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- ニセコリゾート 外資に買われる「ニセコ」
- ハウステンボス 復星集団(フォースン・グループ)から出資受け入れ
ニセコ開発が進むのは再開発の自由度が高いから
日経新聞は2日、『外資に買われる「ニセコ」』と題する記事を掲載しました。北海道の倶知安町とニセコ町にまたがるニセコ地区の不動産投資が加熱しています。パウダースノーを求めて世界中からスキーヤーが集まることに加え、ホテルやスキー場で働く外国人も増加し、ペンションやアパートが次々に建てられています。地元ではインバウンド消費は歓迎するものの、過度な開発が豊かな自然を損なうとの懸念も浮上しているとのことです。
倶知安町は地価上昇率が高く注目を集めている地域ですが、私は現在の地価は「上がり過ぎ」だと感じています。ニセコ以外にも北海道の中に良いスキー場はたくさんあります。もっと東京に近い地域に目を向ければ、越後湯沢、志賀高原、野沢なども、ニセコに負けず劣らず良いスキー場だと思います。
その中で、なぜニセコがこれだけ注目を集めて開発されているのか?というと、再開発の自由度が高いというのが大きな理由です。ニセコは千歳から移動に2時間近くもかかりますし、その途中非常に気温が下がる場所もあり、利便性が高いわけではありませんが、比較的自由に開発できるという点が他のスキーリゾート地に優っています。
逆に、越後湯沢、志賀高原、野沢などの従来のスキー場は、山の上の方にぐちゃぐちゃに固まってしまっていて、全体を作り直すのが非常に難しい状態です。ゆえに再開発の自由度が低く、ニセコを超えるポテンシャルを持ちながら活かせていません。
越後湯沢駅の周辺など複数のスキー場がありますが、バラバラに運営されていて、お客を引っ張り合っている状況です。だからそれぞれが行き詰まり、経営も傾いている状態です。もし再開発が可能なら、私は200億円くらいあれば、越後湯沢の町をまとめて再開発することができると思います。2015年に北陸新幹線が開通した飯山駅の近隣にある野沢温泉スキー場も、せっかくの新幹線開通という機会を活かすことなく終わっています。
もしこれらの地域で再開発を自由にやらせてくれるなら、1000億円規模の資金を投じても良いという人はいるはずです。そうすると、カナダのウィスラーやオーストリアのアールベルクのようなハイエンドのスキーリゾートまで視野に入れて開発できるでしょうし、ニセコのみに開発が集中することもないはずです。
現在のニセコの地価やマンション価格は高すぎて、私に言わせれば、全くお勧めできませんが、マレーシアや香港などの外国人が資金を持ち込んでいるので、日本としては外からお金が入ってくるという点では良いのかも知れません。
ハウステンボスも星野リゾートトマムと同様、経営主体は変わらず
ハウステンボスは3日、中国の投資会社、復星集団(フォースン・グループ)から約25%の出資を受け入れると発表しました。フォースンがHISや福岡企業5社から株式を取得するもので、観光事業で世界展開をするフォースンと組み、ハウステンボスは中国人観光客の取り込みなどを強化する考えです。
フォースンは2015年には星野リゾートから星野リゾートトマムを買収している非常に積極的な企業です。ヘルスケア事業を中心に大きな資金を作り、今はレジャー関連事業に進出してきています。
星野リゾートトマムを買収した後も、実際の運営は星野リゾートに委託するという方法を取っており、今回のハウステンボスへの出資にあたっても同様の方法を採用するのではないかと思います。
星野リゾートトマム(当時の名称は「アルファリゾート・トマム」)は関光策氏が開発に着手してその歴史をスタートさせました。気温はマイナス20度に達することもある厳しさで、山の作りもスキー場としてそれほど優れているとは思えません。それを星野リゾートが大規模な資金を投じてリニューアルしました。
星野リゾートトマムにしてもハウステンボスにしても、フォースンが資金を肩代わりしてくれるのであれば、経営は今まで通り自分たちでやれば良いのですから、ありがたいことでしょう。
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※この記事は12月9日にBBTchで放映された大前研一ライブの内容を一部抜粋し編集しています
今週の大前の視点を読み、皆さんはどうお考えになりましたか?
今週は、観光産業の話題を中心にお届けいたしました。
地価上昇率が高く注目を集めているニセコ。
ニセコが注目を集めて開発が進んでいることについて、
他のスキーリゾート地と比較し、
再開発の自由度が高いというのが
大きな理由だと大前は記事中で言及しています。
地域活性化の打ち手の一つとして考えられるのが
「リゾート開発」です。
しかし、記事中で紹介している従来のスキー場のように、
せっかくのポテンシャルがあっても
点で考え、バラバラと解決策を打ち出しても、
「インバウンド需要」を取り込むことはできません。
日本にある観光地のメリットを活かしながら、
世界の富裕層を日本国内に呼び込むことができるかが、
日本の地方振興にとって重要な鍵になると考えられます。
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