責められている状況です。
例えば、「香港抗議デモに暴力を使えば、貿易協議の合意は一層難しくなる」など、米国がどのような関係性があるのかわかりませんが、厳しい意見です。
また、「米国は経済的利益だけで中国を自由で開かれた社会に変えられるとは期待していない」というのは、いざとなれば「力」で押し切るという意思を感じます。
「一帯一路の表面上の目的は経済だが、結局は軍事目的」という点は、私も以前から指摘していることで頷けますが、全体として中国に対して非常に厳しい内容でした。
ペンス氏本人がインディアナにいた頃は、ここまで中国嫌いの発言をしていなかったので、ピーター・ナヴァロ氏の影響が大きいのだと思います。
加えて、副大統領としてトランプ大統領をサポートしつつ、それを上回ることを言う必要があると感じているのでしょう。
ニューズウィーク誌が表紙にペンス氏を掲載し、大統領になる可能性を示唆するなど、次期大統領としての可能性をメディアも報じ始めています。
前副大統領アル・ゴア氏は、目立つキャラクターで知られていましたが、ペンス氏はどのような人物なのか、あまりよく知られていません。
キリスト教徒でおとなしいイメージがあり、ここまで中国に対して強い姿勢を見せる人物とは思いませんでした。
日本に対しては、地元にトヨタの工場があることもあり、マイルドな態度を見せています。
トランプ大統領の弾劾について、共和党から3人が賛成に回りましたが、20人が賛成に回ったらトランプ大統領は「詰み」になります。
おそらく、それが現実味を帯びてきたら、その段階でトランプ大統領は自ら投げ出すのではないか、と私は見ています。
米国の投票率が低い歴史的な理由とは?/日本で投票率を高めると有利な政党は?
米国では投票率が50%を下回っているため、全体の25%でマジョリティを確保することができる状態です。
それゆえ、トランプ大統領の支持率が40%を維持することが可能になっていました。
この投票率の低さを問題として指摘する声もあります。
世界的に見ると、自然に高い投票率を維持しているのが北欧の国々です。
一方、シンガポールやオーストラリアは投票率を高める仕掛けを作っています。
例えば、90%以上の投票率を誇るシンガポールでは、投票に来ないと役所に呼び出されて理由を聞かれます。
オーストラリアでは、もっとシンプルで投票に行かないと20ドルの罰金を科されます。
米国の投票率が低いのは、登録制のためだと思います。
選挙権を登録する必要があり、これを面倒だと感じる人は多いでしょう。
まず、これを登録させるためのキャンペーンを打つなどの仕掛けが必要です。
もう少し根本的な観点で言えば、今の選挙システムそのものが時代に合っていません。
歴史的に言えば、米国では女性に選挙権はなく、一部の富裕層のみに選挙権が与えられていました。
そこから選挙権が開放されたため、「選挙には喜び勇んでいくもの」というのが前提となっているのが、今の選挙のシステムです。
現状を見てみると、選挙に参加できるようになったものの、現実は変えられないし、政治家は汚いと国民が感じてしまったため、どんどんと投票率が下がっています。
キャンペーンなどの対策も大切ですが、過去の前提から作られたシステムを根本的に変えることが、より重要なことだと思います。
今の米国で投票率を上げれば、共和党にとっては不利になるでしょうから、このタイミングで動議を上げても否決される可能性が高いでしょう。
もし実行するなら、タイミングを見計らいつつ、民主党から動議を上げてもらう手順を踏むべきです。
ちなみに日本においては、投票率が上がると自民党が有利になります。
私はかつて自民党の中曽根元首相にアドバイスをして、投票率を上げる施策を打ちました。
今でも、隠れ自民党は多く、投票率が上がると自民党が有利になるはずです。
逆に、投票率が低いと公明党などの組織を持っている政党に有利になります。
例えば消費税の税率引き上げにかけて、「選挙で投票してくれたら2%還元」という策を私なら考えるかもしれません。
この手の方法はたくさんあり、日本でも投票率の低さを真剣に見直すつもりがあるなら様々な施策を考えてみるべきでしょう。
---
※この記事は11月3日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は米国の投票率について大前が解説しました。
大前は「いまの選挙システムそのものが時代に合っていない」と述べています。
システムが作られた当時は理にかなっていても、それがいまの世の中に合っていない場合は根本的に見直す必要があります。
小手先の対策をとるのではなく、そのシステムが作られた背景から理解することが大切です。
▼月々1,000円!『BBTルーティン』ただいま800名以上が参加中!
毎日10分の思考トレーニングと週1回のライブ講義で、学びをルーティンに。
まずは1ヶ月から始めてみませんか?
https://bit.ly/2pvYJrl