大前研一「ニュースの視点」Blog

KON796「米トランプ大統領/米大型ハリケーン~トランプ大統領の支持率低下は当然」

2019年9月23日 米トランプ大統領 米大型ハリケーン

本文の内容
  • 米トランプ大統領 ボルトン大統領補佐官を解任
  • 米大型ハリケーン ロス商務長官が進路予報の打消しを要請
  • 米トランプ大統領 支持率38%で前回比6pt低下

補佐官を糾弾する前に、自らのリーダーシップを発揮しろ


米トランプ大統領は10日、ツイッターで「ボルトン大統領補佐官を解任した」と発表しました。

理由について、「彼の提案の多くに私は強く反対してきた。他の政権メンバーも同意しなかった」と説明。

ボルトン氏はこれまで北朝鮮やイランに対して強硬姿勢をとっており、これらの政策への影響は必至です。

トランプ大統領は全てボルトン氏の過失だったという論調ですが、私には全く理解ができません。

そもそも、大統領ならば補佐官と意見が違えば議論して説得すれば良いはずです。

自分の意見を述べ、まともに議論をして説得することすらできないのなら、大統領として必要なリーダーシップの欠片もありません。

ボルトン氏の北朝鮮やロシア、アフガニスタンへの対応を非難していますが、元々ボルトン氏はそういう思想の持ち主ですから、そんなことは容易に予想できます。

これは、中国に関するピーター・ナヴァロ氏に対しても全く同様です。

そういう人たちとわかった上で役職につけておいて、自分は何もせずに「彼らがミスをした」と糾弾するのはおかしな話です。

就任から2年半で国家安全保障問題担当大統領補佐官が3人も政権を去ることになります。

この異常性を見ても、トランプ大統領に問題があると私は思います。




トランプ大統領の支持率低下は当然


トランプ米大統領が大型ハリケーン「ドリアン」の誤った進路予想をツイートした問題で、ロス商務長官が商務省の米海洋大気局(NOAA)に、トランプ氏の発言と矛盾する予報を打ち消すよう迫っていたことが判明しました。

また、ロス氏は担当者の解雇まで示唆していたとのことで、民主党議員からは脅しが事実ならロス氏は辞任すべきとの声も上がっています。

もしロス氏が解雇まで示唆していたのなら、私もロス氏は辞任すべきだと思います。

ロス氏と言えば「物言う株主」として一財を成した人物です。

今回の件など、ロス氏自身の仕事では決してやらないようなことでしょう。

なぜ、そんな人物がトランプ大統領の下に就いた途端、こんなみっともないことをやってしまったのか?

私には不思議で仕方ありません。

大型ハリケーン「ドリアン」の進路について、トランプ大統領が気象当局と異なる予想をしたことから始まり、このような大袈裟な事態に発展しています。

もはや「これが大統領のやることなのか?」と言いたくなるレベルの話です。

米国では、主に民主党支持者で反トランプ大統領の人たちが集まるサイトが盛り上がっています。

トランプ大統領の顔写真などに、シャーピー(マジックマーカー)で落書きをして、トランプ大統領やその政策を揶揄するサイトです。

そのような流れもあり、トランプ大統領の支持率も低下しています。

米紙ワシントン・ポストは10日、トランプ大統領の支持率が38%で、前回調査から6ポイント低下したとする世論調査結果を発表しています。

中国との貿易戦争の結果も芳しくなく、米国内の物価は高くなるのは確実ですから、国民の警戒心も強くなっていると思います。

自分では何も理解していないのに、議会すら通さず、勝手にツイッターで指示・命令を出す、という強引すぎる物事の進め方にさすがに国民も嫌気がさしてきたのでしょう。

全てのことを「ディール」として片付けようとする姿勢も、大統領として相応しいものではありません。

本来、米国の大統領選挙は長期間に渡るため、トランプ大統領ほど資質に問題がある人は選ばれることはありません。

しかし、トランプ大統領は横車を押して、ネットで情報操作を行い、選挙戦を乗り切ってしまいました。

今では、そんな裏の事実も明らかになってきていて、ここに来て、信用がガタ落ちして急速に支持率が落ち込む結果となっています。

民主党側に魅力的な候補者がいないため、トランプ大統領が再選される可能性もあると言われていますが、私はそうはならないと見ています。

これだけ自分自身の意見も安定していない状態ですから、さすがに息切れするのではないかと思います。

中国などはトランプ大統領が信用できないのはしょうがないと諦めています。

次の大統領を待つしかないという態度です。




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※この記事は9月15日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています




今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?


今週はトランプ政権のニュースを大前が解説しました。

国家安全保障問題担当大統領補佐官の解任やハリケーンの誤った進路予想など、トランプ大統領の迷走が続いています。

トランプ大統領の支持率はここに来て急速に落ち込んでおり、大前は
「再選は難しいのではないか」
と述べています。

「何が何でも自分は悪くない」という姿勢は、いくら情報を操作しても周りの人々に伝わってしまうものです。


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