大前研一「ニュースの視点」Blog

KON798「米ウクライナ関係/2020年米大統領選/米トランプ大統領~米大統領選の先行き」

2019年10月7日 2020年米大統領選 米ウクライナ関係 米トランプ大統領

本文の内容
  • 米ウクライナ関係 トランプ氏がゼレンスキー氏に圧力
  • 2020年米大統領選 「ウォーレン大統領」実現に警戒
  • 米トランプ大統領 会計事務所とバンス検事を提訴

トランプ大統領とバイデン氏、ダブルノックアウトの様相


複数の米メディアは先月20日、トランプ米大統領が野党・民主党のバイデン前副大統領の息子に関する調査に協力するようウクライナのゼレンスキー大統領に繰り返し求めていたと報じました。

バイデン氏はオバマ前政権の副大統領だった2016年、ウクライナの民間ガス会社を捜査していた同国の検事総長を解任させようとしました。

このガス会社の役員にはバイデン氏の息子が名を連ねており、トランプ氏はバイデン氏が何らかの理由で息子をかばう目的があったと見ているとのことです。

トランプ大統領弾劾に向けて、民主党はこの1点に絞っていく模様です。

モラー検事が担当したロシア疑惑に比べて、トランプ大統領とゼレンスキー大統領との対話記録など明確な証拠が出ているのが特徴です。

その上、一度ホワイトハウスの命令で消去、隠蔽しようとしたことまで密告者によって明らかにされ、トランプ大統領とゼレンスキー大統領のオリジナル会話データも提出されているようです。

それによると、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に対して軍事援助をネタに、6回にわたって「バイデン氏の息子の疑惑を調べろ」と命じていたそうです。

そして、トランプ大統領の顧問弁護士の元ニューヨーク市長ジュリアーニ氏と米国務省ウクライナ問題特別代表のカート・ヴォルカ氏が、具体的に指示を出したことも明らかになっています。

自らの政敵を蹴落とすために、国費を使い外国の大統領に条件を突きつけているわけですから、これは非常に大きな問題です。

来年の大統領選挙に向けて、選挙民のトランプ大統領に対する心証が著しく悪化する可能性は高いでしょう。

しかし、同時に民主党の筆頭候補であるバイデン氏も外国の政府に圧力をかけていたとされていて、トランプ大統領とバイデン氏がダブルノックアウトになる状況も現実味を帯びてきています。




根強いトランプ氏の支持層がどのような動きを見せるのか?


そうなると、民主党の有力候補になるのがエリザベス・ウォーレン氏です。

ウォーレン氏は名うての富裕層嫌いで知られていて、大統領になったら「増税」「GAFA分割」を実施するのではないかと見られています。

ビジネス業界からみると、最悪の人物が民主党から立候補してくる可能性が高まっています。

そして、早くも株式市場は反応を示し、ウォーレン相場と称される乱高下の動きを見せています。

このウクライナ問題を巡って、トランプ大統領が弾劾されるのではないかという意見もありますが、現実的には可能性は低いと私は思います。

これまでにも、アンドリュー・ジョンソン氏、ビル・クリントン氏、リチャード・ニクソン氏など、弾劾されそうになった大統領はいました。

しかし、最終的には誰も弾劾を受けていません。

大統領弾劾には、上院の2/3の賛同を得る必要があり、現実的にクリアするのは至難の業です。

今回も、共和党内で激しい分裂が起こらない限り不可能でしょう。

弾劾を受けないにしても、これだけの問題が明らかになっているので、トランプ大統領の支持者たちが変わらず熱狂的に支持してくれるのかはわからないと思います。

また、もしかすると支持層から大きな反発を受ける可能性があるのは、ウクライナ問題よりもトランプ大統領の納税申告に関する問題かもしれません。

トランプ大統領は先月20日までに、トランプ氏や一族の会計処理を担うマザーとニューヨーク地検のサイラス・バンス検事に対して、会計記録や納税申告書を検察に提出しないよう求める訴訟を起こしています。

ポルノ女優らへの口止め料支払いをめぐる捜査の一環として、バンス検事がマザーに対し納税申告書の提出を命じていたもので、バンス氏の行動にはトランプ氏の再選に打撃を与える政治的な動機があるとともに、現職大統領に対する捜査の試みは違憲と主張しているというものです。

これまでの大統領で納税申告書の開示を求められて拒否した人物など、一人もいません。

このような対応を見ると、やはりトランプ大統領は脱税もどきのことをやっていたのではないか?と怪しまれるのも当然でしょう。

トランプ大統領の支持母体である「プアーホワイト」層の中には、脱税していたとなると快く思わない人も出てくるでしょう。

その結果、反トランプになるのかどうかわかりませんが、注目したいところです。




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※この記事は9月29日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています




今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週は2020年米大統領選のニュースを大前が解説しました。

エリザベス・ウォーレン氏が大統領になる可能性に伴い、株式市場は乱高下の動きを見せています。

一つの出来事がきっかけとなり、次々に影響を及ぼしていくことがあります。

その影響を先読みすることができれば、ビジネスを優位に進めることができます。


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