- 本文の内容
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- 日本マクドナルドHD 連結営業利益250億円
- ニューロ ソフトバンクグループから約1040億円出資
- ドン・キホーテ ドンキ社名変更、創業者復帰のワケ
マクドナルドの実態は、営業利益が横ばいで売上は半減
日本マクドナルドホールディングスが12日発表した2018年12月期連結決算は、営業利益が前期比約32%増の250億円でした。
夕食の時間帯の新サービス「夜マック」が好調だったほか、既存店の改装などでファミリー層が増えたことなどが寄与したとのことです。
私はカサノバ氏が社長に就任したとき、マクドナルドは簡単に上手くいかないだろうと思っていました。
日本の中食マーケットは、コンビニ、牛丼チェーン店などの競合が多く、厳しい市場だからです。
マクドナルドの業績をV字回復させたのは見事ですし、十分な功績だと思います。
しかし、そのV字回復も過去の話であり、現状はすでに純利益は減少傾向にあります。
マクドナルド全店で業績の好調さをアピールしていますが、それはちょっと違います。
また、売上高は約10年前の売上高4000億円から2000億円に半減しています。
夜マックのヒットなどがあり、一部利益が回復しているものがあっても、売上が低迷しているのはかなり深刻だと言わざるを得ません。
結局のところ、日本の中食マーケットは、うどん、そば、牛丼チェーンを始め、相変わらず厳しい状況が続いているというのが実態です。
宅配事業の難しさ。再配達問題に画期的な解決策はない。
自動運転技術を開発する米新興企業のニューロは11日、ソフトバンクグループから9億4000万ドル(約1040億円)の出資を受けたと発表しました。
ニューロは米国内で自動運転車を使った食料品などの宅配サービスを始めており、調達した資金をサービス提供地域の拡大などに使う計画とのことです。
率直な私の感想を言えば、「10兆円という潤沢な資金があるので、やりたければやればいい」といったところです。
孫正義会長は”人の金でリスクを取る”のが上手いと言われますが、今回もまさにその事例でしょう。
今回ソフトバンクグループが出資したニューロが手がける宅配サービスというのは非常に難しいものです。
私自身、生鮮食品の宅配事業を15年間経験しました。
最終的に黒字の事業に成長させましたが、苦労も多くありました。
特に「再配達」の問題には悩まされました。
いまだに革新的な良い解決方法はない状態です。
施錠ができる限定された場所があれば良いのですが、例えば新しいマンションにある宅配ボックスなども圧倒的に数が不足しています。
ゆえに、現実には再配達を避けるために荷物を玄関先などに置いておく、という方法が取られます。
しかし、これは非常に危険です。
例えば、悪意を持った人が「毒物」を入れることさえあり得ます。
そこまで危険ではなくても、第三者が荷物を持って行ってしまう可能性があります。
実際、米国では置かれた荷物の約1割はそうなっているそうです。
確実に安全に荷物を置いておくための場所として、ガソリンスタンドやコンビニなどを活用することなども、私は考えたこともありますが、都心の店舗は狭く、荷物を置く場所を確保しきれないなど問題がありました。
結局、再配達の問題を解決する唯一の方法は、「再配達しない」ことです。
すなわち、配達をする前に確実に本人と連絡を取って手渡すことです。
今回ソフトバンクが出資をした配車サービスも、自動運転車で配達に行く前に、スマホで本人に連絡を取るのではないかと思います。
そもそも、受け取る人がいないのに、自動運転車で配達に行ってしまったらせっかく自動運転車を利用するメリットもありません。
再配達という問題にどのように対処できるサービスになっているのかという点は、重要なポイントでしょう。
ドン・キホーテに大転換の必要性があるのか?
日経ビジネスは12日、「ドンキ社名変更、創業者復帰のワケ」と題する記事を掲載しました。
ドン・キホーテホールディングスが1日、社名を「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」に変更するとともに、2015年にCEOを退任した創業者の安田隆夫氏が取締役に復帰しました。
安田氏は近年、シンガポールなどの海外事業を統括し、同社の店舗は現地でも知名度を上げてきているとのことで、大企業病や管理職の慢心が懸念される中、今回の動きは「異端児」としての気風を取り戻すための大転換と見る関係者が多いとしています。
安田氏が復帰し、社名が「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」になるということですが、私はどうしてもこの社名にしっくりきません。
こう感じるのは私だけでないはずです。
おそらく「ドン・キホーテ」という名称のほうが業界の人には畏敬の念を持ってもらえると思います。
ユニー・ファミリーマートホールディングスが、ユニーの経営をドン・キホーテに託したのも、「ドン・キホーテ」という“名前が持つ力”にも期待していたはずです。
「パンパシフィック」という名前は、かつて東急ホテルが展開していたものです。
この名前が、ドン・キホーテが目指すものと相容れるのかどうか私には疑問です。
そもそも、異端児の気風を取り戻す「大転換」をする必要があるのでしょうか。
私はその必要性も感じません。
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※この記事は2月17日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は、日本マクドナルドHDの業績について大前が解説しました。
新聞などのニュースでは、V字回復が取り上げられていますが、実際のデータを見ると、純利益はすでに減少傾向で、売上高も約10年前から半減していることがわかります。
このように、関連するデータまで確認することで、周囲の言葉に惑わされることなく、正しく現状を認識することができます。
また、短期的な変化だけでなく、10~20年の長期スパンでデータを見ることも重要になってきます。
問題解決の基本は事実ベースで考えることです。
ニュースをそのまま受け取るのではなく、関連データまで確認し、事実ベースで考えることが問題解決の第一歩です。
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